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書評 200 「大胆推理! ケンミン食のなぜ」

食にまつわる文化史の著作が多い著者によるエッセイ集。都道府県ないし大きな市の特色ある料理や味付けを取り上げて、考察した22編が束ねられている。

著者は生活史研究家を称しているが、歴史学や社会学などの学者ではない。言って見ればライターなのだが視点が面白く、なおかつ等身大というか市民目線で調べて考えているのが読者としては馴染みやすい。

本書では福岡の豚骨ラーメンなど誰でも聞いたことがあるものから、さほど知られていないものまで同列に書かれている。元々は雑誌の連載だったこともあり、1編が6〜7ページとさらっと読める。深掘りした内容では無いのだが、著者なりの考察が「なるほどな」と思わせる。ちょっと東京を落としている様に読める箇所もあるが、この様な地域性の良さを取り上げる本には散見されるパターンなので、東京出身の自分でもそんなに気にはならない。

誰もが好きな「食の地域性」を軽妙に書き上げた、楽しい一冊。


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