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【音楽あれこれop.7】 音楽界の魔法使い「指揮者」。

こんにちは。音楽あれこれ第七回、今回のテーマは

指揮者

です。

指揮者って何してる人なんでしょう?そう思って調べた人いるんじゃないですか。誰が振っても同じじゃない?これも代々問われ続けてる定番の疑問ですね。          

何はともあれ、まずは聴いてみません?違いがわかり易いベートーヴェンの運命で聴き比べてみましょう。

一つ目はカルロス・クライバー指揮ウィーンフィルハーモニーの演奏。1974年の録音。

二つ目はフルトヴェングラー指揮ベルリンフィルハーモニー。これは少し古い録音で1947年のもの。

如何でしょう。どちらも名指揮者と呼ばれる二人の演奏です。結構違いません?同じ曲でもこんなに違いがあるのです。    

指揮者というのは、コンサートの時だけではなく当たり前ですがリハーサルや練習からいます。指揮者の仕事はその時に、

作品をどの様に料理するのか

をオーケストラと一緒に考える事です。そこで

作品の解釈(テンポや音色、音の強弱の度合いやリズム感、曲の構成)や、目の前にいるオーケストラの良さを活かすにはどうすれば良いか

を考えながら音楽を作り上げて行くのです。つまり、舞台の上に立った時には既にやるべき事は伝えられていて、後はその音楽を放出するのみなのですね。この練習の段階で音楽の方向性は決まり、指揮者の良し悪しも決まってしまう訳ですね。あー怖い怖い。オーケストラの団員は口が悪い(方もいる)ので、あの指揮者はあーだ、こーだという話を(時々?)聞きます。

ではここからは少し歴史を紐解きます。

「指揮をする人」は中世の時代に既に生まれていましたが、当時の指揮は音の高さを提示したりテンポを示す程度の仕事だった様です。当時は指揮棒も今とは違いました。バロック時代の作曲家リュリ(1632-1687)は、杖の様な物で地面を叩くという指揮の仕方でしたが、誤ってその杖先を自分の足に刺してしまい、それが原因で破傷風になり亡くなってしまいました。ドジっ子ですね。

その後、現在の様な「指揮者」と呼ばれる職業が生まれるのは、メンデルスゾーン(1809-1847)やワーグナー(1813-1883)が活躍した19世紀辺りの時代にまでなってからです。これは、作品としてより大きな規模の入り組んだ物が増えてきて、指揮者というプロフェッショナルが必要とされた結果でした。

その当時の指揮棒は素材も色々あり、メンデルスゾーンは魚の骨、ベルリオーズ(1803-1809)は樹皮を剥いでないリンデンの杖を愛用していました。なんだかハリーポッターの世界の杖選びの様で面白いですね。現在では基本的に木材や繊維強化プラスチックが使われており、その上に白色の塗料が塗られています。持ち手の部分にはコルクが付けられているのが一般的ですね。太さや長さは現在でも様々で、現役の指揮者ではヴァレリー・ゲルギエフ(1953-)が、とても短い指揮棒を持って時々指揮しています(最初見た時爪楊枝かと思った)。 

(ラヴェル作曲ボレロ:ゲルギエフ&ロンドン交響楽団の演奏。心なしかカメラワークも爪楊枝に注目しているみたいに見える。)


さて、ここまで偉そうに色々御託を並べてきましたが、いかがでしたでしょうか?指揮者はオーケストラがやっている事をほぼ全て把握していなくては務まりません。十何種類の楽器の音を聴き分け、瞬時にその音について考えを巡らせ、かつ次に出すべき音も考える。その情報処理能力の凄まじさ、同じ人間とは思えません。素晴らしい指揮者は棒を一振りするだけで、世界が一変します。たった一振りで音楽が湧き出し、オーケストラの音は豊かに鳴り出し、本当に魔法使いの様です。最後に僕の先輩で弦楽器奏者の方(某プロオーケストラ団員)が言っていた言葉を紹介させて頂きます。

「〇〇が振ると弓が勝手に動き出す。」

なんて幸せな瞬間でしょう。

是非みなさんも色々な指揮者の演奏を聴いて、自分だけの魔法使いを見つけてみて下さいね!


コロンスタジオライティング部

ライター : 青竹(Twitter : @BWV_1080)






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