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山を走りに行く前に・1 トレランでも計画を作ろう

走るにしても歩くにしても、山に入る際はその辺の低山でもいきなり行くのは実は危険です。なぜか?

理由の一つ目は、いきなり行くとコースタイムがわからないので全体の行動計画、スケジュールが曖昧であることです。

もしライトも持たずに山に入っていた場合、日が暮れる前に安全に下山しないと遭難してしまいます。

下山した後に家までの交通機関があるかどうかまで必ず調べておかないと、帰れないなんてことになりかねません。

下山時に真っ暗な危険以外に、水や行動食をどれくらい持てばいいのかなど、ルートと行動計画・スケジュールがないとわかりません。ではどうやってスケジュールを立てるのでしょうか?

アプリを利用する

スマホのGPSアプリを利用する、というのが最も手っ取り早い解決法です。

これの利点は、計画だけでなくて当日にGPSオンにして稼働することで、行動中にアプリ内のマップ上ですぐに現在地把握をすることができるという優れものです。

ヤマレコ

iPhone、アンドロイドアプリが無料でダウンロードできます。

登山計画から行きたい山域の地図を選んで計画を作成します。

コースタイム倍率1倍は歩く時の速さ。トレランの場合、登りを歩くのであれば0.6-0.5倍くらいで初めは計算するといいと思います。

何度も作って自分で使用していると、自分の速度がどれくらいかわかってくるので、コースタイム倍率もどれくらいで設定すべきかわかってきます。

当日にGPSをオンにして作成した登山計画から実行すると、現在位置を山地図上に表示できる優れもの。

注意した方がいいのは、計画を作成したら、事前に地図をダウンロードしておくことです。
そうすると、電波が入らない山の中でも地図が閲覧できます。

課金すると作成した計画をそのまま利用して、Compassに登山届を出すことも可能です。
長野県の山域ではCompassへの登山届提出が義務になっています。

Compassに登山届を出した場合、下山後は忘れずに必ず下山通知を出すように。でないと緊急連絡先に通知が飛び続けます。

Compass

YAMAP(ヤマップ)

iPhone、アンドロイドアプリが無料でダウンロードできます。

ヤマレコ同様にこちらも地図から登山計画を作成可能。当日にGPSをオンにして計画を実行することで、地図上での現在地把握に使用することも。

こちらもGPSのみOnでオフライン航空モードなどで使用する場合、事前に山域の地図データをダウンロードしておく必要あり。

地図が範囲で分割されているため、山域の地図の範囲外になった場合、地図を切り替える必要があるのがちょっと面倒。

コースタイム倍率についてはヤマレコ同様、0.6〜0.5倍くらいでゆっくり走る速さになるので、分かってきたら自分の走る速さで設定します。

YAMAPへの登山届提出及び、家族など緊急連絡先に登山計画を共有することが可能。

Compassとは連携してないため、そちらに登山計画の提出が必要であれば別途出す必要あり。

ウェブサイトの地図を利用する

スマートフォンやiPhoneを使っていない、アプリは画面が小さく操作が難しいという人向けに、ウェブサイトにも簡単に登山計画を作成できるサイトがあるので紹介します。

ヤマケイオンラインの登山地図 「ヤマタイム」

メジャーなルートしかありませんが、上記のアプリ同様に駅からの開始時間を入力してルートをクリックしていくだけでコースタイムを自動で計算してくれます。

作った計画はpdfにするかプリントアウトして持ち運びます。緊急連絡先を入力して、紙の登山届を作ることも可能です。

アプリはなくて山を走行中に現在地をすぐに把握する、というのは難しいです。でも計画は立てられて、行動時間を把握することは可能です。

プリントアウトする地図は小さいため、これを利用する場合は「山と高原地図」や「登山詳細図」などの書店で売られている山域の地図も併用した方がいいです。

コースタイムが書かれた紙の地図を利用する

書店などで売られている登山用地図にはあらかじめコースタイムが記入されている地図があります。それらを利用して、自分で0.6倍にするなどして計算することで計画を立てることが可能です。

山と高原地図

おそらく国内で一番売られている全国の主要な山地ごとに区切られた地図です。

山域で分かれたそれぞれの地図単位で購入つまり有料になりますが、現在では行動中に現在地把握ができるGPSアプリもあります。

トイレや休憩場所、眺望やお花畑など、詳細な情報がルート上に豊富に記載されているのがこの地図のいいところです。見ているだけで飽きません。

吉備人出版 登山詳細図

https://www.kibito.co.jp/tag/登山詳細図

山域が限られますが、メジャーなルートについてはコースタイムも記載されています。

この地図の利点は、等高線がわかりやすいため地形が把握しやすく、オリエンテーリングやロゲイニングなどのコンパスを併用したナビゲーションにも使えるような地図である点です。

また、マイナーなルートもほぼ定期的に踏査されて色分けして詳細に記載されています。ルートの行き止まりなどの情報も記載されていて助かります。

何よりも、よく行く山域のものは購入してみると面白いのでお勧めします。私はこの地図で、知らなかったルートを知ることができました。

計画を立てる際に注意すること

トレイル、つまり山道はご存知の通り脆弱であり、台風被害や水害などでよく崩れます。それ以外の理由でも閉鎖されている場合があります。

行こうとしている道が使える状態なのかは極論行ってみないとわからないのですが、メジャーなルートについては管理している自治体や管理元から情報が出回っています。なので事前に必ず山域の情報は調べるようにしましょう。

エスケープルートを把握しておくことも重要です。
疲れた時や、ハチに刺されるなど何か起きてしまった際、途中で下山したい場合にルートが把握できていると助かります。

また、登山届についてですが、これを出す出さない以前に、山に出かける際は家族などに伝えていく、できれば計画を共有しておくのが重要です。

何か起きた際に速やかに救助を呼べるようにしておく、家族が状況をなるべく詳細に把握できるというのが大切で、これだけでも遭難した際の生存確率が劇的に上がります。

最悪な場合というのは事故で亡くなった場合に行方不明扱いになってしまうことで、これだと生命保険が下りなかったり遺体の捜索に莫大な費用がかかったりと、亡くなった後も長期間家族に迷惑をかけてしまいます。

おまけ

国土地理院地図

あまり知られていない気がしていますが、実は日本全国の地形図は、国土地理院のウェブサイトで公開されています。

コースタイムは載っていませんが、メジャーな山道は記載されています。ここでどこの山の地形図でも範囲と倍率を指定してデータを取り出すことが可能です。

何度も山行を繰り返して記録を重ねていくと、自分が歩いた・走った場合に大体のかかる時間を計算できるようになってきます。荷物の重さや気候など、条件が変わるとかなり難しいのですが。

上記のアプリやサイトの情報を併用することで、山の遊び方もぐんと広がるかと思います。

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