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15人の台湾旅の記憶『台湾余香』

台湾が好きだ。仕事でも私生活でも煮詰まりきっていた20年ほど前、テレビで見た魯肉飯がどうしても食べたくなり台湾に行った。見事にハマった。ゆったりしていて、食べものが美味しくて、中国語が話せなくても筆談でコミュニケーションが取れる。滞在中どんどん気持ちが楽になった。
その空気が忘れられず半年後に再訪、それからは年2,3回、1週間程度滞在するようになった。

「台湾好き」と話すと、「ゆっくりできて、おいしいものが食べられて、ストレスがない!」とみな口を揃えてニンマリ笑う。わかるわかる、私はこの前ここで…と台湾トークが止まらなくなる。
15人のクリエーターが台湾の記憶を辿る『台湾余香』は、台湾好き同士でわちゃわちゃ話している感じの本だった、

どの人も超個人的な話を書いている。鹹豆漿、ライヴ、誠品書店、寺…複数回訪台している人なら絶対おもしろいし、台湾ビギナーにはちょっとディープな街案内になるのでは。そしてどのストーリーからも立ち上ってくるのは、台湾の人たちの、おせっかいが入り交じったやさしさだ。

たとえば公園で社交ダンスしているおじさん・おばさんを眺めているとすかさず手招きされるし、街角カラオケではマイクを持たされたりする。「この日本人はこれがやりたいのだ!まちがいない!」という信念のもと、ぐいぐい誘ってくれるのだ。この例は極端だけど、たとえば地下鉄の券売機でまごまごしてると、手を差し伸べようと何気なく観察している人も多いし、こういう躊躇しないやさしさは、全年代に共通するものかもしれない。

『台湾余香』にはそれぞれが撮影したとおぼしき写真やイラストが入っていて、その点も台湾好きの旅の記録を見せてもらっているかのよう。

――あー!!台湾に行きたい!!
という気持ちを掻き立てられる1冊。


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