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「鯨海酔候」

酒豪として知られる人物の中で好きなのは
幕末の土佐藩藩主・山内容堂公。

「鯨海酔侯」と自ら称したほどの酒好きで
豪放磊落かつ人情たっぷりの気性だったらしい。

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中でも
彼の人物描写は際立っていて、
「こんな人が上に頂いたら大変だろうな」
と思いつつも
「でもどこか憎めないよなあ」
と受け入れてしまう自分がいたりする。

武市半平太も、
土佐勤皇党にとって最大の障壁が
この殿さんであることを重々知りながら
この殿さんへの敬意と親しみを
捨て切れなかったのではないだろうか。

日本歌曲の中でも
酒を歌った曲は数あるけれど、
とりわけ平井康三郎の作曲した
「白玉の」という
楽譜にしてわずか2ページの
小さな曲がある。
(実際は連作歌曲の1曲)

この曲を演奏するたびに
なぜか頭の中に浮かんでくるのが
「鯨海酔候」の殿様のこと。

・・・というより
「鯨海酔候」という文字かな。

その言葉を髣髴とさせる
何かがこの曲の中にあるのだろう。

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