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お姫様のお話


遠い遠い国のお姫様

何でも知りたい、

世界の全てを知りたいと思っていた

だから

あらゆる知識を求め、

たくさんの人に出会い、

多くの場所を訪れた

もっともっとと



ある時

森で動物たちと暮らす

ひとりの少年に出会った


穏やかな満ち足りた表情をしている


お姫様は彼に尋ねてみた

森の外には行かないの?

いろいろなことを知りたくはないの?


彼はこう答えた



瞳に映る世界はイリュージョン

映し出されているのは自分の心


もっともっとと求めていれば

求めている状態が

映し出される


外の世界に追い求めるのではなく、

静かに心の声に

耳を傾ければ

自然と必要なことはわかるもの


そうやって自分の心を

映し出したこの世界は

僕にとって

とても素晴らしいものなのです




そんなことを聞いたのは初めて…



僕だけが特別なのではなく

皆さん、そうなのですよ

ただし、

気持ちをどちらに向けるかは

その方の自由

良いも悪いもないのです




それを聞いたお姫様、

近くの切り株にそっと腰をかけ

静かに目を閉じ

自分の心に尋ねてみた



「私の望んでいるものは何ですか」




穏やかな表情で目を開けたお姫様をみて

少年はにっこり微笑みながら

森の奥へ帰っていった