見出し画像

漫画万歳!(17) ~墨攻~

マザーブレイン社の月報に投稿した記事を紹介していきます。2019年4月からスタートしたシリーズを多少の修正を加えて掲載します。気ままな個人的な感想ですので、ご意見は大歓迎ですが、あまり真剣なご批判は、泣きたくなるのでご容赦願います。

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT

(2020年8月号)
最近、「墨攻」(ぼくこう/ぼっこう)を読み直しました。戦国時代の中国を舞台とした酒見賢一の歴史小説で、作画・森秀樹、脚本・久保田千太郎によって漫画化され、1992年から1996年にかけて「ビッグコミック」(小学館)で連載されました。1998年に第40回小学館漫画賞を受賞しています。

2006年には、ジェイコブ・チャン監督によって日中韓合作で映画化され、主役のアンディ・ラウがイケメン過ぎるぞ~とツッコミながらそれでもその渋さにキュンキュンしながら観たのを覚えています。

たしかに漫画を読んで、映画を観たことは覚えているのですが、読み返したら内容をほとんど覚えておりませんでした。感動のラストすら読み終えてから、「ああそういえばそうだった!」と思うほど。ここまで覚えていないのは、中国の歴史が苦手で漠然としたイメージでしか読めていなかったからでしょう。

あらすじをざっと説明すると、非攻・博愛を説く墨子が築いた墨家の主人公・革離(かくり)が、大国・趙の数万の大軍の攻撃から小国・梁城の数千の民をたった1人でまとめて守ることから始まります。その後、腐敗した墨家の組織を味方につけた秦と戦うことになります。自らは攻撃せずひたすら守りだけで果たして勝てるのでしょうか?

今回、読み返して驚いたのは、今、大人気の「キングダム」と時代が一緒だったということです。キングダムは、相当ハマって読んでいますので、時代背景も調べて誰が実在で何が史実かなんとなくつかめるようになりました。それに重ねて読んでみると、墨攻の時代背景もよくわかり理解度が深まった気がします。それにしても衝撃というか笑えたのは将軍・王翦(おうせん)の扱いのひどさです。キングダムでは、天下の大将軍として不気味さと非情さを漂わらせながらもヒーロー的扱いなのですが、墨攻ではただの残虐非道な女好きの卑怯者です。間者は男でも女でも喜々として股裂きの刑にかける様子は、漫画ながらに目を覆いたくなるほどです。

キングダムファンには特におススメ、そうじゃなくても中国史に興味がなくてもアクションものとして十分に楽しめる漫画ですので、ぜひ読んでみてください。


この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?