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ピッチに勝てるけどビジネスで勝てないスタートアップ、それを支えるメンターポリシー

こんにちは、越です。

今回は、2021年にメンターとして参加した日本のJICAによる東南アジアスタートアップ向けのJICA NINJA Acceleratorで担当した、とあるスタートアップから得た学びと、自身のメンターポリシーについて書いてみようと思います。

出典: https://www.jica.go.jp/english/news/field/2021/20220311_01.html

幸いにもタイのスタートアップの担当になったのですが、創業者とは初対面だったので、プログラム開始当初より、表面的な部分ではなく本当に内部で苦心しているところがどの辺か理解して寄り添えたらと考えていました。

共通知人もたくさんいたので何人か軽く聞いてみたところ、日本人2人からは絶賛・賞賛で「なんで今更アクセラに入ったか分からん笑」と言われました。

創業から6〜7年経過しており、年数も売上の実績やチーム規模も実は僕と同じくらい。そして、社会的な認知度や賞賛度は僕の100倍くらいあるので、とても不思議でした。

正直、僕が「メンター」として相手になるなどおこがましい、あっちが僕のメンターする方が相応しいのでは、と半分本気で思ったのですが、日本政府によるプログラムという性質を考えれば、今回は僕があちらにできることを全力でGiveする関係となれればそれでいいのかなと思いました。

そして、大絶賛の前評判を聞いたところに、タイ人の友人から連絡。
曰く、親しい間柄ではないけれど見ている限り...

  • 社会起業的な「良いことしてる」(今風に言えばSDG’s等にも合致)、加えてIT/tech文脈でも賞賛され表彰は数えきれない(多分タイ・海外含め20〜30以上表彰、優勝している)

  • 一方で、人々の善意を頼りにしているところがあるので、売上はそこまで大きく伸びていないように見える。恐らく、Product Market Fit(要はしっかりした成長できる収益モデルの確立)もしていない。でなければ、創業6年もしてアクセラに入ったりはしないだろう

  • 本人も恐らくそこに苦心しているだろうけど、変化の決断ができずにいるのでは

とのことでした。
もう、ムチャクチャわかりみが深すぎる...!と思いました。

特に社会起業系は収益化が難しいことにチャレンジしていることが多いので「あるある」ですが、それ以外でも夢・ロマン要素の強いスタートアップなどは「起業家のプレゼン力次第で人を惹きつけるけど、ビジネスとしてうまくいかない」というのは多々あります。

更にこうしたビジネスは、ピッチなどで「見栄えも良くて、ロジカルに筋は通っていて、夢がありそう!」というので優勝したりするものの、その後の投資面談では「投資対象ではない」と宣告されるのも何度も見てきました...。

僕はピッチ優勝経験はないですが、近い感覚を経験しています。

記事や注目されて外からはすごく上手くいってて、一つの分野で順調に伸びてるように思われながら、タイ市場が小さく十分な収益になりきらず、そこからロシアに広げるも全然ビジネスモデルも違ったり、けれどそう簡単にやること変えられなくて、手を変え品を変えなんとか生き抜いてきた、という道のりだったので、もし友人の見立てどおりなら今の創業者の苦労は痛いほど分かるな、と。

とはいえ、何事も、どんな人にも希望はあるので、最大限の力になれるようメンターとして務めたいと、今後のために自分のメンタリングにおける信条を書き出してみました。

メンターポリシー

  1. 否定しない・見捨てない
    Never Deny & Never Abandon
    相談してくる人は問題がある/問題だらけで突いたら穴だらけ。
    そんなこと本人が一番分かり切っててそれでも前に進みたくて話そうとしてくれているのは分かるので否定しない。
    そして、どれだけ敗色濃くても、その人に非があっても、メンターである限りその人のことを見捨てない。

  2. 相手と僕自身に正直・誠実でいる、それがどれだけ残酷でも
    Be truthful, to you and to myself, no matter how cruel it is
    寄り添うけど何でも肯定するわけではなく、本当にその人にとっていい・必要だと思うことを、本人が受け止めたり自分が伝えるのが辛くても、伝えていく。

  3. 相手が信じるものを信じ続ける、最後まで
    Believe in what you believe in, till last
    1. の「見捨てない」と 2.の「誠実に」の先として、株主に反対され、社員に裏切られ、顧客・社会に見捨てられようと、その人自身が諦めないなら、今の場所から一歩でも前進しようとする意志を支え続けてあげたい。


今回「メンター」という役割を強く自覚して務めることになりましたが、今後も、相談くださる方との壁打ちの際などにも、常に心に留めておこうと思います。

当スタートアップCEOにエンジニア友人の大先輩を紹介した時の一枚


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