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「天使のくれた時間」を観ると孤独なボウリングを思い出した。

本日、妻の誕生日、彼女は22才の時結婚し、そして32年過ぎた。
その妻だが、今日は実家に用事があり、家にいない。末っ子もバイトで外出している。
「こんな時は映画だな」
21年前の映画だけど、Netflixでまた観てしまった。

天使のくれた時間 
The Family man 邦題とは相当違う。
日本語だと「所帯持ち」
2000 年製作のアメリカ映画。「もしあの時、違う道を選んでいたら」それと「人生のきらめき」をテーマに描いた映画。
名作だと思う。分断される前のアメリカの家族のあり方がある。
 
役者さんのこと
ジャックとケイト
ジャック役のニコラス・ケイジ、アクションをしない頃のニコラスはとてもいい。彼はヒューマンドラマが似合う。「ペギー・スーの結婚」の頃から比べると今は別人。
ケイト役のティア・レオーニは。女学生から主婦、キャリアウーマン役とそれぞれ雰囲気を変えていて、とても綺麗だ。女性が綺麗という感想を沢山コメントしている。嫌みがない美しさ。この人も、バッドボーイとか、ジェラシックパーク3とかで、アクション系の役が多くなる。

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映画のテーマ
ケイト側からみた素晴らしい生活

テーマは人生の選択だけど、そのベースは生き方の選択であり、沢山の人々が手に入れられない生活、それは、現在どちらなのだろう。
実は、それは The rich manではなく The Family man のような気がする。
ヒロインのケイトは、愛しあった夫と子供達の生活を「人生のきらめき」と言っている。これをある女性達は、男の都合だと言う。

今の女性は結婚して子供と旦那との生活を素晴らしいのか、それが本当に幸せなのだろうかと迷っている。そして人生の大半が終わっている。
男も同じだ。
妻は22才で結婚している。子供3人、毎日が目まぐるしく過ぎ、20代、30代と独身女性のようなオシャレも、旅行にも無縁な生活、交通の便利が悪い郊外の一戸建てに住む。近所のオバサンとのバレーボールなどで、地域の付き合い。当然、旦那は家のローンを抱えている。でも愛する子供達と旦那(私)がいる。
彼女の幸せのカテゴリーはThe Family manの方だ。(実際に本人に確認にはしていない・・)
一方、自分の娘達をみても、息子もいるけど、メディアで言う幸せのカテゴリーが正解なのか、すごく葛藤しているように感じる。

ジャック側からみた素晴らしい生活
一つの生活として、独身貴族、家族とか昔の友達とか色々なものを捨てて、金持ち同士の付き合いとなり、高級住宅(高級マンション)、いい車、女性も選び放題。全てに充足していると思っている男、ジャックが、映画の中で、とんでもないクリスマスプレゼントを神様から貰う。

もう一つの生活として、所帯持ち、妻の親父さんのタイヤ販売店で営業として、毎日あくせく働く、子供は幼稚園の娘とまだ赤ん坊の息子。子育ても大変、家計は余裕なし、でも、地元の遊び仲間も友達も沢山いる。ボウリングクラブでも活躍している。そんな生活が神様からのクリスマスプレゼントだった。
そしてその生活の中で、ケイトの言う「人生のきらめき」に気づかされるジャック。ここがこの映画の素晴らし脚本とジャックとケイトの魅力的な演技によるものだ。

ここで思い出した
「孤独なボウリング」―米国コミュニティの崩壊と再生 ロバート・D. パットナム (著)と言う本だ。少し難しいが言っていることはオジサンには分かる。そう、世界は変わった。

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ボウリング・コミュニティ
アメリカは昔から地域の善意のコミュニティが発展している。それは、少々うるさいくらいだ。
地域において、このコミュニティは、宗教団体や労働関連組織からPTAや社交クラブといったものまで社会の隅々に根を張り巡らしている。
そしてボウリング場には誰でも参加できるリーグが存在し、ともにゲームに興じれば人種や年齢、職業を超えた絆が生まれ、「愛他主義」に基づく互助活動が行われていた。
今ではそれが失われ、黙々と「孤独なボウリング」に興じる市民が増えたと著者は言っている。

伝統的な家族構造が、今のアメリカでは、相当衰退している。GAFAなどの企業とSNS、グローバル化の負の影響だ。それと中産階級の崩壊など要因は色々ある。
映画は、無意識にその時代背景を反映している。あの頃のアメリカは何処へ行った。
今ではほとんど見られない、あの時代のアメリカのおっさん達の遊び、地域コミュニティ。分断されたアメリカは悲しい。

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映画に戻り、地元のボウリング仲間や友達とのケイトの誕生日パーティ、ガーディンパーティのビデオをたまたま観て、涙を流すジャック。
ここが一番、私の心の琴線に触れる。孤独なボウリングしかない今の時代に観て欲しい映画だ。

ラストシーンだけど、ケイト側も現実では、キャリアウーマンになっていた。
そして、おそらくジャックと違う形で同じプレゼンとを神様から貰っていたと思う。3回くらい観ると確信する。
そうでなければ、あんなにあっさりとパリ行きを止めたりしない。

興味があればお勧め、それでも時間の無い方はここで。








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