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4年で売上10倍以上、赤字から黒字転換でIPO。CFOから見たIPOまでの道のりと今後の成長について

スタートアップの成長と変化、そしてそれが上場企業へと成長するまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。私がCFOとしてアイデミーにジョインした4年前、当社はまだ小さなチームで、売上高も1.3億円で大幅な赤字企業でした。しかし、絶えず挑戦と努力を重ねることで、上場できる企業にまで成長しました。
今回は、私がCFOとして経験した資金調達、財務戦略、上場準備、そしてそれらを通じて得た学びや経験を書きたいと思います。これからもアイデミーは「先端技術を、経済実装する。」というミッションを追求し続け、新たな挑戦を続けてまいります。

アイデミーへの入社理由

今から約4年前、私がこの会社に入社した理由は大きく3つありました。まず、成長しているテック業界において、アイデミーの事業内容がその成長にしっかりと合致していると感じたからです。競争力を維持しつつ大きく成長できると感じました。
また、私自身が最先端のテクノロジー、特にAIなどを扱っている企業に身を投じたいという強い思いがありました。
そして最後に、社長の石川さんとリード投資家の代表である郷治さんとの面談が大きな決め手となりました。「この人たちとなら、一緒にビジネスを大きくできる」と直感で思いました。特に石川さんのビジョンと魅力に惹かれて、最終的に私はこの会社にジョインすることを決めました(ジョインっていうスタートアップ用語、使ってみたかった)

上場までの資金調達・財務戦略

上場までの道のりは、決して平坦ではありませんでした。入社後すぐ、私はシリーズAの資金調達に奔走しました。ここで初めて気づいたというか、言われれば当たり前かもしれませんが、資金調達は「営業」そのものだということ。当社が期待する時価総額で資金を調達したいなら、数多くのベンチャーキャピタルや事業会社にアプローチし、我々の魅力と成長性を伝えなければなりません。
逆に、すべてのベンチャーキャピタルが投資を望むとしたら、それは当社の時価総額が割安である可能性があります。そのため、社長と一緒に30~50社のベンチャーキャピタルを訪問し、投資していただくための「営業」を行いました。
その結果、リード投資家をはじめとする数社のベンチャーキャピタルや事業会社からの出資を得ることができ、合計で8億円を超える資金調達に成功しました。その後も追加の資金調達に成功し、更なる事業拡大につなげることができました。
シリーズAの資金調達を終えた段階から、当社はすでに上場を視野に入れていました。そして事業会社からの出資については、単なる資本提携だけでなく、事業の面でも協業させていただけるという大きなメリットがありました。これらの企業とは今後も中長期的に良好な関係を築いていきたいと思っています。

上場準備

上場準備の過程も、すべてが順調だったわけではありませんでした。特に、上場承認を受けてから実際に上場するまでの約1ヶ月間は、通常時間があっという間に感じられる私にとっても非常に長く感じました。そして上場準備で一番頭を悩ませたのは、なんと言ってもバリュエーションの交渉でした。詳細については、ここでは割愛しますね(笑)
また、審査でのQA対応もまぁ、大変でした。ただ、その苦労を支えてくれた投資家、主幹事証券、監査法人、東証の方々には、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
詳細を聞きたい方は個別に連絡ください(笑)

成長と変化:4年間の振り返り

ここ4年間で、当社は驚くほど大きく成長しました。私が入社したとき、正社員は15名程度、売上高は1.3億円で、かつ大幅な赤字でした。当時は投資が先行するステージだったので、赤字はやむを得ない部分もあったのですが。
それが今では売上高16.5億円、営業利益2億円まで拡大。自分でもよくこの会社に飛びこんだものだと、今振り返ると思ったりします(笑)。
当時は個人向けと法人向けのビジネスが半々か、むしろ個人向けの方が売上比率が高かったのですが、その後法人向けビジネスが大きく拡大。今では、売上の8割が法人向けとなり、これからもその比率は増えていく見込みです。そんな中で、優良な顧客企業と一緒にビジネスを展開できていることは、本当に幸せなことです。

挑戦と失敗:学んだこと

様々な挑戦の結果、成功だけではなく、当然失敗もありました。主な挑戦としては、法人向けオンラインDXラーニング「Aidemy Business」の拡大、AI/DX伴走型支援サービス「Modeloy」の立ち上げ、そしてマーケティングです。
まず、法人向け「Aidemy Business」の拡大について。私自身も様々なところにサービス導入の営業を行いました。小さい組織ならではの柔軟性と、まさに"誰もが手を動かす"スピリットが、当社にはあります。そして、営業活動は私も楽しみながら行えた経験でもありました。
次に、AI/DX伴走型支援サービスの「Modeloy」。この新規事業は当初想定していた以上に時間がかかり、迷走していた時期もありました。しかし、この1~2年で急成長し、今では会社全体を牽引する存在となっています。
最後にマーケティングですが、多くの試みが失敗に終わり、思ったほどの効果を出せないこともありました。しかし、これらの失敗を未上場時に学べたことは大きな財産だと思っています。マーケティングは常に進化していく領域で、今も私たちはその最前線で試行錯誤を続けています。

スキルの発展:CFOとしての成長

私がCFOとして成長できたのは、アイデミーが小規模の段階から上場までの道のりを歩んだ経験、そして実際に上場できたという実績を残せたのが大きかったと思っています。一つ大きなプロジェクトが成功し、CFOとして自信が付きました。
上場できる会社はごく一部ですが、当社がその一部となれたのは、正直運がよかったのもあると思いますし、何より支えてくれたステークホルダーがいたからこそだと思います。一つでもそのピースが欠けていたら、アイデミーはここまでたどり着けなかったと正直思います。だからこそ、感謝の念を常に忘れずにいたいと思います。
上場準備の全過程で、資金調達から主幹事選定、監査法人とのやり取り、事業拡大、中期経営計画の策定と、幅広い領域をメインで一気通貫で経験できました。これらの経験は、私のスキルセットにとって大いにプラスとなりました。
ただ、あえて「もう一度上場準備をやりたいか」と問われれば、率直にNoと答えますね(笑)。業務自体も大変な仕事でしたし、メンタル的にも大変だったので。しかし、その経験が私をCFOとして成長させてくれたのは間違いありません。
その成長を支えてくれた周囲の人々に感謝したいと思います。叱咤激励してくれた社内のメンバー、投資家、顧客の皆様、そして家族には、心から感謝しています。

次のステップ:上場後のビジョン

会社としては、これからも成長の追求を止めることはありません。オーガニックな成長とインオーガニックな成長、どちらの側面からも進展するような企業になりたいと考えています。これまで通り、挑戦し進化し続ける企業でありたいという想いがあります。
当社のミッションである「先端技術を、経済実装する。」の実現に向けて、テクノロジーの力で社会に対してより大きな価値を提供し続けること、それが当社の使命です。
私たちの周りには優良な顧客企業が集まっています。彼らとの関係を大切にしながら、その輪を広げていくことを目指しています。顧客とともに成長し、新たな可能性を追求していきます。
個人としては、上場会社のCFOとして、これからもさらなる成長を目指していきたいと思っています。IPOプロジェクトの成功は、これまでの経験が大いに活きた結果でした。ただ、私にはまだ活かしていない経験が2つあります。それは、株式調査アナリストとM&Aアドバイザーの経験です。今後は、これらのスキルを活かして、株価を意識したIR活動や、中長期的視点でのM&A戦略に注力していきたいと思っています。


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