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How to Look Good Naked ー裸で素敵に見えるテク

と、いってもエッチな記事ではありません。
私が好きなイギリスのテレビ番組について。

「How to Look Good Naked」はイギリスのいわゆる変身番組。

メイクアップアーティストでファッションアドバイザーのGok Wanが、自分のカラダに自信を持てない女性と向き合い、少しずつ自分に対する見方をポジティブに変えていく。
そして最後には下着あるいはシルエットのヌード、あるいは全裸の後ろ姿で公衆の面前に立たせちゃうというもの。

そもそも、プレゼンターであるGok Wanは、イギリス人の母と香港人の父を持つその人種的背景と、肥満児だった幼少期ゆえに、イジメにあっていたという経験の持ち主。

その彼が、ダイエットで体形そのものを変えるのではなく、自分が自分をみる視点を変えることで、少しずつ、少しずつ、自分を否定的に見てしまう女性たちのこころを解きほぐしていきます。

まずは自分のことをしっかり見よう、そしてそのまま愛してあげようと説く
どうして自分のことを肯定できないかを解きほぐしていく

それにはいろいろなテクニックを使うGok。

たとえば、その女性と同じ身長で、さまざまな体形のモデルさんが立っている。
「あなたはどこにあてはまると思う?」
と、自分のサイズだと思うモデルさんの間に立たせる。でも、その立っている場所は自分の本当のサイズよりも2サイズくらいうえのところ。
それは自分の「私は大きなサイズに違いない」という気持ちが、否定的に他の女性と比べてしまっているから。

たとえば、その女性の等身大写真を街頭に置き「この女性どう思う?」とインタビューする。
「笑顔がすてき」
「お尻のラインがセクシーだね」
「ひざ下が長くてうらやましい」
全く知らない人が自分の写真をみて、いろんな「チャームポイント」をたくさんあげてくれる。

そして、今度はその女性がそれまで着なかったような色やスタイルの洋服を試着させ、おしゃれのポイントを指南しながら、そのひとの可能性をひきだしていく。
「ほら、こんな素敵になれるんだよ」
「こんな素敵な服を着ていいんだよ」
と。

鏡に映った自分によろこぶ女性たち。
街中に出て反応の違いをうけてさらに自信をつける。
自分のじぶんをみる気持ちが変わっていく。

そしてプロのメイクとカメラマンによるセミヌード撮影。

その過程で、やっぱりだめだと踏み切れないひともいる。
そんな人には無理強いはしない。
できる範囲で、よりそっていく。

番組の最後は、ファッションショー。
ショッピングセンターにしつらえられた特設ステージでショーをする。

着やせするドレス。
それから、下着あるいは水着。
そして最後には、シルエットや後ろ姿で、ええい!

ファッションショーの舞台の裏でも励ましは続く
プロのプラスサイズモデルさんたちと一緒に

10年くらい前はよく再放送されていたのだけれど、最近はルッキズムにつながるからか、テレビで再放送をみることはなくなってしまった。

でも、私はこの番組が大好きだった。
ライザップの広告のように「前」「後」で体形が見違えているというのではなく、自分で自分をみる目を変えるということで、女性たちに笑顔が生まれていく過程はとても素敵だったから。

もちろん番組に応募するということは、それなりに変わりたい願望があり、覚悟もあるのだとは思う。
でも、道のりの中で、
やっぱりつらくて自分を直視はできない、とか
やっぱり裸になる勇気はない、とか
やっぱりどうしても自分を好きになれない、とか
そういう煩悶や葛藤を越えていく女性たちを、Gok Wanがあくまで受け入れてサポートしていくから。

この番組を観て思い出すのが、「サーカスの象」の話。

サーカスでは、小象の時に杭につながれた鎖で逃げられないとすりこむ。
そうすると、象が大きくなって鎖を杭ごと抜くチカラを持つようになっているのに抜こうとしなくなる。
過去の否定的経験から、自分を鎖でつないでしまう。
本当はその鎖は自分の気持ち次第で断ち切ることができるのに。

私たちは、欧米人というと、褒められて育って、自信満々なひとばかりだと思っている。
実際、ふしぎな根拠のない自信をもっているひとたちもたくさんいる。

いるけれど、同じくらいに、自信を持てずに縮こまっているひとたちもたくさんいる。

そんなひとたちに「まずは自分が自分を肯定して、自分が自分を愛してあげるんだよ」と鎖から解き放つ、
端的ではあるけれど、
パワフルな番組なのだ。

最後には、裸体!




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