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謎多きヴァイオリンの話(2)【音学note Op.11】

新年の行事も一通り終わり、いよいよ2020年が動き出したなぁと感じています。
こんにちは、ライターの青竹です。今回は前回のヴァイオリン特集の第二回としまして、ヴァイオリンの四方山話をしていきます。れっつごー!


ヴァイオリンは弓も高いの?

今日はヴァイオリンの必需品「」の話から。弓矢の話ではないですよ。前回の記事でも少し出しましたが、ヴァイオリンを弾くには弓が必要です。

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(画像出典:YAMAHA楽器解体全書)

ヴァイオリンの弓の毛には馬の毛が使われています。その数160〜180本!質の良い真っ直ぐな毛だけが使われるのです。この馬の毛に松脂(まつやに)を塗って弾く事で、あの豊かな音色が生まれます。
そして、もう一つ大事なのが弓の毛を支える木材の部分。ここは弓棹(スティック)と呼ばれ、この木材の質で弓の性能は大きく左右します。最も良い物はフェルナンブコと呼ばれる木材。しかしこの木材はどんどん貴重になってきており、その値段もじわりじわりと上がりつつあります。その為、今ではカーボン素材などの強くて軽い素材で作られた弓も増えてきています。

さあ、そうなってくると気になるのがお値段。木の棒に馬の毛が付いてるだけじゃん!と思ってるあなた。甘いですよ。
このヴァイオリンの弓、高い物だと150万円以上します。ヴァイオリン本体込みではなく、弓だけです。勿論材質によって値段は随分と左右します。カーボンだとそこまで高くないイメージ(それでも2〜30万くらい)だけど...。


高額ヴァイオリン、驚愕の値段

散々高級だと言ってきたヴァイオリン。
皆さん、そろそろ世界一高いヴァイオリンが何か知りたくなってきたんじゃないですか?まあ焦らないでください、まずは第3位。

第3位

Stradivarius「Hamma」(ストラディバリウス「ハンマ」)
約3億5000万

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(画像: Photographs ©Jan Röhrmann)

第3位はストラディバリウスが作った1717年製のヴァイオリン。著名なヴァイオリンコレクターであったフリドリン・ハンマがコレクションしていた為この名前で呼ばれています。
しかしこの3億5000万という数字、実は二回前のオークションでの落札価格。この楽器は現在、ZOZOTOWN創業者の前澤友作氏が2018年より所有しています。その購入金額は非公表となっていますが、いったい幾らで購入したんでしょう...。考えるだけで頭がクラクラしますね。

第2位

Stradivarius「Lady Blunt」(ストラディバリウス「レディ・ブラント」)
約12億7000万

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(画像出典:Wikipedia)

第2位はまたもやストラディバリウス製の「レディ・ブラント」というヴァイオリン。この楽器は1721年に製作された楽器で、2011年に落札されました。その落札価格はなんと約12億7千万円!
楽器をイギリスのオークションに出品し、大金を手にしたのは「日本財団」。実はこの楽器をオークションに出した理由が2011年に起こった東日本大震災。日本財団はこの収益で復興基金を創設し、被害を受けた岩手県や宮城県の復興や伝統芸能支援などに充てました。

第1位

Guarneri del Gesù「Vieuxtemps」(ガルネリ・デル・ジェス「ヴュータン」)
約16億

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(画像出典:The Strad)

グァルネリ一族でも特に優れた製作者だったバルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ(通称グァルネリ・デル・ジェス)。彼の作ったヴァイオリンには、胴の中に貼るラベルのデザインにキリストを表すIHSの三文字と十字架を組み合わせたロゴマークが付けられていた為、俗に「グァルネリ・デル・ジェス(イエスのグァルネリ) 」と呼ばれています。
1741年製作「ヴュータン」は優れたヴァイオリニスト・作曲家だったアンリ・ヴュータン(1820-1881)を皮切りに、数々の名演奏家の手を渡り歩きました。その結果ついた値段が約16億。16億、もはや大きな数字すぎて想像が出来ません。是非とも一度その音色を聴いてみたいもんですね。


まとめ

全二回に渡ってお話ししてきました「ヴァイオリン特集」如何でしたでしょうか?
高額なヴァイオリン達、その秘密を垣間見てきました。突如として現れた謎の楽器ヴァイオリン。しかしその音色は400年以上人々を魅了し続け、未だにその魔力を遺憾なく発揮しています。
是非皆さまも一度コンサートに足を運んで頂き、その魅力を存分に味わって下さい!


コロンスタジオライティング部
ライター: 青竹(Twitter@BWV_1080)

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