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おもてなしについてもう一度考える

おもてなし抜きの幼少期

ちょっと気が重い話から始めてみると、自分の家庭へのコンプレックスにさかのぼる。今は育ての親に諸々、感謝しているが、我が家は人をお招きしたり、料理を振る舞ったり、今っぽく言うと〈ギャザリング〉を楽しんだりして、お客をよくもてなすような家庭ではなかった。

「お集まりが嫌いなのですか」と一度、家族には正面きって訊いてみたことがあるが、別にそうではなさそうだ。なんとなく諸事情ありみたいな体でお茶を濁していたような。

ただしウチで、外で、もてなしを受ける経験だけはかなり与えられた幸いな子どもであった。

家庭内でギブ&テイクの構図では圧倒的に女性がギブにまわりがちだから、一番身近であった母を挙げると、子どもの分際で、それをしのぐギブ・ポジションにはまわれない。

自分も、家族という単位でも、なぜ〈お返し〉にあたることをしない・できないのだろうか。当時の私を俯瞰で見れば、ギブン・ギブンを繰り返す日々なので、フラストレーションが溜まったのも無理はない・・・?

私は将来、自分がそれをいつか〈返上〉したいと心に誓っていた(みたいだ。)
何を返すのかは、置いといて。

今、私は誰に習ったでもない、もてなし独自基準を敷いて自をいくような気がするが、常々、軌道修正してくれる手本のような存在は、いる。
手本、と書いたが、まさに「手」、よく動く手と、そして「本」が教えてくれると思う。

おもてなしの手本

心に残る媒体との出会いは2013年の、雑誌『エココロ』vol.66の「もてなす人々」である。

『エココロ』は私の親愛(偏愛)なるマガジンで、以前、企画にお声がけ頂いた女性の編集者さんが集める人たちも、また素敵だった。

最近は新しい誌が出なくてソワソワしながら、何年か前のバックナンバーを何度も手に取っているけれど、「シェ・パニーズ」から教え子によって受け継がれるオーガニックスピリットなど、今読んでも全く古くは感じない。サステナブルマガジン『エココロ』は本気でサステナブルに続いてほしい紙媒体。

おもてなしの手本としての、人

まず、野村友里さん。
生まれ育ちが私と真逆で、もてなしのお母様に影響を受けたそうな野村さんは、先述した「シェ・パニーズ」で研鑽を積まれています。人、食、時間にまつわるストーリーを、他人の編集じゃなく、ご自身がメガホンをとって映像にあらわすというすごさ。記事などで映る手が印象的ですが、まだ、生で野村さんの料理の手つきを見たりしたことが無いのが惜しい。

もう一方は、伊藤まさこさん。
こちらは最新著作『夕方5時からお酒とごはん』とともに紹介したい。この会社員生活では絶対に成し遂げられないぜ?の念を込め、即効で買ってしまった。まさこさんの日々のインスタグラム@masakoito29 も、ストーカーのように細い目をして追っかけてしまいます。よね?

そんな私ですが、おもてなしの現れは料理だけではないと誓う。これからも探求を続けます。

変わらないのは「手に注目」ということ。

と言ったからにはYoutubeでもう一度まじまじと確認してしまったこの
手つき。

Anna / An Ko