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【技術xビジネス!?】 高専生のためのディープラーニングコンテスト「DCON」とは

こんにちは!Kosen-Sparkleのまいんです!

皆さんは、「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト (DCON)」をご存知でしょうか?
DCONとは、現実の社会の課題に対してディープラーニング(深層学習)を用いた解決方法をサービス・プロダクトのレベルで提案するディープラーニングやものづくりといった技術+ビジネスの総合力が試される新基軸のコンテストです。
高専生が学んだ技術を活かして挑戦できるコンテストはこれまでも数多く存在していましたが、その中でもディープラーニングという最新技術に焦点を当てながら、ビジネスという領域にまで切り込んだコンテストは珍しいですよね…!

さらに!上位入賞チームには起業用資金が贈呈(優勝チームにはなんと100万円!!)されるため、今後自身で起業をしてみたいと考えている学生さんはもちろんですが、大会期間中は専属のメンターがつき、ビジネス周りの知識や実際の課題に対する技術適用の流れについても理解を深めることができるため、

  • 起業は考えていないけれど高専で学んだことを何かに活かしてみたい

  • 高専で学べないことを学びたい

と考えている高専生にとってはぴったりのコンテストです!

2019年に新たに始まったDCONも今年で4回目。
DCON2023の本選参加者も先日ついに発表されました。

毎年、大会参加者から実際に学生起業家も誕生しており注目の高まりを見せているDCON。年々参加高専も増加しており、今年は海外高専初の本選参戦が決定するなど、さらなる盛り上がりを見せています。

本記事では、そんなDCONについて

  • DCONってどんな大会?

  • DCONの魅力や参加のメリットとは?

  • どんな人が向いているの?

といった疑問にお答えいたします!

予備知識: ディープラーニングとは?

「ディープラーニング」という言葉を初めて聞いた、という方向けに簡単に用語のご紹介をいたします。 ディープラーニング(深層学習)とは、人工知能(AI)の分野・手法の一つです。 そもそも、人工知能とは人間の知的能力(推論, 認識, etc.)を機械に模倣させる技術を指します。
こうした技術の実現には様々な方法が存在しますが、特に有力な方法として、データ(経験)に基づいて計算機(コンピュータ)に一定のルールなどを学習させる機械学習という手法が存在し、長らく研究が続けられてきました。 通常、計算機に何らかの判断を行わせたい場合、人間がそのためのルールを考えてコーディングを行う必要があります。しかし、課題によってはルール設定が難しい、あるいは不可能であるというケースも存在します。 そうした状況に対して、データと人間がそれに対してどういう判断をしたかという入力・出力を与えるだけで、入出力間の関係性(関数)を獲得し、人間の判断が無意識に行なっているであろう判断をモデル化できるのが決定論的な手法と比較した際の機械学習の強力な利点です。
深層学習は、そんな機械学習の手法の1つにあたります。 人間の神経細胞の仕組みを再現したニューラルネットを多層に重ねた"深い"モデルと大量の学習データを利用することで、従来の機械学習の問題を大きく超える精度や幅広い分野への応用が可能となりました。

ここでは割愛しますが、従来の機械学習の抱えていた問題や深層学習がなぜ急激に発展し始めたのかなど、人工知能にまつわる一連のストーリーや技術的詳細などに関しても非常に興味深いものばかりですので興味を持たれた方はぜひ深堀りしてみてください…!

DCONについて

DCONとはなんぞや??

DCONは一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催を務める、高専生を対象としたハードウェア×ディープラーニング×事業性(ビジネス)のコンテストです。

ディープラーニング × ハードウェア 
高専生による事業創出コンテスト

DCON(ディーコン)は、高等専門学校生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、
その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです。

DCON2022 第3回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2022

主催のJDLAは、ディープラーニングに関する知識や経験の証明を目的とした民間資格、「G検定」「E検定」の運営なども行っていることで有名です。
様々な企業や学校の有識者も多数会員として在籍されており、DCONのメンターもこうした会員の中から選出されているようです。

3つの評価軸!?

さて、そんなDCONですがディープラーニングと事業性といっても一体どんな観点で評価されるのか…。
主な評価の軸は以下の3つ。

  • ハードウェア

  • ディープラーニング

  • 事業性

高専生が日々の学習や研究で培った技術やアイデアに「ハードウェア」と「ディープラーニング」を組み合わせ、社会の課題を解決する事業として提案を行います。 提案は人工知能分野の専門家やベンチャーキャピタリストからなる審査員団によって技術・事業性という2つの面から審査され、提案事業の価値が企業評価額として評価され、この額によって最終的な順位が決定します。

社会の課題…事業…企業評価額…
難しそうな言葉が並んでいますが、簡単にいうと社会や人々の困りごと(課題)を調査し、それを解決するための技術、そしてその技術を使っていかにお金(価値)を生み出すことができるのかを企業評価額という数字で可視化し、最終的な順位付けは企業評価額の大きさ=生み出す価値の大きさで決める、という仕組みになっています。

具体的な大会の流れ

エントリー後の流れは以下の通り。

  1. 一次審査 (事業アイデアに関する書類審査)

  2. 二次審査 (技術面の実現性の書類・動画審査)

  3. 本選 (技術・プレゼンテーション審査)

二次審査を通過し、本選出場権を獲得したチームには経験豊富な起業家がメンターとしてつき、本選までに向けて提案の事業性を磨き込むために全力サポートしてくれます。

本選では、提案内容がどんな課題を解決するのか、どのような技術的優位性があるのか、いかにマネタイズをおこなっていくのか…といったことについてのピッチ(プレゼンテーション)をあたかもその提案を元に起業するかのような形式で行います。
発表を行なった後は、審査員団による切れ味鋭い質問タイム、そして最後に審査員各員による投資判断が行われます。
(この時の様子は大変緊迫感と白熱感…!!)

出場チームの最終的な判断は、企業評価額で判断されると先ほど述べましたが、この企業評価額はピッチを聞いて投資価値がある!という判断をした審査員内で協議の上で決定されます。
(そのため全員が投資判断なしで評価額0になってしまう場合もあれば、投資判断を行なった審査員が一人のみでもその一人が高額評価をして大逆転が起きることなども…!)

また、大会の進行は大物芸人さんや芸能人の方が務め、テレビやネット配信などで中継も行われるため、エンタメ要素も多分にあり、観戦するだけでもドキドキワクワク、手に汗握る大変熱い大会となっております!

どんな人におすすめか

DCONを通して学ぶことのできる経験は多岐にわたります。
例えば、すでに何らかのアイデアや技術を持っていてそれらを事業化したい方、社会の課題をいかに技術で解決できるか本気で考えてみたい方、ビジネス的な知識を学びたい方、自身の技術に磨きをかけたい方…。
また、分野の最前線で研究に取り組まれている専門家の先生方や数多の起業を見届けていたベンチャーキャピタリストの方々、メンターとしてついてくださる先輩起業家など、偉大な先達との出会いから学ぶことも非常に大きく魅力の一つです。
特に、工学・研究といった領域に打ち込むことの多い高専生にとって、社会課題やビジネスモデルについて本気で考える経験が視野を大きく広げるきっかけになることは間違いありません。
これらに魅力を感じる人にとってはDCONは得難い経験を得られるイベントになると言えます。

また、参加条件としては

  • 国公私立いずれかの高等専門学校への在籍(専攻科含む)

が絶対条件ですが、技術審査やデモンストレーションなどもあるため

  • ハードウェアの基礎知識

  • ディープラーニングの基礎知識(+ 前提となる数学的知識)

は必要な範囲で最低限持ち合わせていることが望ましいです。
(ビジネス知識は準備期間の中で学ぶこともできるため必ずしも持ち合わせていなくても大丈夫です!)

チーム参加も可能なため、友人や部活、研究室のメンバーなどを誘ってぜひ挑戦してみてください!

初心者のための学習教材

今後DCONに参加してみたいけれどディープラーニングとかやったことないしな…という方向けに無料で学習が可能なコンテンツもご紹介いたします!
(注意:微積分や行列やプログラミングの知識を前提としています)

松尾研究室 DL4US演習

DCON実行委員会委員長である松尾豊教授の研究室で提供している学習コンテンツです。機械学習・深層学習の基礎や関連ライブラリの使い方についてPythonを利用したコードを実行して試しながら学ぶことができます。基礎から応用まで手を動かしながら学ぶことができるため、初心者の方はぜひ一度目を通してみることをおすすめいたします!

COUSERA

様々な大学や企業による動画講義を受講することができる教育プラットフォーム。機械学習分野の大御所であるAndrew Ng教授が創立に携わっており、同教授が開講しているMachine Learningコースでは機械学習の理論や歴史について学ぶことができます。音声は英語ですが内容は非常にわかりやすく、字幕なども利用できるためぜひ挑戦してみてください!

最後に

いかがだったでしょうか?
高専生のためのディープラーニングコンテスト「DCON」は、新設の大会ながらも年々新たな盛り上がりを見せています。
また、過去の参加者の中には、DCONに参加して起業をした人、参加の経験をその後のインターンや就職・進学活動に活かしている人も多いです。

参加自体は年次を問わず可能ですので起業をしてみたい方、社会の課題に技術で向き合ってみたい方、新たな知識・経験を得たい方はぜひ挑戦してみてください!

なお、DCON2023の本選は4月28・29日に開催されます。本選の模様はニコニコ生放送などで観戦可能ですので、最先端技術を学んだ高専生達が事業提案を引っ提げて熱い提案を行う勇姿をぜひお見逃しなく!


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