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てりたまライジング。

FEST VAINQUEURのツアーファイナル、池袋harevutaiに参戦。本編16曲MCなし。これでもかと聴かせ、暴れさせ、フロアを笑顔にする。これぞ10年以上このシーンの最前線で、爆音を鳴らし続けてきた人たちの美学とプライドと、ついでに気合いというものなのだろうか。特に中盤の「カサブランカ」と「桜並木の下で」のエモさたるや。そのエモさがあったからこそ、本編ラストの「LIONHEART-lifetime wish-」と、オーラスに演奏された「霞桜」がいつもより優しく刺さったのだろう。悲しいことや不条理ばかりの世の中だけれど、今その時を生きないと、変えられるものも変えられないからさ。

「ツアー中とは週末にライブハウスに出勤して、平日は髪ボサボサでパソコンカタカタする生活」とはHALさんの言葉である。うん、多分何も間違ってない。そのHALさん曰く、リリースツアーというのはその音源に入っている曲を中心に既存の曲を組み合わせてセトリを組むので、ツアーが終わると、この新曲たちを中心にセトリを組むことはなくなると。HALさんが「今しか聴けない・・・いや、これからもやるんですけど」と律儀に説明をすればするほど、ツアーで育てた新曲たちがてりたまと同じ扱いになっていくのが、なんとも微笑ましかった。このままでは夏にリリースされるフルアルバムからの新曲たちが、冷やし中華と同じ扱いになりかねない。でもまあ、旬のものは旬の時期に味わっておくのが一番だということで。

「宴-utage-」でHALさんが持ってきたアップルパイは、当然アンコールでネタになった。時間もなかったし、とりあえずメンバーの分だけ確保しようと4個買ってきたのだけれど、持ってきてくれたスタッフさんに「いつもありがとう、1個食べてええよ」と感謝の気持ちを伝えた結果、帯に短したすきに長しを地でいく数が残されてしまったという。ミラクルだなあ。フルアルバムの告知でも「影も形もの『か』か『かげ』ぐらい」と、独特すぎる進捗状況の説明をしていたし。いやその、カゲがあるんだったら本体ないとおかしいのでは(深く考えてはいけない)

「桜並木の下で」で使われた幕に桜の花びらを投影する演出も素敵だった。ただ、メンバーは完成図を誰も見ていない(唯一リハーサルでフロアにいたひろすんがなんとなく把握しているぐらい)だったので、どう見えているのかまったくわからないうえに、8曲目という絶妙に真ん中へん(byひろすん)にこの曲が配置されているため、夢中になりすぎて演出忘れるんちゃうかとヒヤヒヤしていたそうで。まさかあの「池袋だけに東京BABYLONっぽさも感じる桜だなあ」の裏でそういうことが起こっていたとは。でも、それを正直にアンコールで白状してしまうのが、いかにも彼らである。

彼らのライブに参戦したのは、去年のGratz!!!以来約9か月ぶり。撮影会でアイルさまにも「めっちゃ久しぶりよなあ」と言われて「Gratz!!!以来です」と言ったら「そらめっちゃ久しぶりやわ」と笑顔でしみじみ言われたぐらい。秋に流行病がクリーンヒットして、回復にちょっと時間がかかった時は、これバンギャルの第一線に戻れるのかと不安にもなったけれど、こうやって暴れ倒して「サイコーデース!(by度会選手)」をやれるぐらいになったのだから、もう完全復活でええやんと。誰もがキングカズのようにあの歳まで現役で体を酷使することはできない。だからこそ自分に合った暴れ方を覚えるのが大人のバンギャのたしなみなんだろう。そんなことを考えた、春の夜のおはなし。

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