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ロングトレイルという冒険から

ロングトレイルという冒険 加藤則芳 2011年刊行
加藤則芳さん 2010年に発症した筋萎縮性側索硬化症により2013年4月に永眠されていた。1946年生まれだから64才で亡くなった。加藤さんが構築した信越トレイルは今も受け継がれている。
ちなみに私も64才(2021年7月23日)の時、ICUに担ぎ込まれて死にそうになった。この年頃は死に神が来る時期なのかもしれない。

本は内容も面白く久しぶりに集中して読めた。この3年間のコロナ騒ぎで、本を読んでも文字を追うだけで頭に残らなかったことが多かった。どこまでもマスク地獄、他人を感染源とみる世界、気が滅入る。
そんな中で、久しぶりにアウトドアの魅力にインスパイアされた本だ。

「歩く旅」こそ僕の人生

「歩く」
その行為は自然を感じるためのものと私は思っている。
歩くと同時にそこの文化、地勢。動植物の名前を少しでも知っていると、身近な世界が実は驚きに満ちていることに気づく。
歩くことで、より人生を充実して生きることが可能となる。
ある日、電車や飛行機の窓から眺める山や川を見て、そこにはどんな自然があるのか、それが頭に浮かぶようになる。そうなったらしめたもので、歩く人生が楽しめる。それが歩く醍醐味だと思っている。

ロングトレイルは自分探しの場所ではない
本の内容において、共感する点、それはロングトレイルを歩くことが自分探ではない事だ。
自然に対峙しているのに内省する。それは別にロングトレイルでなくてもよく、マラソンでもトライアスロンなんかでも同じ事となる。
自分探しの為に苦しさに打ち勝つ、それは違うと思う。
加藤さんは自然そのものを感じながら、それを観察して歩く人だった。これは凄く共感出来る。
美しい自然を前にしても、自然に目を向けず、自分にしか目が向かない人は多い。

センス・オブ・ワンダー
いい歳をした大人が、木だ、鳥だ、蝶だ、虫だ、小さい魚をメダカとか、何時までも総称で言っているのは自然に対する感性が不足していると思う。
つまり自然を前にしても全く興味がない事、自然に愛おしさもないだろう。
それを感じるには観察しかない。そいう気持を持つ、その感性をセンス・オブ・ワンダーと言う。
そのことがよく書かれている本、「センス・オブ・ワンダー」レィチェル・カーソンがある。歩くことの前に一読をお勧めする。

自然を楽しめる感性がないと、「100キロを8時間で走破した」「100才で富士登山」とか記憶より記録がメインとなってしまう。常に人との比較となる。

ちなみに「自然の神秘、不思議さを感じる感性」は子供の頃に育まれる。
日本では、そんな感性の持ってない子供達を心配している大人も多い。
冒険家とか自然と対峙している著名人は最後に子供に目が行く。
昨年亡くなってしまったが、カヌーイストの野田知佑さんは、川の学校を立ち上げた。
また宮崎駿さんや養老孟司さんが自然経験をメインにした幼稚園経営に関わっている。

1980年代のアウトドア
本の中では、1980年代のアウトドアブームの解説もあった。
カウンターカルチャーからのバックパッキング。
老人である私は懐かしさも感じた。あの頃の自由な気分は懐かしい。
「子供を持つことがコスパが悪いとか言う今。なくなっている感覚だ」
地図とコンパスがGPS、写真がスマホの時代になってはなかなか感性は育ち難い。また想像もしづらいと思う。

加藤則芳さん

ヘビーデューティーの本
話が少し逸れるが、1970年から1980年アウトドアブームが起こっていた。
当時はノースフェイス シェラデザインが本物志向のウエアを出し始めていた。ノースフェイスがダウンジャケット、シェラデザインがマウンテンパーカーが有名・

1980年代に入り、グレゴリーのザック、LLビーンのブーツ、パタゴニアのシンチラジャケット。大体この時代にアウトドアギアの定番が出そろった。
当時のエポック的本だ。

この本がアメリカ文化の始まり

何処に行こうか
加藤さんのホームベースはジョン・ミューア・トレイル。
シェラネバダ ヨセミテ渓谷・サウザンドアイランドレイクなどがある340キロのロングトレイルだ。取りあえずここは行ってみたいが、このコロナで60代の3年を潰してしまった。親を見て、遺伝的に自分にはもう人生は残り少ないはずだ。だから果たして可能かどうか。。。

ジョン・ミューア・トレイル

日本のトレイル
私の好きな場所は、山梨、長野の八ヶ岳だ。30年以上、毎年北杜市と野辺山富士見、小海方面に通っている。
八ヶ岳は山がメインだが、高原やロングトレイルも多くある。自転車(ロード、シクロクロス、マウンテンバイク)などで走る場所も沢山ある。
大のお気に入りの場所だ。

2022年の夏、松原湖、獅子岩、素晴らしい景観だった。

野辺山 獅子岩
長野 松原湖の巨木 1000年もの
八ヶ岳を望む

この風景を見たいと思ったら、今年の夏にどうぞ旅行してみてください。
私は夏の八ヶ岳登山のため、トレーニングを既に1年以上続けています。


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