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弁護士の倫理研修について【法律】

先日、弁護士会館で「倫理研修」なるものを受けてきました。

登録から5年経った弁護士は必ず受けなければならない研修です。その後も登録10年、20年という区切りで受講が義務付けられています。

どういう研修かというと、小学校でみんな受けた「道徳」の弁護士版です。

小学校の道徳といえば「星野君の二塁打」。野球部に所属する星野君がバントのサインを無視してヒッティングに及んだところ、見事ツーベースを打ったというお話。道徳の授業だとこのお話をベースにあーだこーだ話し合いますよね。


弁護士の「倫理研修」も同じです。星野君的な事例が出されて、弁護士はどう行動すべきかを延々と議論します。(計4時間。長い。)

ただそこで出てくる事例は、小学生が「バントのサイン無視しちゃった!テへ!」みたいなかわいい事例ではなくて、「うわー!顧問先の会社の不祥事発見しちゃった!」とか「あらら!相続事件の依頼者が味方同士で喧嘩始めちゃった!」とか、「テへ」では済まされない事例ばかり。

こういう事例について弁護士の行動指針である「弁護士職務基本規定」を参照しながらより良い対応方法について議論するのです。

平日の昼間に4時間も拘束されるんですが、その事例の内容があまりにリアルでいつ自分に降りかかってもおかしくない内容なので、みんな結構真剣に議論します。ボケる人とかいません。

そういった道徳について弁護士がなぜ必死になるかというと、もちろんその判断ミスによって依頼者に不利益を与えるというのが一番の理由ですが、それに加えて弁護士会から「懲戒処分」を受けるためです。

弁護士の道徳に反する行為は、内容によっては「業務停止」や「除名」などの重い処分に繋がります。

しかも処分の内容と理由が、全弁護士が読む「自由と正義」という雑誌に載せられてしまうため、処分を受ければ業界に一気に知られることになります。

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(これが毎月送られてきます。毎月なにかしらの懲戒事例が載っていて、そこだけは必ず読むという弁護士は多いです。)

この雑誌の懲戒事例を見ては「明日は我が身」と背筋を震わせることで、身を引き締めるというのが全弁護士の毎月のルーティンワークとなっています。

仮に芸人の世界で例えるなら、毎月全芸人に送られてくる雑誌に「先月どこどこのライブでこいつらがめちゃくちゃ滑りました。業務停止1ヵ月とします」ってのが書いてあるようなものです。

ちなみに今月の「自由と正義」は、巻頭が超大物・久保利先生の「私のファッション」です。神号ですね。

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とにかく、僕ら弁護士もこうやって皆様からの信頼を失わないよう頑張っていますので、今後弁護士バッヂをつけている人を見かけた時は暖かい目で見守ってやってください。

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