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オオクワガタの人工繁殖

オオクワガタの人工繁殖を2002年の夏から3年ほどやったことがある。
夏の思い出だぁ。

始まり
この頃、横浜のチベットと言われた開発前の里山近くに住んでいた。
引っ越し時に炭焼きの煙をみて驚いた。それでもかなりの規模で宅地造成されていた。
夏場には朝夕にヒグラシが鳴く、里山全体がヒグラシの合掌となる。
夕暮れ、朝焼けの里山からの「かな、かな、かな」と哀愁に満ちた鳴き声が波のように聞こえてくる。
最高に素敵なセミの合掌だった。

オオクワガタ
息子が小学校3年生、娘1が年長。
夏休みに毎朝早く、二人で里山にあるクヌギの大木を見張っていた。
そんなある日、ようやくクワガタを見つけた。小さいのでヒラタクワガタと思ったが、なんとオオクワガタの雄だった。
息子は大騒ぎだ。

後日、家族で、息子はそのオオクワガタを持ち、毎年行っている山梨のキャンプ場へ向かった。
向かう途中で、道路脇にオオクワガタ販売の登りを発見した。
「こんにちは」
婆さんが出てきた。
聞くと、息子が農作業の傍らオオクワガタを繁殖(ブリード)しているので、私が売って、お小遣いにしていると言う。
ワイルド(野性)のオスを持っているので、大きめなメスを1匹買った。

初めての人工繁殖
ネットで調べると、クヌギの木を何日か水に浸けてあく抜きをし、柔らかくした後に、そこに卵を産ませるとある。
暫くしてから、クヌギの木を割ると小さな幼虫がいるそうだ。
それを、市販の菌糸瓶に移し、大きな幼虫とする。
野性では成虫になるのに2冬越すそうだが、室内の菌糸瓶で飼育すると1年目で成虫になるという。

さて、初めてのペアリングは成功するだろうか、取りあえずやってみた。
暫くして、木を割ってみると、5匹ほどの小さい幼虫を見つける。
「凄いなぁ」感動した。
早速菌糸瓶に移す。一冬越すと大きな幼虫となる。

オスの幼虫
菌糸瓶 2005年当時 1本800円
息子と娘1
70mmを越えたオス

繁殖を続けて
菌糸瓶は、オスの大きな幼虫では菌糸を食い尽くすので、菌糸瓶を交換する。計2本ほど使う。
それ以外は一定温度でほっておく、何もしない。
翌夏幼虫全部が綺麗な成虫となった。オスは2匹いた。
私は嬉しくなり、新たにオスとメスをネットで購入した。
翌年は30匹以上が成虫となった。菌糸瓶はネットで単価の安いモノを和歌山県の業者から購入した。だんだんお金もかかってきた。

その後
3年目になると作業量も繁殖数も増えていった。
しかし、成虫に問題がおきてきた。
大きな個体を作る為、大きな個体同士でペアリングする。近親相姦など無視してペアリングし人工繁殖していくと、奇形がでるようになった。
ちょっと、気分が悪くなってきたので、4年目で止めた。

神様として
この時期、神様みたいに生命をコントロールすることに恐怖を感じた。
犬やペットなどのブリーダーでも、気性の荒い犬とか先天的異常を持つ犬が生まれることがある。無理な繁殖をするとその確率は増える。
オオクワガタでも同じだった。神様になって学んだ私だった。

最近捕まえたヒラタクワガタ

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