朝は10時ごろに起床。髪の毛は前日の夜に切って少し短くなっていた。まつりちゃんにされるがままにアホ毛を整え、髭を剃り、前日の夜に石川くんからあらかじめ借りていたフォーマルな服を着て、全く慣れない見た目と心で家を出る。今日はタイトル通りの「娘さんをください」をやる大切な日。

まつりちゃんの両親とはもうアホほど会っているし、すごす好きな人たちなので、「嫌な人だったらどうしよう、嫌われたらどうしよう」の初対面の緊張みたいなやつは遥か昔に終えていた。とはいえ「結婚のご挨拶」となると気分も全然違う、自分の服装が自分をより緊張させる。「ああ聞かれたらどう答えよう」みたいな、面接前の心構え。僕的には「しばかれる」と思いながら家を出た。

家を出たらまつりちゃんがスマホを忘れていたので、一度家に戻ってから慌ててチャリで西九条へ、西九条から電車に乗って梅田、梅田から阪急でまつりゃんの実家の近くの豊中へ。

豊中駅までまつりちゃんの両親が車で迎えに来てくれるとのことで、駅で少しだけ待った。めっちゃ寒かった。

まつりちゃんの両親の車に乗り、向かったのは「ローマンルー」という中華料理屋。ちゃんとコースを予約していた。

昨日の夜、石川君に「コートは店に入る前に脱ぐんやで」と教えてもらっていた。店に入る直前までは覚えていたのだが、入る瞬間には忘れていた。思ってるよりも緊張してたのだと思う。

ご飯はめちゃくちゃ美味い。まつりちゃんの両親とまつりちゃんと全然関係ない雑談をしながら「いつ結婚のことを言おう」と思い続けては、なんだか辿々しく喋る。

向こうもそういう話されるのを察して来ているので「こいついつ言うねん」と思われてるかもしれない、と思うとどんどん言いづらく、またネットに「結婚の話は食前に始めましょう」と書いてたのもあり、なんだそのルールと思いながらもずっとテンパってた。

話の切れ目で「今か！今なのか！」と思い、強引にヘラヘラ「あの、結婚をさせていただきたく」と切り出した。笑われた。

僕は収入面や今後の頼りなさについてストップがかかると思い込んでいた。実際かなりひどいので、なんとか輝かしい展望を伝えるしかないと思っていて、しかしバタバタと喋ってどんな風に話したかあんまり覚えていない……。まぁ結論、がんばれよ！って感じでお許しはいただけた。

この変なドキドキの感じ、ちょっと面白かった。あとマジで頑張ろうと思った。

式の話等の今後の具体的な話もしつつ、スッキリして店を出た。そのまま「良い時期だし」ってことで近くの箕面の山に紅葉を見に行った。

まつりちゃんのお母さんは足の調子が悪く、ゆっくり山を進んだ。「私遅いから先行ってて！」とまつりちゃんのお母さんが言ってたが、そもそもゆっくり歩いて紅葉を見るイベントのため、先に行くも何も……と思っていると、すかさずまつりちゃんのお父さんが「先行ったってしゃあないやろ」と言ってたのが面白かった。

紅葉はめちゃくちゃ綺麗だった。一枚一枚が細かく、狭い中にデカいスケールを感じた。

箕面はデカい滝もあるので、滝も観に行った。さっきフルコース食べたばっかりにも関わらずお腹が空いてて、鮎の塩焼きも食べた。美味しかった。

滝の前でだいぶゆっくり過ごしてから車で再出発、最後におしゃれな喫茶店に入った。コーヒーの種類がめちゃくちゃある店で、散々に迷った末、コーヒーを飲まずにパフェを食べた。

喫茶店でもゆっくりして、まつりちゃんは番台があるので、いい頃合いに出発。豊中まで車で送ってもらってから帰ってきた。

いい両親なので、裏切らないように誠実に生きないとな〜〜と思いつつ、とはいえ当面はバイトしながらお店の準備というのは特に変わらない。バイトサボらないようにしなきゃな〜〜……

家に帰ってきたらまつりゃんはすぐに番台に行ったが、休みだったらしくすぐに帰ってきた。入れ違いで僕は千鳥温泉に入る。久しぶりに銭湯にゆっくり浸かった、水風呂は怖くて入らなかった。

まつりちゃんが家にあったチーズと生ハムと柿でカプレーゼを作ってくれたので、それつまみながら酒を飲み、映画を観るぞ！！と再生した瞬間に僕は寝落ちした。

眠くなるのが日に日に早くなっている。