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【日誌・ゲーム感想】お前たちはglareで選択肢ADVの常識を捨てろ

俺だ、コセン・ニンジャだ。少し間が開いたが、俺はスーパーミュータントをショットガンするのに忙しかっただけで、全然元気だ。
だが、それも飽きたので今回は俺のお気に入りのゲームを紹介する。言っておくが、今回の記事は作者に万札の束や、クリスピークリームドーナツの箱を渡されたから書くわけじゃない。完全に俺の気まぐれだ。それを忘れるな。今回、俺が紹介するのは「glare」だ。

それは18禁フリーゲームだ

glare。それはフリーゲームだ。クレナイブックさんのサイト(http://akimasanari.sakura.ne.jp/ )   で無料でダウンロードできる18禁ADV。そう、Hなアドベンチャーゲーム。エロゲだ。
「え~、そんな汚いものを紹介しようなんて、お前どうかしてるう~!」黙れ。そんな、TUTAYAの18禁コーナーでキャッキャッ騒ぐなよなよした頭の持ち主は全員ショットガンだ。
確かにこのゲームは18禁のゲームだが、エロシーンを抜いた全年齢版もあるし、2はもとから全年齢だ。3は見ようとしない限り見れない。だが、Hシーンにも味のあるテキストがあり、できれば18禁でプレイしてほしいが、どうしてもというなら全年齢だ。俺はそれを責めはしない。
いいか?ゲームをダウンロードして、解凍し、そして起動する。すると真っ暗な画面に、glareの文字が謎めいたタイプ音と共に出てくる。
このタイトルの時点で、俺はこのゲームから無機質なSFのにおいを感じ取った。宇宙船…密閉された虚無空間の安全地帯。インターステラーとか2001年宇宙の旅、そのような硬派なSFのにおいだ。暗闇をクリックすると、「最初から」と「続きから」の二択が出てきた。俺は「最初から」を選択した。

glare1はツンデレだ

ゲームをスタートした途端、いくつかのアンケートに回答し、俺の家の玄関にでかい段ボールが届いた。その中でアンドロイドがいきなり起動し、立ち上がった。
そのアンドロイドが画面上のクールなメイド、グレアだ。グレア。そう、タイトルと同じ名前のヒロインだ。
そして、ヒロインはこのグレア一人だけだ。ここにはハーレムとか異世界転生なんてものはない。そんなのはショットガンされて死んだ。これは、いきなりメイドのアンドロイドを段ボールされた主人公と、記憶のないアンドロイドのメイドが、このゲームに潜む謎を解き明かすアドベンチャーなのだ。
ここまで説明すると、「ハッ、どうせ選択肢を選んで進めて、バッドエンドを回収しながらハッピーエンドを見ればいいんだろ?」と思うやつが少なくとも10人はいるはずだ。そいつらは宇宙船でエイリアンを舐めてかかり全員酸で死ぬ。
このゲームに選択肢はない。あるのは上の画像の「ワード入力欄」だけだ。ここに正解のワードを入れると、グレアが反応し、物語は先に進むわけだ。だが、そう簡単にはいかない。グレアは起動した瞬間に「あ、私は製品として売られたのですね」という。察しのいい人は気付いてる通り、この世界ではアンドロイドは「製品」であり「家電」だ。電気羊とかブレードランナーとか、そういうシビアなアンドロイド事情だ。
そして、グレアは人の心をもつアンドロイド、つまりは真の女であり、主人公を見るなり「自分に触ると自害する」とまで言う。もはや協力は不可能なのか。しかし、彼女はこの状況の解明をするために、一時的に自分を製品として使用することを承諾してくれる。聡明なメイドだ。
そこで出てくるのが、さっき言った「ワード入力欄」だ。そこに無個性系主人公から投げつけられる2択の選択肢はなく、俺たちはグレアとの会話から気になるワードを見つけて、ワード入力欄にタイプし、彼女の「検索機能」によって真実を見出さなければならない。
これは、人との会話に似ている。例えばあなたが人と「天気」について話したとしよう。すると、その人は「これから天気はどうなるのか」とか「今はまだ晴れてるけど夜から雨が降る」とか「メキシコには今、雨が降る…」とか言ってくる。その雑多なワードの中から、あなたはクリティカルワードを見つけ出し、答えるのだ。
「雨」なら「そうだ、雨が降るなら洗濯物が心配だ」とか、「メキシコ」なら「マリアッチ…奴の行く先にはいつも血の雨…」とかだ。このゲームはそういうゲームだ。あとは肌で感じろ。そう難しくはない。そして俺たちは進んでいく物語の中で、いろんなメッセージを受け取る。
人間の心を持つアンドロイドは悲劇なのか、地球を離れた俺たちはなんなのか、愛とは、血とは、真の王とは……そういった濃厚なSF味のストーリーを、このゲームから感じ取れ。

正直なところ、この時点のグレアは料理もいまいちだし、アンニュイになってシャットダウンする少し面倒なアンドロイド女子だ。そんな自信も希望も持てない彼女の肩をたたき、二丁拳銃を持たせて、メキシコに送り出す。その役目はあなた自身であることを忘れるな。

glare2は日常だ

前作からしばらくして、主人公とグレアは地球にやってくる。いわゆる長期休暇だ。地球の海に面したマイアミなビーチの別荘で、グレアは主人公とほんわかとした日々を送る。
しかし、そうは問屋がおろさない。グレアは謎の寝言を言うようになり、風邪とか引いたりする。これはアンドロイドなグレアにとって異常事態だ。あんまり異常事態すぎるので、またしても主人公は解決のために「ワード入力欄」に単語を叩き込むことになる。しかし、その寝言にはグレアの出生にかかわる重大な存在が隠されていたのだった。これはそんな話だ。
前作とうってかわって、とにかく明るい。前作がエイリアンなら、今作はオデッセイの家庭菜園シーン並みに明るい。グレアも幸せ太りなのか絵柄が丸くなり、クールさが強調された前作よりもより親しみを感じられる。しかし、彼女の出生はハードだ。何人ものグレア開発者人物の思惑と、アンドロイド自我を許せない司法の存在をテキストウインドウの裏から感じ取り、そして彼女を構成する存在「リリーセカンド」の一端にたどり着いたとき、あなたはこう思うはずだ。
「自分の考えは果たして自分一人のものなのか」と。偽物とは…本物とは….…それもSFだ。感じ取れ。そしてグレアが最後に自分と向き合うために出した結論とは。やるんだ。これもフリーゲームだし、デフォルトで全年齢だ。

glare3は総決算だ

glare3を紹介する前に、一つ言っておく。glare3はこれまでと勝手が違う。なぜなら、ドネートが必要だからだ。DLsiteかDMMを介して作者に1080円くらいのドネートをすることで、あなたはglare3を楽しむことができる。
「えっ!?ドネート!?今までフリーだったのに……金の亡者め!」お前は問答無用でショットガンだ。そして宇宙ネコに顧みられることなく、お前を迎える特異点のないブラックホールに吸い込まれて死ぬ。
だが、ドネートして手に入れたコンテンツの例にもれず、glare3はそれだけの価値があるゲームだ。舞台は月だ。月にはやばい奴らがうようよしていることが俺の調査で分かっている。アルゴス、DOOMのニュータイプ、ウサギ、石破天驚拳、未知の生命体X、レントンとエウレカの落書き、そのようなものだ。
なお、「いままでのあらすじ」があるため、1と2をプレイしていなくとも大丈夫だが、没入感が欲しいならプレイを推奨する。二人の距離感を感じ取れ。航宙船で地球から人口惑星アクアブルーへ移動中の二人。真の男らしく、グレアとSFアクションをサーモンサンドを食べながら見ていた主人公は、突然なぜか誘拐されて密室に監禁されてしまう。もう二人はラブなので仲良く月からの脱出の手段を探そう。というのが今回のあらすじだ。
基本はやはり「ワード入力欄」システムを踏襲しつつ、新要素として今回はフローチャートによる場面移動システムを採用している。これによって、スパゲティじみた今作のフラグがまるわかりであり、どのワードがどこに連結しているかがすぐにわかるようになっている。
いわば、インターステラーで主人公を導いた未来人だ。未来人はブラックホールから4次元空間に迷い込んだ主人公を導き、人類を救うための情報を娘に送る手助けをした。それと同じだ。俺たちは主人公とグレアを導くためにフローチャートにアクセスして手助けをするのだ。あとは肌で感じろ。
そして、シナリオはシリーズ最大級だ。脱出する過程で、二人は互いの絆を再確認し、理知と機転で安全地帯までたどり着く。だが、真の男が犯人を許すはずがない。主人公はグレアにこう言う「ヒーイズ、マストダイ…」そしてグレアはこう返す。「オーケー…」と。そして彼らは月の荒野をさまよう。犯人をショットガンするために。だが真の犯人は、とんでもないやつだった。偽物の命、偽物の惑星まで作り上げた人類が、その傲慢さによって作り上げたもの……もはやプレイするしかない。

glare4は……?

ない。だが、宇宙神教団とかいう奴らとの決着がついてないし、続編はありうるはずだ。

他にもある

あとはエイプリルフールのナンバリングとかあるが、そういうのは自分で探し出してプレイしろ。それと、欠点を挙げるなら、glare3の販売ページが簡素すぎる。せめてあらすじとか書いておくべきだと思う。

地球から人口惑星アクアブルーへの直行便の航宙船に乗り込んだあなたとグレアは、何者かによって突然誘拐され、密室状態の部屋に閉じ込められてしまう。果たしてあなたとグレアは部屋を脱出し、月に隠された廃墟施設と負の遺産の謎を解き明かすことはできるのか……!?

このくらいは欲しい。このゲームの持つ重厚なSF要素を、多くの人に少しでも知ってほしいし、1000万ダウンロードを達成し、トムクルーズに目をかけられて100万円のドネートが来るかもしれないし、そうなってもおかしくないくらいの作品だと、俺は思うからだ。

最後に

このゲームで覚えるべき人物は、主人公とグレア。それだけだ。本編ではこの二人の関係性と、硬派SFの流れをくむ重厚なシナリオしか語られないからだ。
主人公は真の男だ。そして、グレアは……ただの女の子だ。全部のナンバリングをプレイして、俺はそう思った。アンドロイドでありながら人間と同じように苦しみ、自分の存在に悩み、主人公の振る舞いに怒ったり、そして自らの幸福を求めている。確かに彼女は偽物の命かもしれないし、次の瞬間には機能が停止して、二度と目を覚まさないかもしれないイレギュラーではかない存在だ。
だが、俺たちだってそうだ。なんで動いているかわからない心臓で生き、ベッドで眠ったら次の朝には目を覚ますかどうかも保証されない。それなら、そこに偽物とか本物とかは関係なく、そこにあるのは、自分自身がどう生きるかという価値観なのではないかと思う。
ストレス過剰な都会暮らしで疲れ切り、自らを生かしている見えない力を見失ったのなら、グレアをプレイして精神をSFの大海に解き放ち、グレアの可愛さといじらしさで癒されろ。そして、昔の自分が捨てた思い出のデッカーガンで、自分のストレス対象をZAPしろ。
なぜなら、glareシリーズをプレイしたお前は、真のSF騎士に一歩近づいたからに他ならないからだ。

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