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老人ホーム入居後の“家族の役割”を整理してみた!

こんにちは!小菅(@kosugehideki)です。

毎度のことですが、スローペースでnoteを続けています。
さて今回は、親を老人ホームにお任せしたあとの家族の役割について整理してみます。

入居の手順を毒舌で解説する」という前回の記事が好評だったので毒舌テイストで書こうとしたものの、割とフツウの文章になってしまいました!心よりお詫び申し上げます。

ではさっそく解説いきます!
心して刮目せよ!(誰やねん)



「老人ホーム入居=ゴール」ではない

親が老人ホームに入居すると
「長くツライ介護がようやく終わった」
「やっと介護から解放された」
と感じる家族は多い。

そりゃそうだ。いまや介護期間は平均5年以上。10年以上介護をした人は全体の約18%というデータもある。終わりの見えない介護で、肉体的・精神的な負担のつづいた家族には、「本当にお疲れさまでございました」と心から労いの言葉を掛けてあげたい。

身体介助や生活支援は、家族から老人ホームのスタッフへとバトンが託される。そういう意味では一つの区切り。だが「ゴール(終了)」じゃない。何も終わっちゃいない。むしろ親も家族もここからが新生活のスタートになる。

介護のすべてを老人ホームに丸投げできるのか

入居したら「あとは全部よろしく!」とすべてを丸投げできるのだろうか。

できる・できないの二択で答えろと言われたら「できる」と言っていいだろう。実際、世の老人ホームには、「必要最小限の連絡しかしない」「面会は年に一度しか来ない」なんて家族もいる。

もちろん、家族にしかわからない事情もあると思う。だから一概に「愛情がない」とか「冷酷だ」とは思わない。しかし、ホーム側からすれば「非協力的な家族」と見られても仕方がない。ここは覚えておいてほしい。

家族には家族にしかできない役割がある。その役割を担うことで、入居した親の生活の充実度も変わるし、ホーム側と信頼関係を築くことができる。
では次の項から具体的な家族の役割を解説していく。

意外とある!家族が担う5つの役割

①面会・入居者のメンタルケア

老人ホームに入居すると生活環境が一変する。広かった自宅から、ワンルームあるいは多床室の部屋に移り住む人もいるだろう。本人にしてみれば、何をして日々を過ごすのかよくわからない。人間関係もゼロから築かなければならない。誰だって不安になるのは当然だ。

認知症の人の場合は、急激な環境変化が症状進行の引き金になることもある。そのため、とくに入居して間もない頃は「できるだけ面会に来てほしい」と家族にお願いをする老人ホームも珍しくはない。(※)

その後、生活に慣れてきても、家族の面会を心待ちにする入居者は多い。どんなに親しいスタッフがいても、どれだけ仲のよい友達ができたとしても、家族という特別な存在に取って代わることはできないからだ。

面会の際はなるべく本人の気持ちを受け止めてほしい。こんな所はイヤだ。寂しい。家に帰りたいと心情を吐露するかもしれない。だからといって「じゃあ家に帰ろうか」という話をするのではなく、ただその言葉と気持ちを受け止める。それだけで、多少なりとも本人の気持ちは軽くなるはずだ。寄り添うことはメンタルケアになる。家族にしかできない精神的なサポートといえるだろう。

(※)「できるだけ面会に来てほしい」これはホーム側の方針や入居者の状態により判断が分かれる。頻繁に家族が来ることで、自宅に帰りたいと願う欲求が強くなることもある。そのため「生活に慣れるまで面会はお控えください」と言うホームもある。

②差し入れ・消耗品の補充・金銭管理

要介護者の多くは一人で安全に外出ができないため、面会時に家族が差し入れをする。本人の体調に影響がなければ、お菓子などの嗜好品を差し入れすることが多い。

季節の変わり目になると、衣替えのため本人の衣服を持参することもある。老人ホームの居室面積は15㎡程度で収納スペースも限られるため、狭いクローゼットではお気に入りの衣服が入り切らない女性もいる。そこで家族が必要な服を持ち込むというワケだ。

また、生活に必要な消耗品も定期的に補充が必要。ティッシュやトイレットペーパー。オムツ、歯ブラシ、入れ歯洗浄剤などがそれだ。補充に関して、頻繁に面会できない家族は郵送で届ける人もいる。あるいはホームの職員に「買い物代行サービス」をお願いし購入してもらう。

買い物代行の場合、入居者本人が現金で支払うこともあるが、それは金銭管理ができる人に限られる。というのも、老人ホームに現金を持ち込むのは紛失等トラブルの元となるので、ホーム側としては極力控えてほしいのがホンネだ。現金管理を有料サービスとして引き受ける一部のホームもあるが、管理コストもバカにならず、やはりトラブル回避のためあまり積極的ではない。本人の現金払いが難しいようであれば、後日請求書払いになる。

また、本人の性格や認知症により「現金をもたせないと不安になる」という人もいるので、面会時に必要最小限の「お小遣い」を手渡す家族も多い。

③親と老人ホームとの橋渡し

老人ホームは、集団生活・共同生活の場所なので、個別の要望に対応することが本当に難しい。とはいえ、一定期間生活する場所だから、入居した親にはなるべく快適に過ごしてほしいと家族は願っている。

入居者のなかには「お世話をしてもらっている」という弱い立場ゆえ、施設に言いたいことや要望があっても伝えられない人もいる。だからこそ面会の際は、何か困っていることはない?と問いかけホンネを聞いてあげよう。家族から見ればささいな事でも、そこで暮らす本人にとっては苦痛かもしれない。

本人の要望をホーム側に伝えるときは、介護スタッフでも構わないが、ある程度権限をもつ生活相談員やケアマネジャーに伝えるとスムーズに事が運ぶ場合もある。

ただ注意してほしいのは、あたかもクレームのように言わないこと。「もう少し●●してほしいのですが、こういう相談はできますか」などと、あくまで相談という形で伝えるとスムーズだ。

また、可能な範囲で介護スタッフともコミュニケーションを取ろう。日頃の親の様子はどんな感じなのか。最近はどんなことに関心があるのか。入居者同士仲良くやっているかなど、日頃の暮らしぶりを教えてくれるはずだ。こうしたタイミングでスタッフに日頃のお礼を伝えると信頼関係も構築される。関係性を築いておくとトラブルを未然に防げることもある。

スタッフも仕事とはいえ人対人である。「カネ払ってるんだ。客の要望に応えるのは当然だ」なんて物言いに、気持ちよく対応できるワケがない。

④サービス担当者会議・運営懇談会の参加

サービス担当者会議は、入居者のケアやサービスに関わるスタッフが集まって行われる会議のこと。入居者の状況やニーズの共有などが行われ、より適切なケアプラン(介護サービス計画書)の立案や調整ができるようになる。在宅介護のときも家族は参加していたと思うが、老人ホーム入居後も同様に行われる。

運営懇談会は、老人ホームの入居者や家族、スタッフなどが参加して行われる会議のことで、半年~年に1回開催される。家族は入居者側の代表として意見や要望を提出し、ホーム運営に対する意見を共有することができる。ここは入居者のQOL(生活の質)向上や施設の改善に向けて、家族の声が反映される重要な場だ。

さらに、老人ホームの運営状況やイベント、施設の変更などの情報も共有される。「価格改定」などの重要事項も、運営懇談会で丁寧に説明するのが一般的だ。さらに、入居者や家族、スタッフとのコミュニケーションの場として活用されることもある。家族同士やスタッフとの交流を通じて相互理解を深められるだろう。

⑤入院など緊急時の対応

一般的に、家族が呼び出されるのは緊急時だ。入居者のケガや体調不良で緊急搬送した場合は入院の手続きが必要となる。こればかりは読めない。日中に連絡がくることもあれば、深夜の場合もある。「急な呼び出しにも対応できるように自宅から近いホームを選ぼう」と提案する業界関係者もいる。

また、「ホームから頻繁に呼び出される」なんて話を聞いたことがあるかもしれない。

実際に「時間を掛けて介助しても食事を食べてくれません。家族で何とかしてください」「歩き回り(徘徊)が多くて困ってます。職員もギリギリなのでご家族どなたか来てください」と呼び出された家族を知っている。

スタッフも最小人数で運営しているホーム側の気持ちも分からなくはないが、頻繁に呼び出されてしまうと、一体その老人ホームに入居した意味は何なのか。となってしまう。

老人ホーム選びの際は「家族が呼び出されるのはどんなときですか?」「どういう状況になったら呼ばれるのですか?」と具体的に確認しておくといいだろう。

photo by Marco Ceschi (@spantax)

みんなどれくらい面会してる?

さいごに面会頻度にも触れておく。現在携わっている老人ホーム検索サイト『LIFULL 介護』でとったアンケート結果だ。

・週に1~2回   :31%
・月に1回     :28%
・2週に1回    :22%
・週に3~4回   :5%
・2~3カ月に1回 :9%
・半年に1回    :2%
・それ以下     :3%

【入居者100人に聞いた】家族が老人ホームに入居、月に何回会いに行きますか?

面会には「週に1~2回行く」という人が31%を占めている。そんなに行くの?と思う人もいるかもしれないが、毎日面会している配偶者や子どももいるくらいだ。なかにはレクリエーションに一緒に参加したり、本人の食事介助のお手伝いをする家族もいる。

もちろん、ホームまでの移動距離なども関係するので、基本的にムリのない範囲で面会に行けばよい。「行かなきゃいけない」と義務感で行くと、その気持ちは入居者にも伝わり双方辛い思いをするかもしれない。

【入居者100人に聞いた】家族が老人ホームに入居、月に何回会いに行きますか?

充実した生活には家族の協力が不可欠!

「私の役目は終わりですか」老人ホームに入居すると、これまで本人の介護をしてきた家族のなかにはこんな言葉を漏らす人もいる。

しかし、家族は取って代わることのできない特別な存在だ。家族の役目が終わることはなく、家族だからこそできる事。家族にしかできない事が沢山ある。できる限り入居者を精神面で支え、ホーム側と良好な関係を築いてほしいと思う。

最後までお読みいただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いいたします。

小菅をモデルに描いた、老人ホーム選びのマンガ連載が始まりました!
選び方のポイントも分かりやすく掲載しています。
あわせてご覧いただけたら嬉しいです!

【第二話】同居だけが親孝行ですか?老人ホームと家族のカタチ

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