【アラサーkotarouの名盤紹介 #2】TOMOO 『TWO MOON』

2回目の更新。
本日は、新進気鋭のシンガーソングライター、TOMOOの『TWO MOON』を紹介したい。
皆さんはTOMOOをご存知だろうか。

1995年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。6歳からピアノを弾き始め、高校時代にYAMAHA主催のコンテスト「The 6th Music Revolution」ジャパンファイナルに進出した。大学進学後に本格的に音楽活動をスタートさせ、2016年8月に1stミニアルバム「Wanna V」を発表。2021年8月に発表したシングル「Ginger」がさまざまなアーティストから注目され、ミュージックビデオは272万回以上再生されている(※2023年9月時点)。

音楽ナタリー TOMOOインタビューより抜粋

上記インタビューにも書いているとおり、私も「ginger」によってTOMOOの存在を知った。今作では3曲目に収録されている。
「ginger」を最初に聴いた印象は、キャッチーだけど、何かブラックミュージック的なエッセンスも感じる、色んな音楽を通ってきた人が作った曲なのかな… といった所だ。ただ、この時点ではTOMOOの持つ、文学的な歌詞のチョイス、聞けば聞くほど味わい深くなる絶妙な音楽性には気づいていなかった。
※正直な所、gingerのMVに出演するTOMOOがあまりにもタイプ過ぎて、しばらくはビジュアルメインでフォローしていたことをここに白状する。

曲・ビジュアル、どちらから入ったにしろ、そのギャップには驚かされる。

そんな不純な動機で曲を聴き始めたのだが、今回のアルバムを聴いて考えが一変した。「今後、日本を代表するシンガーソングライターへの道を駆け上がって行くんじゃないか。」そう思えるような完成度を誇る今作である。

TOMOO『TWO MOON』

まず、アルバム全体と通して聴いた感想は、どんな心理状態の時であってもスッと心に馴染んでくれる構成だなと感じた。TOMOOの曲はいわゆる"スルメ曲"が多い。いつ聴いても抵抗感はないし、聴けば聴くほど味わい深くなる。ある種、くるり・スピッツ的な普遍的な曲を作るアーティストに通じるものがあるのではないか。

それでは一推しの曲を紹介していく。
まずは、1曲目、「Super Ball」
FM802で2023年10月にパワープレイされていたため、関西在住の方は一度は耳にしたことがあるかもしれない。
初めて聞いた際の感想は、"ベースラインがカッコ良すぎる"これに尽きる。「ginger」で感じたブラックミュージックのエッセンスが更に研ぎ澄まされている印象を受けた。従来のTOMOOの曲を知っている方からすれば、今までで一番、歌より楽器が前に出ているなと感じないだろうか。TOMOOの新境地とも言える曲だろう。
この曲は基本的には殆ど短調で構成されている。短調は一般的に暗いニュアンスとなるのだが、不思議とこの曲はそのようなニュアンスは感じさせない。個人的にいくらハッピーな気分になりたい時でも、「どうぞ!幸せな気分になってください!」と言わんばかりの曲は抵抗があるのだが、TOMOOの曲はその辺りの匙加減が丁度よく感じる。アルバム全体の感想でも述べたが、この曲も良質な"スルメ曲"ではないだろうか。

2曲目「オセロ」
TOMOOのメジャーデビュー後の初シングル曲。初めて聴いた時は変わった転調をするなと感じた記憶があるが、何回か聴くうちに自然になってくる。流石TOMOO、スルメ界隈の申し子である。
この曲は何といってもピアノが素晴らしい。ピアノを弾くというよりも叩くようにして演奏している印象は、ベンフォールズファイブを彷彿とさせる。
また、この曲をはじめとしてTOMOOの曲は物事の表裏、二面性を表した曲が多いと感じる。(本人もそんな感じの事を各種インタビューで語っている)そういった二面性を表現したいからこそ、節目となるタイミングで、表裏と聞いて真っ先に思いつくであろう「オセロ」を曲のタイトルとしたのではないだろうか。

7曲目「ベーコンエピ」
TOMOOはメジャーデビュー前はピアノでの弾き語りでライブすることも多かったようだ。この曲は元々は弾き語りの曲として作られたようだが、アレンジのセンスが抜群。原曲の温かさ的なものをそのまま引き継いで、心に染み入る仕上がりになっている。
この曲の推しポイントは歌詞である。
”先の事は分からない。ただ、確かなのはあなたと一緒にいる今は幸せである。”といったニュアンスを、的確に、優しい言葉・音で伝えてくれる。ここには歌詞は掲載しないが、是非注目して聴いてほしい。
ちなみに私の場合は、3回程涙が出た。ホント名曲。

10曲目「夢はさめても」
ドラマ「ソロ活女子のススメ3」の主題歌であるこの曲。初のドラマタイアップということで、この曲でTOMOOを知った方もいるのではないか。
冒頭、不穏なイントロからの一気にポップな展開に。このジェットコースターのような展開が癖になる。
この曲も歌詞が素晴らしい。特に推したいのは冒頭の歌詞。

化けの皮がはがれて 夢はたちまちくずれた
けれどこれでもう、あなたはあなたね

付き合った当初の盲目期間も終わり、お互いの悪い部分も目に入ってきたのだろう。でも、ここからが本当の意味の恋愛が始まるといったところか。
メロディを崩す事なく、的確にお洒落に伝えるライティングスキルが、実力派たるゆえんだと感じる。

今回はginger含め5曲のみの紹介となってしまったが、時間があれば全曲紹介したかったと心から思う程の完成度の高いアルバムだ。
是非一度お聞きいただいた上で、TOMOOが日本の音楽シーンを駆け上がっていく姿を共に応援できればと思う。

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