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幼馴染と交わした数年後の約束。

半年ぶりの再会。
生まれたときから家が近くて、小中高とおんなじ学校。帰宅後も毎日のようにお互いの家を行き来して、一緒に居ることが当たり前だった存在。大人になるにつれて会う頻度は減少し、今では年に一回ほど会えればいい方だろうか。

映画を観てから一緒に買い物をして、昼ごはん食べたあとはドライブしながらずーっと雑談。
気づけば1時間、2時間、3時間...と経過していている始末だ。時間が経過することも忘れて、マジメな話をしたり、お互いのいいところを褒めあったり、将来の話をして夢を語ったり...。

マジメな話をしている最中、なんか照れ臭くなってボケをかまし合って笑い合う。一方がボケれば、もう一方がツッコム。逆もまた然りで、マジメな話をしつつも、ちょいちょい悪ノリがある感じ。

幼少から20年にわたって繰り返してきたノリだからか、そんな雰囲気がたまらなく好きで、心地よさを感じる。

つい半年前に再開したときは、「地元で就職しようかな〜」なんて話してた幼馴染。改めて、今後の進路を聞くと「上京」することに決めたようだ。

嬉しいけど、寂しさも感じた。

半年前。
「親から反対されているけど、自分は〇〇をしたい!でも、地元就職になりそうなんだよね」
そんなことを言っていた幼馴染。

そのときも今日と同じように、車でドライブしながら話していたときだった。

僕は地元で就職することが決まっていたので、内心「地元に帰って、休日は遊ぼうよ!」なんてことを考えてしまった。口にこそ出しはしなかったけど、友達が近くに居てくれることに対して嬉しさを感じたことは確かだ。また昔みたいに、楽しい休日を過ごせる仲間が近くに居てくれるかもしれないんだから...。

なんて言葉を掛ければいいのかわからなくて、ただじっくり、聞いてあげることしかできなかった。

あれから半年か...。

複雑な胸中を押し殺し、静かに話を聞いた半年前の夜。そこから暑かった日々は終わりを迎え、寒風が吹き荒れる季節となった。そんな時分(じぶん)、友は上京することに決めたようだ。

夢を、歩む道を、叶えた先の未来を、キラキラした目で僕に話してくれた。眩しすぎるくらい、一抹の迷いもなく向けられる眼差しに圧倒された。それと同時に

「地元に帰ってこないことにしたんだな」

そんな寂しさも覚えた。
でも、彼の目を見ていると生き生きとしていて、本当に楽しそうだった。他人事なのにそれが妙に嬉しく、こっちまでワクワクしながら夢の展望に耳を傾けた。

話し込んだらあっという間で、家の前に着いていた。別れの時だ。

車を降りて、別れ際に約束した。

「次会うときは、君の描いた物語の続きを聞かせてね」。約束だからねって。

夢を追って疲れたときは、たまには連絡ちょうだいよ。夢が叶ったときも、また今日みたいに夜の街をドライブしながら話を聞かせてよ。いろんな想いを込めて、そんな言葉を最後に贈った。

僕も、君に負けないくらい素敵な物語を描いとくからさ。次会うときはさ、お互いの歩んだ道をとびきりの笑顔で話し合おうね。

「じゃあ、また数年後に」

最後は、未来へ捧げる約束の言葉だった。

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