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なぜ医師ほどに優秀である人が、ITにはあれほど無知なのか

前置き

私は医師を親戚に持っており、合理的な論理、知識の奥行などについて医師をバカにする気は毛頭ない。

しかし、医師になれるほど優秀である人たちと仕事の場で接する際に長年不思議であったことがある。

これは統計的な数値ではないため、どこまであてになるのかは不明だが、感覚値として、医師はIT知識がほとんどないことが多いように思える。(無能と無知とは厳密に分けて考えたい。)

もちろん、私が接する医師の場合、何らのトラブルや契約交渉が発生するなど、通常より癖が強い人であるサンプルの偏りは自覚している。また、そのときの感情的な問題として対象の医師をマイナスに感じている影響もあると思う。

ではなぜ無知と言うか。
メールが使えない、先入観でとんでもないことを言うという経験が何度もある。

いや、正確に言えば一般的な教養としてのIT知識はあることもある。スマホでのLINEは使えるのだから。

ただ、医学的知識をそこまで深められる人が、なぜITに関しては最も初歩的なツールであるメールすら受信できず、送信できないと言い出すのかが不思議であったのだ。

(あるいは、これは完全に主観だが、医師であることを鼻にかける人に対しては、どうしても、そこまで頭が良いと人を見下すのに、なぜこの程度のことを知らないんだと思ってしまうのだ。)

発見

この長年の疑問への回答は、ふとした友人との雑談で発見された。

すなわち、費用対効果が乏しいのではないだろうか。

医師ほどの人は、通常の会社員と異なり、医療知識を高めれば高めるほどに学会で評価され、医院での評判も高まる。

ある医師の業界はとても範囲が狭く、人間関係のしがらみがとても厳しいものであったが、それを踏まえると、その世界で生き抜くにはITへの投資より医学知識への投資へ極限的に資源を集中させた方がいいのだろう。(コミュニケーション能力への投資すら不要としたような方も中にはいる。)

また、人を相手とする業種では、自動化のような反復、繰り返し処理との相性が悪いため投資対象として効率が悪いようだ。(実際はそんなこもない部分も多いのだが。)

教訓

疑問に関しては、納得のいく説明が見つかった。

しかし、それだけでは面白くないのでこれを抽象化して無理やり含蓄のあるものとしておこうと思う。

この疑問と説明からは、二つの教訓を得られるように思う。

一つは、自分がどれほど優れた実績を残したのとしても、有限の資源を投資して得た見返りである以上、自分の無知の範囲を自覚する必要があるということである。

二つには、他人に対して特定の無知の範囲を観測した場合であっても、そのことだけではその人の知の奥行を全く評価できないということである。

これは覚えがあることで、私は、料理の仕方は、自分よりも仕事上の評価では差がある方から教えてもらうのだ。

謝辞

この気づきは、教育業界で働く友人とエンジニアとして働く友人から得られた。二人には、疑問を解く糸口を与えてくれたことに感謝したい。

教育業界は投資という発想が現場視点ではないらしく、目の前の業務を優先し、ITツールによる自動化はかなり遅れているようだ。今はわからないがエクセルやスプレッドシートの関数化すらまともにされていない職場であったらしい。

次に、エンジニア視点で見ると、やはり人相手の商売はそういう傾向があるようで、相手の状況に応じて処理を変えるには人間がやるのが最も理にかなっているようだ。

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