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〜「再生因子」は悩ましい患部/部位に届くのか?〜

この続編です。

身体の中で何が起きるのか?

2つの疑問が湧いてきます。
その構成物質は幹細胞が生み出すサイトカイン(タンパク質の一種)です。タンパク質が分解されてアミノ酸、さらに分解されてペプチドとなり、分子が小さくなれば吸収されやすくなることはよく知られています。肌や頭皮に塗布して吸収されるの?という疑問です。実は成長因子は幹細胞に集合をかける信号を出すのです。

それをパラクライン効果といい、直接拡散などにより患部近隣の細胞に作用することを指します。つまり浸透して効果を生むのではなく、自身が持つ幹細胞をはじめとした自己修復力を高めるのです。先程のキズの話を思い出してください。

次の疑問は病気とかでどこか患部が内蔵であればどうなるの?という疑問です。これには静脈注射や点滴で血液中に入れることで全身をめぐり、修復すべきところ、つまり患部を見つけてそこで集中補修をさせる方法を取ります。この成長因子は臓器から骨、血液、血管、皮膚とあらゆるものに分化する能力をもちます。

患部があるということは炎症であり、その患部の細胞がダメージを受けていることになります。その近辺の幹細胞や血液のなかに十分な修復力がないことが病巣の進行を止められていないという事実に他なりません。

特に慢性的な病は徐々に進行していきますから、全身の免疫力や修復力を集めて集中治療とはいかないのです。これは取りも直さず、病巣のチカラが免疫のチカラを凌駕しているということです。ガンやアルツハイマーはその端的な例でしょう。再生因子は炎症を抑える抗炎症サイトカインも含み、炎症を抑え込んでいきます。

加齢につれて増える病変は、手術だけではなく、自己再生力を補うアプローチで取り組む事ができるのです。放射線や高分子薬では健康な細胞にまでダメージを与えてしまい、それを副作用と呼びます。からだに負担のない方法がこの成長因子で解決できる技術としてすでに確立しています。しかし医療に利用できる医薬として認定されるには臨床治験や安全性確認に長い年月と莫大な費用を必要とします。

その投資ができず倒産か買収されていくバイオベンチャーがたくさんあります。私たちはそれより先に化粧品や健康食品として実用化することを決断しました。もっと身近で悩みを解決できる手段とはと考えると行き着いた結論です。化粧品ですから肌や頭皮の表面から、そして食品は身体の内部からと、外から内からの両方の自己修復力を高める活用方法です。

「再生因子」だけが持つ独自の能力

さらに私たちの独自性は幹細胞にあります。臍帯血や骨髄、脂肪由来の幹細胞ではなく、より簡易に採取できる歯由来です。歯の中には神経と呼ばれる歯髄には幹細胞があるのです。特に乳歯には、成長真っ盛りの幹細胞が凝縮されています。たった1回ですが歯は再生します。永久歯です。他の臓器にはない特殊性があります。

10年以上の歳月が乳歯由来の幹細胞の中でもエリートと言える能力の高い幹細胞を選別し、それを半永久的に増殖させる不死化技術を開発しました。当然、増殖とともに生み出される成長因子もエクソソームも産生され続けます。この技術によって、より多くの人々に利用してもらうことができる量を生産することができるのです。利用が広がることで培養、抽出、分離の費用がさらに下がることが期待されます。

私たちはこの成長因子を「再生因子」と呼ぶことにしました。すでに化粧品の中にはEGF、FGFといった脂肪細胞由来の成長因子を含有するものも大手メーカーから発売されています。これらはヒトの脂肪、それも美容皮膚科で脂肪吸引した、いわば不要な決して若くはない脂肪細胞や幹細胞から採取されたものです。

不死化という技術が確立されていない場合、多く集めることは必須で、その度毎に細胞内に侵入しているかも知れない、得体の知れないウィルスが混入していないか安全性テストが必要となります。

「再生因子」の安全性と安定性

ウィルステストはもちろんPCR検査も。さまざまなウィルスに対応するにはウィルスごとにPCR検査を要し、費用も時間もバカになりません。さらに毎回培養で生み出される成長因子の種類や量にバラツキが出てしまうのです。つまり均質ではないため効果にもバラツキが産まれることを意味します。当たり外れがあるようでは化粧品として成り立ちません。ですから成長因子の構成するタンパク質を分離して集合体として原料化することで均一で安定的な製品化が可能になります。

私たちの研究では、この一部の成長因子群のみでは比較上、十分な効果を見出していません。細胞/組織の再生は非常にデリケートなものです。すべての成長因子を全体として使うことで効果が発揮されるのです。生理活性機能を発揮するチームワークです。バックスとゴールキーパーのいないサッカーの試合のようなものです。一部でも欠けていては完全体といえません。私たちの再生因子には二百以上の構成する成長因子やサイトカイン、エクソソームすべてが含まれる均質な集合体です。

遺伝子の一部が変質しただけ、たとえば遺伝子のコピーエラー、で私たちの身体に多大な影響を与えることがあります。がんはその一例です。同じように、一部が欠損したサイトカインより、完全体である「再生因子」が求められるのです。

だからこそ化粧品に加え、医療適用に向けて研究を続けています。
いま私たちはその再生医療による無限の可能性の端緒に着いたばかりです。

エイジングに伴う病変、細胞の劣化に対し有効な再生因子は健康の質を向上し、より生き生きとした高齢ライフへの期待に応える存在としてお役に立てればと思って仕事をしています。

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