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ゲーム=挑戦とそれに伴う誉め言葉

はじめに

 いつもの記事(デザイナーズノートを除く)は自分の意見は入れつつもできる限り客観的に書いてきたつもりです。
 ただ、こういう客観的な考えは「ゲームを綺麗にまとめる」上では役立っても「次のゲームの案のコンセプトを作る」、「コンセプトに合わせて取捨選択していく」という今、私がしている段階ではあまり役立たない事が多い
 次の作品を作るうえで自分が「ゲームをどう捉えているか?」、「何を大事にしてきたか?」を1度メモ程度にまとめておきます

私にとってのゲーム

 私は「挑戦とそれに伴う誉め言葉」というイメージでゲームを作っています。そのためセルフテストプレイが終わるタイミングで「このゲームはこういう能力が人が強い」とか、「プレイ中にこういうセリフが出るようにしたい」という事を設定して作っています。

よく褒める事

構造(メカニクス)の理解

 方法①:特殊なメカニクス、特に立体的な構造の採用。
 ルールを聞いて(今までのゲーム経験から)どうやれば勝てるかを考える状況をかなり肯定的にとらえている。

例)マジョリティーだけど立体的(透明なシートに入っているので上書きされなければ複数エリアに影響を与えられる。

方法②:いつもと違う視点で見る
トリテ⇒手札を推理して「都合の悪い嫌なカードを除外する」等

アドリブ的な発想力

 長期的な計画は軽め。(マジョリティー1本に頼りがち)
 レスポンス良く、やったことに対してすぐ評価が帰ってくる状態がいいゲームであると考えている

きちんと考える事(やや長考容認派)

 ボドゲ=考える楽しさだと思っている上に、初見のメカニクスである事を想定しているので。
 2010年代は1ラウンドに2回意思決定をしてその片方を同時処理にする形に頼りがちだった。
 最近はもう潔く1人用にしつつ「長考を気にしない仲なら複数人プレイできるよ」でいいと開き直っている。

よくやる事

公開情報が多い。

 ・プレーヤーがプレーヤーを褒めやすいように
 ・プレーヤーの意図が絡まって創発した盤面を見るのが好き

即座にわかるように褒める

 小さな点の積み重ねは好みません。

 ・褒める時は点数の桁をあげる
 ・達成した事が視覚的に一瞬で伝わる目標を提示する
  (縦横につながる、一番多い等)
 ・毎ラウンド結果発表のタイミングを作る

という事を意識しています。

盤面でのインタラクションが強い

 複数のプレーヤーによって創発される盤面がすき。
「うわぁ、そうなったか―」っていう声が聞こえるゲームが好み。

 伝わったことは1度もないんですが、初めて作ったグラフィック付きのプログラムがBOIDだったのもあって 創発性=”鑑賞対象”という価値観をもっています。

 元々はデジタルゲームのAI部分を作っていたんですが、高度なアルゴリズムより、単純なAI(でも一瞬人間らしく見える画面が生成される現象の方に興味を持ってしまった

例)FPSの敵
 単純にまっすぐ突っ込んでくるだけの敵でもプレーヤーが回り込んで敵を倒そうとした結果、軌道が複雑になり人間的に見えるなど

やらない事

”1足りない”と感じさせる

 基本的にかつかつなバランスにはしない。うまいプレイ程余裕が無くなる(≒あまり褒めている感じが無いため)
 「あと3金あればより贅沢できるのにな」と思った直後に5金の取り合いさせる方が感情が動くから好き

最も極端な例)
 「このゲームお金は十分にあるけどお金かなり使うなぁ。あと5金あれば楽なのになぁ」と思わせた後で両端にある10金が商品として並ぶよう調整している。

 競りゲーで競り落とした人にお金がいくのは忌避すべき状態なのだけれどここだけは容認している。(容認できるために少ないターン数等他のパラメータの自由度を犠牲にしている)

私と違う価値観との付き合い方

 上記はあくまで自分の主義。ボドゲが大抵4人でプレイするものである都合上、違う考えの人と折り合いはつけないといけません。

挑戦は面倒くさい

 新しい事を覚えるっていうのはそれだけで面倒です。私も気を抜くと慣れたゲームばっかりしてしまうところはあります。
 必要ないと思う面倒くささは徹底的に削るようにしています。
 例えば、ルールやカード構成はシンプルにしています。(特殊効果ある時は最初に配ってしまって見せるとか、ランダムサプライとして常に見えているとか)
 

誰かへの誉め言葉が自分への貶し言葉に聞こえる日はある

 この”運動会で手をつないで一緒にゴールする”ような価値観が私と最も真逆にある。
 ”運動会”のように色んな競技(ゲーム)をすればいいと思っているので私の遠慮の仕方としては30分で終わるという手段になる。シンプルにワンアイディアで構成できて(データを大量に作る必要もなくて)人の苦手をそこまで気にしなくていい形式として30分前後のゲームを作る事が多い。

課題

汎用パーツとしてのメカニクスの考案

 「何を競うのか?」の表現として大枠のシステムを組んでいる。しかし、その状態でテストプレイしてみると既にプレーヤーにとって程よい思考の量をやや上回る事が多い。
 ようするにそこから要素を増やしてリプレイ性とか好みに合わせるカスタマイズとかそういう調整が効かない作り方になってしまっている。

 一回自分の主義は後回しにして「思考を整理するUI」としてのメカニクスは考えてみたい。そしてその枠の中で「何を競うか?」、「どう褒めるか?」を考えたい

まだ褒めていない長所

①なんか話しかけやすい人
 
こういう人にお世話になってきたという自覚があるので。
 リアルでライアーゲームを作った時もあったんですが、その時は同盟を裏で組んだ上でになってしまったので。
 ただ、ハグル(か私には向かないですがマダミス)になってしまう気がしてまだ作っていません。


②ボトルネックを見つけて改善できる人
 唯一30分級を離れて、60分級以上を作る事があるとしたら多分この価値感で作る事になりそう
 あと褒めすぎるとボトルネックが消えるのである程度抑えないといけないのかなぁとは思っています。

③会議進行能力
 性格やゲーム慣れによる発言の頻度や参加度の違いをどうするか…。
意思疎通はできる限り制限せず、会議の楽しさとその難しさを表現したい


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