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オンラインゲームと言う文化が世に芽吹いて久しいですね。

近年ネットの繁栄も相俟って世間にすっかり根付いたオンラインゲームでありますが、その世間的周知に一役買った人間が居ました。彼のオンライン上での名前は「マイディー」。去る12月6日に亡くなられた方です。

ファイナルファンタジーと言えばゲームの中でも知られたタイトルですが、その14作品目となるオンラインゲーム形式のFF14は決して良いとは言えない滑り出しだったと言われています。しかし後任の担当者の働きによりFF14は持ち直し、多くのプレイヤーが楽しむゲームとなったそうです。

その中で「光の戦士」をしてたのがマイディーさんでした。マイディーさんは当時父親が癌を患い、治療は行ったもののすっかり体力が落ちてしまった事を機に親孝行をしようと画策します。ゲーマーである父親をFF14の世界に招待し、自分は素性を隠して父親と共にゲームの世界を冒険しようという計画でした。「マイディー」というのは、ゲームで彼が父親と共に旅をしたキャラクターに名付けた名前です。

紆余曲折あり、素性を隠したマイディーさんと父親は無事にFF14の世界をクリアしました。その旅は様々なドラマがあり、FF14プレイヤーだけではなく、冒険の記録が書き綴られる彼のブログには多くのFF14をしない人間も訪れました。私もその一人です。時に父親を見失い、時に父親に正体がバレそうになり、屈強なボスを試行錯誤の末に打ち破った時の記事などは思わず興奮を覚えたものです。これが後に世に出る「光のお父さん」という本・ドラマ・映画にもなった作品となります。

しかし「光のお父さん」の作品化の後、彼自身も癌に蝕まれてしまいます。

闘病の末、ブログの最後には

「新し記じがけなあい。怪しい。なんとかせねぱ」

という言葉を残し、2020年12月6日にこの世を去ってしまわれました。

若い才能が失われてしまうのは本当に残念です。若く面白い人間がこの世を去ってしまい、私自身も知らせを聞いた時は「えっ、なんで」と声に出していました。彼と父親の冒険の記録をブログで追っていた時の興奮を思うとやりきれない気持ちで溜息が不意に出るのは、暫く止められそうにありません。以下にマイディーさん追悼上映の「光のお父さん」の予定と、まだ御健在でいらっしゃるマイディーさんのお父さんの御言葉が乗っています。

これについても少し語りたいので、是非リンクから本文を読んだ後にこの続きを御覧下さい。


マイディーさんの最後の言葉、「父さん、もういいやろう」というのを読んで、馬鹿野郎そんな訳無いだろう、と思わず目頭が熱くなってしまいました。その後に書いてあるお父さんのFF14プレイ時の思い出、マイディーが実の息子と知らずに恋をしていた、というのが、本当に読んでて涙がこみ上げてきます。若干「光のお父さん」のネタバレになってしまい恐縮ですが、マイディーさんがお父さんとFF14をクリアしたあと、別室でプレイしていたお父さんの所に行って「マイディーは自分だ」と正体を明かすと、お父さんは本当にびっくりするんですね。ゲーム中でマイディーは女性キャラクターの姿で、お父さんはマイディーのプレイヤーを『ネットで偶然共闘しているどこかの主婦』だと思い込んでたのと、息子であるマイディーさんが懇切丁寧にお父さんにゲームのコツなどを教えていたのも相俟って、お父さんは後日、「マイディーさんにほのかに恋していたよ」とポロリと漏らすんですよ。その時は私も笑い話で読んでたんですが、今、こんなに胸を締め付けてくる言葉として読むなんて思ってもみませんでした。

ここまで読んで下さったみなさんはきっと、これまでの私が書いたオハナシを「面白い!」と思って来て下さっている方々だと思います。こういう書き方も奢っていて大変恐縮なのですが、その私が更に「面白い!」と忖度なく心から太鼓判を押すのが「光のお父さん」です。皆様、宜しければこの年末にどうかお楽しみ下さい。

最後に今は亡きマイディーさんの御冥福を心から祈って。

心を震わせる物語を読ませて頂いた事に心からの感謝を。

今でもまだ信じられない。貴方は病床から戻って来てまた世間を楽しませるコンテンツを生み出す人間だと信じてた。

涙鶴けんいちろう

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