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童貞を失った翌日に彼女の浮気が発覚した話

春ですね。先週に久しぶりに母校のグラウンドに顔を出しました。当時のコーチに呼ばれてラグビーの練習に参加。全身筋肉痛になりつつもさわやかな気分。
帰り道に桜舞う校舎を眺めていたら「やべー記憶」が蘇ってきました。まあタイトルに全てが集約されているのですが、そんな話です。

……時は遡って2001年。僕は高校三年生になったばかりでした。音楽の趣味が似ていて、意気投合した彼女と付き合って4ヶ月ほど。チューはしたものの、まだ清らかな関係。嬉し恥ずかしイノセントワールド(意味不明)ですね。

「その日」はラグビー部の春大会。強豪校に負けた打ち上げで、彼女から電話がかかってきます。部員たちから冷やかされる中、PHSを片手に外へ。

俺「もしもし〜どうしたの?」

彼女「試合残念だったね…お疲れ様。ところで
今日ウチに親いないんだけど……来る…?

……ッッ!…おいおい…穏やかじゃないねえ!


……攻めてきた。こっちが童貞でモジモジしてる不甲斐なさを見かねてか、攻めてきやがった…!敵襲ーーー!

不意をつかれて言葉に詰まったものの、ここで引き下がるわけにはいきません。ツタヤで年齢詐称して借りたAVで予習もバッチリ。

俺「あ、そうなんだ…じゃ、じゃ、じゃあお邪魔しちゃおうかな…!」

というわけで大会の敗戦をなぐさめてもらう建前でそのまま彼女の家に行くことにしました。部員たちに報告すると大盛り上がり。ついにその刻(とき)が来たか、と。すでに童貞を捨てていた仲間から熱いレクチャーを受け、部員全員で万歳をして送り出されます。男や、おれは今日男になるんや。

中央線の某駅まで桜吹雪の中チャリを走らせ、彼女の家にお邪魔します。ぶっちゃけ女子の家に行くのも初めて。高まる鼓動。そして務めを果たせるかどうかの不安。恋愛キャリア的には明らかに彼女の方が上だったとは言え、無様な姿は見せられません。童貞だからこその矜持です。

なんとなく茶を飲みつつ、TVを見つつ、シャワーも浴びつつ、夜が更けるのを待ちます。あの探り合うような空気、しびれますよね。ドキドキするやんか。

……この夜の詳細は割愛しますが、結果だけいうと僕は無事に男になりました

作家の故中島らも氏の「今夜すべてのバーで」に書かれている一節「初めて好きな女を抱いて、星空から世界を見下ろしているような夜」そんな感じだったのを記憶しています。奇妙な安堵と達成感。人生が始まった感覚すらありました。

まあ、その星空から墜落するんですけどね。

※画像はイメージです


翌日の朝。彼女は「用事がある」そうなので駅で別れました。一皮剥けた石橋は意気揚々と自宅に帰り……なんと発熱しました。おそらく一種の知恵熱だったのでしょう。結局月曜日の学校も休むことに。確か雨だった記憶があります。

窓の外の雨を見ながら「今日の部活は室内で練習かな、はやく皆に報告したいな」なんて思っていところに着信が入ります。同じラグビー部の同期です。なんだろう。

俺「お〜どうした?こっちは体調回復してきたから明日には行けるかも…」

同期「光太郎、落ち着いて聞いてくれ。おまえの彼女が昨日N君とデートしてるのを見た。手も繋いでた。N君に聞いてもデートしたと言っている。」

俺「は?」

まったく事情が飲み込めず、同じことを3回くらい説明してもらいました。思考回路はショート寸前、いますぐ逢いたいの状態です。

N君は小学校からの幼馴染。中学時代は同じバスケ部で厳しい練習に耐え、そして塾でも一緒に勉強をし、同じ高校に受かった同志です。まさか……あのNが!?あいつけっこういい奴だぞ!?

急いで彼女に連絡すると泣きながら「そんなことしてない…!わたし君の彼女だよ!?」と話が食い違います。最終的にはなぜか僕が謝るカタチで電話はおわりました(弱い)。

おかしい……熱でもうろうとする頭をフル回転させますが、どうも解せない。

これはN君と直接話すしかない!!

そう思った僕はN君に連絡をとり、今日の夜地元の駅で会えないか、と連絡をします。正直どんなリアクションが返ってくるか怖かったのですが、N君からは「了解〜18時ごろに駅いくわ〜」とあっさりした返信です。うむ、なんか変だぞ。

駅でドキドキして待っているとN君が登場します。

N「おまた〜どしたん?」

あれ……やっぱり変だぞ。

俺「Nさ……昨日、俺の彼女とデートしてたの見たやつがいるんだけど…本当か?

さっそく核心をついてみると

N「ええ!??確かにデートしたけど……おまえらまだ付き合ってたの!??彼女はとっくに別れてるって言ってたよ……ていうか今は俺と付き合ってると思ってたんだけど……。

俺「え?マジ?」

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いしばなし

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