見出し画像

マラソングランドチャンピオンシップの結果と雑感。そう来ましたか…

2023年のMGCが終わりました。結果と、少し雑感を以下に述べていきますが、いい意味で思った展開と違うものとなって、色んな思いが頭を巡った事は最初に伝えていきたいです。

結果はコチラ↓をご覧ください。

男子
🥇小山直城(Honda)2時間08分57秒 ☆パリ五輪内定
🥈赤﨑暁(九電工)2時間09分06秒 ☆パリ五輪内定
🥉大迫傑(Nike)2時間09分11秒 ◇ファイナルチャレンジの結果次第

女子
🥇鈴木優花(第一生命グループ)2時間24分09秒 ☆パリ五輪内定
🥈一山麻緒(資生堂)2時間24分43秒 ☆パリ五輪内定
🥉細田あい(エディオン)2時間24分50秒 ◇ファイナルチャレンジの結果次第

https://www.mgc42195.jp/news/article/19079/

はじめに

さて、MGC本戦について振り返る前に、前回の記事で男子出場選手の2ndベストを貼り損ねていたので、ここで貼らせてください。その下に女子も改めて貼ります

男子・MGC出場者の2ndベスト

女子・MGC出場者2ndベスト

①令和も健在だった川内優輝

男子でひと際目立ったのは、文句無しで川内優輝でしょう。

スタートから他者を引き離す展開は2019年大会の設楽悠太も同様でしたが、真夏のような気候のなか最初の5kmは14分56秒でした。今回は最初の5kmなんと14分44秒。

土砂降りの中で果敢に大逃げを狙った姿、伊達に129回フルマラソンを走っていないな、と目をひん剥かせてラップタイムを見つめていました(仕事によりリアタイは出来ず仕舞い…)。

雨のフルマラソンは過去にも何度も経験しているはずで、2018年のボストンマラソンで優勝した時も低温・土砂降りの悪コンディションでした。この経験が活きたのかもしれません。

大会新記録を2分以上上回る決着を引き寄せたのは間違いなく川内優輝でした。

②新しいヒロインの誕生

女子の優勝者は今回でマラソン3回目の鈴木優花(第一生命グループ)となりました。まったく予想だにしない選手が頂点となり、筆者の予想能力もまだまだだなと首を振った次第です。もしも当たってた方は挙手お願いします…

大東文化大学のエースとして駅伝では1年生から区間賞、個人では日本インカレで優勝するなど名を馳せ、2022年の名古屋ウィメンズで初マラソンを走り、当時の学生記録を更新する2時間25分02秒で5位(日本勢では3位)に入りました。

翌年の名古屋、そして今大会と3戦連続でサブ26を達成した辺りの安定感は、女子も男子に続きようやく大学での活躍が社会人でも還元、反映されるようになってきたのかなと考えています。

③New generationの躍動

男子のパリ五輪内定を決めた小山直城(Honda)はマラソン5回目、赤崎暁(九電工)はマラソン3回目で悲願を叶えました。女子の鈴木優花も含め、マラソン経験の少ない選手が悲願を掴む結末となりました。

優勝タイムこそ現・世界記録には8分以上及ばないものの、3位の大迫傑と4位の川内優輝という歴戦の強者相手に物怖じせず上回ったのはタイム以上の経験値を得たと言ってもいいはずです。

小山直城は7月のゴールドコーストマラソンで自己記録となる2時間07分40秒で優勝、赤崎暁も7月のホクレンディスタンス5000mで三浦龍司(順天堂大)相手にラストスパートで上回り13分22秒の自己記録を叩き出したのでフラグは立っていましたが、こういう形でフラグが成立するとは思いませんでした。

④東京五輪代表の意地

内定者4人のうち、前回の東京五輪に続き2大会連続で代表に内定したのは一山麻緒(資生堂)ただ1人です。実は2大会連続のマラソン代表はそう多くなく女子では土佐礼子さん以来となります(2004年アテネ、2008年北京)。

鈴木健吾(富士通)との結婚、ワコール→資生堂へ所属を変更、極度の不振でフルマラソン完走がやっとな状態、いわば激動の時期を乗り越えて調子を合わせてきたのは経験値の積み方が一味違うと言えるかもしれません。

⑤負担の大きい現方式

MGCの誕生により五輪代表決定へのプロセスははっきりしました。一方で、有力選手でもシード権無しのガチンコ勝負で、MGCの2枠に入るための負担は増したとも言えます。

実力の高い選手と言えども、数レース連続して調子を整えるのは簡単ではないようです。顕著な例が鈴木健吾(富士通)かもしれません。

2021年2月末のびわ湖毎日マラソンで日本記録となる2時間04分56秒を樹立し優勝、翌年の東京で2時間05分28秒を出し4位に入った、までは順調でした。

その後はオレゴン世界選手権、約2か月後のLondonを欠場、翌年3月の東京も股関節周りの故障で欠場となり、ようやく辿り着いたMGCも12kmを前に途中棄権。フルマラソンをフルの調子で走り続けるのは相当な負担となっているのかもしれません。

世界選手権に出場した6人も今大会は入賞1人、入賞圏外1人、途中棄権1人、欠場3人という事で、僅か1ヵ月半では世界大会との両立は不可能という結果が示された格好です。世界大会より日本選手権の負担が大きい現状は変えた方が良い、そういう指摘が出ても仕方がありません。

⑥MGCの方式を変更するとしたら

複数のパターンを妄想しました。

(MGCを続けるとして↓)

・中間層からエリート、上位層向けの大会にする

・男子2時間08分以内、女子2時間25分以内まで上限を引き上げる

・日本勢6位は広すぎるので日本勢2位までにする

・海外勢を含めて入賞圏外(8位未満)の選手は進出圏外とする

・ワールドマラソンメジャーズ(WMM)各大会を比較して、最上位者を日本代表にするプロセスを作成する→男女選手を海外の主力大会に多く出場させる流れを作る

・タイムでのMGC進出条件(ワイルドカード)は男子2時間06分以内、女子2時間23分以内とする

仮にブダペスト世界選手権の代表内訳が
・WMM最上位者(東京も含む)
・JMCシリーズ2022年度1位
・2022-23シーズン最速
・上記3条件で選手が重複した場合、WMMや他の国内選考会を比較して最速の選手を派遣

だった場合の代表は、
男子
大迫傑(NYC5位)
其田健也(JMCシーズンⅡ1位)
山下一貴(22年度最速)

女子
松田瑞生(東京6位/JMCシーズンⅡ1位)
新谷仁美(22年度最速)
細田あい(London2:21:42)

の3人に恐らくなっていたと思います。新谷仁美が代表辞退と仮定すると3枠目には鈴木亜由子が入っていたかもしれません

等々並べましたが、個人的に言いたいことは

日本陸連は海外での実績をもっともっと評価してくれ

です。

今回は以上になります。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?