緊急事態宣言と家族と僕。

2020年4月7日

東京都に緊急事態宣言が発令された。

都内の居酒屋で店長として勤務する僕は約2ヶ月の長い長い休みに入った。もちろん初めはWG明けの1ヶ月間だと思っていた。

僕には家族がいる。妻と子が1人。

家族と一緒にいられる時間ができたので喜んだ。

僕は19歳で大学を中退してから、ずっと飲食の道を歩んできた。妻と知り合ったのも飲食店だ。飲食10年選手の僕が1ヶ月も休むなんて事は大事件だった。ランチからディナーまでフルタイムで働いていたのだから。

反面、時間が有り余るプー太郎の旦那になってしまったのだ。


4月。日常生活は大きく変わった。

テレビでは毎日緊急事態宣言の是非が取り上げられ、人出も監視され、スーパーからは物が消えた。家族も家にいるだけでしっかりと自粛生活をしていた。 Uber eatsや出前館はたくさん利用した。

5月。緊急事態宣言延長。

引き続きお店は休みとなり、こんなに休んでお店は大丈夫なのか?と疑問を持つ。お給料は満額頂けていたので深刻には考えなかった。

自粛生活は外出欲求が生まれる。あれもダメこれもダメと言われ続けた家族のフラストレーションは溜まる一方だ。

うちの家族は暇を持て余して何をしたか。メルカリやラクマで家の物を売り始めた。いらないゲームや使わない化粧品、おもちゃ。

僕は昔、エンジンラジコンカーを趣味にしていたので全部売った。綺麗に分解清掃して、ラジコンに触るのもこれが最後かなと感傷に浸りながら約5万を売り上げた。

5月は何をしていたかと聞かれるとこれしか思い出せない。撮った写真も無い。毎日ダラダラと過ごしていたのだと思う。

5月31日。お店の食材の仕込みに出勤。久しぶりの大きめの包丁に戸惑う。明らかに包丁さばきは落ちた。全ての仕込みを終え、6月1日からの営業再開を楽しみに帰路に着く僕であった。

悪夢のような6月が来るとも知らずに。


次回は、お客さんが消えた6月。