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【高専OBOG キャリアトーク】 高専から地元企業に就職し40年 〜就職して見えてくる高専の魅力とは〜

高専卒業生がどのような道のりでそのキャリアに進んだのかを、一問一答や対談形式のインタビューで探る新シリーズ「高専OBOG Career Talk」。
第二回は、鈴鹿高専を卒業の後、地元の有名企業に就職し、高専での学びを生かしながら長年つとめあげていらっしゃる浜口さんに、就職に高専時の思い出や就職にまつわるお話を伺います!

浜口さんの就職時のエピソード以外にも、当時と今での高専生活の違いなどについても必見の内容となっております!
(まいん)

今回のインタビュイー:浜口 利郎さん
鈴鹿高専機械工学科OB (1960年度本科卒)

三重県ご出身、鈴鹿高専機械工学科をご卒業されたのちは、錠前製造などを執り行う美和ロック株式会社に就職し、
今年まで勤め上げていらっしゃる我々の大先輩に今回インタビューにご協力いただけました。
(勤続はなんと約40年以上!)

美和ロック株式会社 (https://www.miwa-lock.co.jp)
建築用錠前、工業製品用錠前、セキュリティシステム及び関連機器、サッシ金具、建築金具ほかの設計・製造・販売・リフォーム施工・メンテナンス等及びサイン事業 

錠前製造に関しては国内シェアトップを誇る超有名企業さんですね!
近年はスマートロックなどのセキュリティシステムにも力を入れており、
美和ロックさんが開発協力を行いライナフさんから発売されている
「Ninja Lock」には、まいんも研究室の施錠時にお世話になっています。

本科から就職して勤続40年

はじめに

ーー浜口さん、今回はインタビューへのご協力ありがとうございます。
浜口さんほどの大先輩にご協力していただけるとは思っていなかったため、少し緊張しております笑

こちらこそ本日はありがとうございます。
まさかこんな形で高専についてお話する機会があるとは思いませんでした笑
(浜口さんとまいんは共通の趣味を通して知り合った)

ーーそうですね、改めて本日はよろしくお願いいたします。
ところで、浜口さんは鈴鹿高専ご出身とのことでしたが、生まれもそちらの方なのでしょうか?

はい!実は生まれは三重の伊勢で、進学も就職も県内で完結してるんです笑

三重県伊勢市 (出典: 三重県伊勢市の地図 | Map-It マップ・イット)

ーーそうなんですね!伊勢というと自分も伊勢神宮にはお参りに行ったことがあります。

そうですね、観光ももちろんですが気候や風土的にもすごく住みやすい土地で肌にあっている部分があるのは今でもすみ続けている理由の一つかもしれないです。

ーーなるほど...。浜口さん自身は結構旅行などもされるようですが色々土地を見てきた上で自分の地元に良さが感じられるというのはとても素敵ですね...!

高専での生活について


鈴鹿工業高等専門学校
(出典:鈴鹿工業高等専門学校 | 子育て | 鈴鹿市 移住・定住ポータルサイト)

ーーところで、鈴鹿高専に入学したのはどういったきっかけからだったのでしょうか?
今のお話を聞いた感じだと、”地元に近い”というのもやはり魅力だったのでしょうか笑


そうですね、その気持ちもかなりありました笑
ただ、自分の中では”挑戦”としての意味合いが強かったと思っています。

ーーと言いますと?

高専というのは全国的にも学力は高めの学校だと思うのですが、鈴鹿もその例に漏れず、進学先を悩んでいた中学当時の私にとっては学力的な挑戦でした。
とはいえ、他にも学力の高い学校はあるなかであえて高専を選んだのは昔から機械いじりが大好きだった性分ゆえかなと思います。

ーー機械いじり、めっちゃわかります。
自分も幼い頃に家の時計とか家電とか分解して母に怒られたりしてました笑

そういうエピソードは世代問わずですね笑

ーー鈴鹿高専に入学してからの学びや学生生活はいかがでしたか?

今でもよく記憶に残っているのは部活動ですね。
水泳部自動車部に入っていたのですがどちらもかなり打ち込みました。

ーー水泳と自動車ですか!?なんだか珍しい組み合わせですね...!
自動車はさすが鈴鹿といった感じですが...。

面白いですよね笑
実をいうと、当時は運動部にも一つ所属しなきゃいけないという決まりがあったので水泳部にはその流れで入ったのですがかなりしごかれました笑
自動車に関しては元々、車やバイクが好きでその一環で、という感じですね。

ーーなるほど...。昔の高専生は文武両道が求められてたんですね...!
ちなみに自動車部ではどういう活動を行っていたのでしょうか?

大会などがあるわけではなく、車趣味の仲間同士で集まって車いじりをし、実際に校内やサーキットで走らせたりといった感じですね。
まさに同行の士、といった感じの仲間が集まっていたのですごく楽しい部活動でした。

ーーそれは素敵ですね!自動車部ともなるとあまり一般の高校等では見られない、高専の独自性がでた部活動であるように感じますが、活動の中で何か高専での学びが活きる機会などはありましたか?

そうですね...。自動車特有の知識、みたいな部分は独学で学ぶ部分も多かったのですが、"基本的な工学的考え方や工具の使い方"のような部分は授業での学びの恩恵が大きかったように思います。

ーーなるほど。ちなみに部活動以外の過ごし方などはいかがでしたか?
例えば寮生活など...。

時代柄もあり"すごく"厳しかったですね笑

ーーやはり笑

ですが、年の近い仲間との共同生活自体はすごく楽しく、今でも思い出に残っています。
年の近い友達とは趣味のツーリングに一緒に繰り出したりもしていました。

ーーさすが、ご趣味もモーター系なんですね...!

就活について


美和ロック株式会社 生産工場 (出典:生産工場 | 美和ロック - 防犯・鍵(かぎ・カギ)のMIWA)

ーー高専卒業後の進路としては、美和ロック株式会社への就職、ということですがどのようなお仕事をされているのでしょうか?

会社の事業としては錠前の製作、ということになるのですが私はその中でも”計測””品質管理”といった領域を担当させていただいています。
高専卒業後、入社してからなので早いもので今年で勤続43年目です笑

ーー勤続43年!すごいですね...!
計測のお仕事は入社当時から担当されていたのですか?

入社当時は図面を作成したり、実際に部品を製作するような仕事を担当していました。
計測などは、ある程度経験を積んでからでしたね。

ーーなるほど。高専卒業して進路を考えるにあたり、様々な選択肢があったとは思うのですが、その中で今の企業さんを選ばれたのにはどういった経緯やお考えがあったのでしょうか。

当時は色々悩んでいたのですが、今思い返すと二つの”軸”、みたいなものはあった気がします。

ーー”軸”、ですか?

高専で学んだ知識が活かせる仕事につきたいというのは前提としつつ、

一つは、地元で働けること
もう一つは、高専の優れた求人システムを利用すること

ということは意識していた気がします。

ーー求人システムというのは、高専に企業から求人がくるアレですよね?

はい、今ではまた状況が変わっているかもしれませんが、当時、安定した就職先の求人情報が企業さんの側からくる、というのは高専の利点の中でもすごく大きな部分であると思っていました。

ーー確かに。毎年、ローカルな企業や大きな企業などかなり幅広い企業さんの求人情報が集まっていますよね。

加えて、そういった企業さんは実際に就職した先輩たちの声も聞きやすいというのも利点ですね。

当初、自動車関係に行ってみたいという気持ちもあったのですが、先ほどあげた軸と当時の求人状況を照らし合わせた結果、最終的な就職候補を絞り込んでいったという感じです。

ーーなるほど...。最後に残った企業さんの中から今の就職先を選んだ基準はなんだったのでしょうか。

身近な先輩から伺った印象や雰囲気がよかったというのももちろんあるのですが、一番大きかったのは福利厚生ですかねぇ。
今の時代では想像しづらいかと思うのですが、当時は完全週休2日制を採用している企業は少なく、そこが決め手になりました笑

ーーそうなんですね!?
最近の例だと、テレワークであったりフレックス制度であったりといった働き方の面で就職先を選ぶ、といった感覚に近いのでしょうか。
このあたりは就職活動の変化を感じますね。

かもしれませんね。

ーー入社してからはいかがでしたか?
今年までつとめあげていらっしゃるとのことで環境や学びに関しては満足されているとは思うのですが。

そうですね。
地元で働くこともできていますし、環境も仕事も恵まれていると感じます。
仕事に関しては、高専で得た学びが活きる機会もあれば、新たに学ぶ必要のある部分や現場を知らなければいけない部分もありましたが、常に挑戦があり、この年まで飽きずに続けることができています笑

ーーそれは素敵ですね!高専での学びが活きた部分と、逆に社会人になったからこそ学べた部分というものがあれば教えてください。

高専での学びが活きたのは、やはり工学的な基礎知識や道具の使い方、考え方など、何か新しい専門を身につけたり仕事にのぞむ上で必要不可欠な素地と工学そのものに対する関心の必要性を実感した時ですね。

逆に、社会人になると資料を作成したり読んだり、組織で動いたり、机上の空論だけでなく現場の勘どころが必要になる作業があったり...素地を身につけた上で現場の仕事を知り、自分の知識と経験、技術を身につける、ということを意識的に行っていく必要性があるな、と感じました。

ーーなるほど、ありがとうございます。
在学時代にこれは学んでいた方がよかったなと思ったことなどはありましたか?

語学ですかね笑
英語のみならず、第二外国語で独語も学んだはずなんですがなかなか身についておらず、会社で資料を読む機会がある度にもっとちゃんと学べばよかったなぁ...と後悔してます。

ーーそれは僕自身ちょっと耳が痛いです笑
第二外国語があるのも高専の特徴なので学んだ内容を無駄にしないようにできるといいんですけどね...。

高専生に向けて

ーー浜口さん、本日はお話ありがとうございました。
最後に、現役高専生や高専卒業生へのメッセージなどがあればお願いします。

工学系を志すにせよ、そうでないにせよ、高専での学びは自分の将来の可能性を大きく広げるきっかけになるものだと思います。

勉強以外にも寮生活や部活動など、様々な人と交流し、学び、経験を積んで自分の中の引き出しを多く作っていくと、将来それが何かに繋がるタイミングが必ず来ます。
ぜひ、様々なことに挑戦してみてください。


インタビューを終えて

当時と今では高専生活や就職活動の違いがあったり、逆に年代が違っても共通する部分などもあったりしたのはとても興味深かったです。
高専生、そして人生の大先輩とお話しさせていただき、自分自身大変学びの多いインタビューとなりました!

高専生の就職について
高専生の進路としては一般的な本科からの就職。
高専にいると当たり前のように感じてしまいますが、今回インタビューさせていただいた浜口さんが就職された美和ロックさんのような有名企業も含め、様々な企業さんから求人がくるというのはすごいことですよね。

しかし一方で、様々な選択肢があるとそもそも就職が良いのか・どの企業に就職すべきなのかに悩んでしまうこともあると思います。

そうした中で、浜口さんも行われていた

  • 先輩や先生からの情報収集を行う

  • 自身の希望に基づいた就活判断の軸を作る

といった行動は就職先のみならず、進路決定の指針を作る上で必要不可欠な行動です。

もちろん、求人が来ていない企業に本科卒で就職することも可能です。

そのため、まずは在学中に自身の適正ややりたいことを見定めた上で幅広く情報収集を行い、選択肢の比較検討を行うことが重要ですね!



高専Sparkleでは今後も、就職、進学のための情報収集や判断の助けになる情報をお届けしていきます。

乞うご期待!

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