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人生最高の旅 【ポルトガル,マデイラ島旅行記】

「一生の思い出」「人生で一番」


素晴らしい言葉たちなのは百も承知なのだが、言葉に確実性を求めたいタイプの僕はこれらを今まであまり使った事がなかったと思う。どんなに楽しいことがあったとしても、どんなに美しいものに出会ったとしても、他の表現を探していたはずだ。

ただ、これから書く旅については間違いなく一生の思い出と言えるし、今までの人生で一番美しい景色に出会ったと自信を持って言う事ができる。思い出を振り返る前に、まずは一緒に行ってくれた7人の友達に心からの感謝を伝えたい。noteを読んでくれているのは嬉しいのだが、恥ずかしいので内容には触れずにそれとなーく褒めてくれたらありがたい。

それでは、ポルトガル本土から南西におよそ1000キロ離れたマデイラ島への旅を振り返っていくとしよう。


もしかしたら人生で一番南に居たかも


安さが肝心の学生旅の始まりは午前3時の夜行バスから。朝6時半にポルトを出た飛行機はおよそ2時間のフライトを経てマデイラ島のクリスティアーノ・ロナウド国際空港に到着した。その着陸の直後、他の乗客が拍手をしていたのが不思議だったのだが、後で聞いたところによるとこの空港は山と海に囲まれた地形ゆえに世界でも有数の危険な空港らしく、パイロットは特別な訓練を要するほどだというのだ。それを知らずに飛行機に乗ることが出来て心から良かったと思う。知らなくていいこともあるというのはこういうことだろう。

空港の名前からも分かる通り、マデイラ島はポルトガル随一のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドの故郷としても有名だ。とりあえず島のボスにご挨拶しておこうということで、向かったのはロナウドの銅像があるMuseu CR7(CR7博物館)。銅像と一緒に写真さえ撮れれば満足だったので、建物の中には入っていないが彼が獲得したトロフィーやユニフォームが飾られているという。そういえば飛行機を降りる時、サービス精神旺盛なCAさんがなぜか”Siuuuu!”って叫んでいたような…


写真から暑さが伝わってくる、冬と夏って明らかに空の雰囲気違いますよね


昼過ぎまでマデイラの中心地フンシャルを一通り観光して回った。気温は25度を超え、快晴。いきなり夏に連れてこられたような気分だった。ただ日本の夏とは違って、湿度はなくカラッと晴れている。日差しが強いのが難点だが、5分歩くだけで汗だくになるような日本のジメジメした夏よりは何倍もいい。この時点でもうだいぶ楽しい。既にあと1週間くらい滞在したくなってしまっている。

陽気なおじさんのいるレストランで昼食を済ませ、男2人となぜかお揃いのマデイラTシャツを買ったあとは、Airbnbで予約した宿に向かった。この宿が凄かった。8人の大所帯で行っても有り余るほどの広さ、高台からの抜群の海の眺め、周りにはプールを備えたおしゃれな別荘の数々、ただ借りてるだけの身分なのだが気分は人生の成功者だ。

それからは砂浜ならぬゴツゴツ岩だらけのビーチを満喫したり、とにかく広い宿のキッチンで皆でわいわい料理をしたりして楽しんだ。ビーチへの道中はその強い日差しと海へ続く長い坂道を下っていく様がさながら青春映画の一幕のようで、こんな爽やかな場所が現実に存在することが信じられなかった。


ちなみに皆さんが海辺へ行く時、聞きたくなるのはどんな音楽だろうか?僕はサザンオールスターズの「希望の轍」一択なのだが、友達からはORANGE RANGEやらMrs. GREEN APPLEやらのリクエストが出て、一体自分たちがどこの世代に属するのか分からなくなってしまうような選曲だった。


今回の旅のメインは2日目のプライベートツアーだ。朝9時、僕たちの宿の前に大きなジープが乗り付けられた。そう、この日のツアーはマデイラ島の名所を最大9人乗りのジープで回るというなんとも壮大なものだった。運転席から颯爽と降りてきたのはいかにもジープを運転していそうなマッチョなお兄さん。この方に一日ガイドをしてもらったのだが、運転がめちゃくちゃ上手い、というかめちゃくちゃ飛ばすのになぜか安心感があるというスペシャリストだった。


このジープツアーでは主に島の東側の名所に連れて行ってくれた。朝一番に向かったのは、標高1818m Pico do Arieiroの頂上だ。天気は快晴、ガイドさんによると僕たちが行った3月中旬は雨季にあたり、「君たちがどれだけラッキーか言い表せられないぐらいだよ!」だそうだ。頂上からの眺めは写真を見ていただいた方が早いだろう。


自分の足で登ったらもっといいんだろうな


さすが1800m、木がない


筆舌に尽くしがたいというのはこのことで、今でも自分がこの景色を目の当たりにすることができたという事実を消化できずにいる。間違いなく今まで目にした景色で一番美しいものだったし、今後もこれを超えるものにはなかなか出会えないだろう。この景色に出会えたのは今まで曲がりなりにも留学生活を頑張ってきたご褒美だったと思うことにしている。その方があの眺めの思い出をより大切にできそうだと感じたからだ。


ただ、個人的に一番楽しかったのはここから。ムキムキガイドさんによる、絶叫ドライブだ。マデイラ島は美しい海の景色を楽しめる一方で、先にも書いたような1800mを超える山がいくつも存在するような山がちの地形をしている。簡単に言えば、その山をハイスピードで登ったり下ったりするのがこの絶叫ドライブ。車一台分ぐらいしかない狭い道をクラクションをかき鳴らしながら走り抜けたかと思えば、オフロードをぐんぐん登っていく。とんでもなく揺れるし、とんでもなく速い。法律を遵守しているかと言われれば、苦笑いするしかないぐらいのスリルだ。おそらくこの旅行の疲労のほとんどはここから来ていると言っても過言ではないくらいクタクタになったが、皆でわーわー叫びながら楽しむことができた。


どうやってできたのか不思議なくらい崖すぎる


そこからはラム酒の工場を見学したり、揚げ魚の上にバナナを乗っけるという賛否両論ありそうな郷土料理を食べたりなどグルメも満喫。島の自然と美味しいもの、ついでにアトラクションも同時に楽しむことができるこのツアー、とてもおすすめだ。

夜はまた皆で料理を作って、遅くまでパーティーを楽しんだ。日本に居る頃はこうして同じ学科から大勢で集まることもあまりしてこなかったのだが、それを少し後悔するぐらい楽しい時間を過ごすことができた。卒業まで約2年、もっとたくさんの思い出を作れたらいいなと心から思っている。


少し長くなってしまったが、最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございます。このマデイラへの旅行では、とんでもなく美しい自然を楽しめたのも思い出深いのだが、それよりも同じポルトガルへ留学している友達とそれを共有できたのが何よりも嬉しいことだった。旅行からしばらく経った今でも写真をこまめに見返してしまうぐらいだ。
またこんな旅をすることができたらいいなと、心から願っている。






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