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ことばの働き。要求や伝達だけじゃない!

2022.12.22 音声配信より
Nottaを活用して文字起こし。

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コミュニケーションの道具としてのことば

「ことばの働き」なんて、あまり日常生活で意識することはないかなと思います。
一般的には自分の言いたいこと、自分がやりたいことを伝達する。コミュニケーションの道具として、相手とやり取りをする。それが言葉だ!というふうに考えている方がほとんどだと思います。

ですが、本当はこの言葉の働き、というのは、この"伝達"や"コミュニケーション"という働きだけではないんです。
これはいくつか考え方がございまして、ここで全てを語るのは避けたいと思いますが、この「伝達機能」のほかにも、言葉の働きというのはあります。


創造する道具としてのことば

2つめは、世界を作り出す「創造機能」クリエイトっていうことですよね。これは文学作品とか、あとは詩・ポエムを書いたり、俳句とか短歌、小説や絵本、脚本や歌詞等。文化を作り出す大元になっているんだという、そういう働きです。

確かに、ことばで表現しなければ、文化が残って来なかったかもしれませんね。落語も、口伝いだし、その他伝統芸能も。
そういう芸術性というものにもことば、というのは大いに関与しているということが言えます。

まだある ことばの働き

ことばの働きは、あと2つあります。この2つの働きがですね、とっても大切なんです。

これはお子さんのことばの発達のお悩みがある、神経発達症などで困りごとがあるっていうような場合もそうですし、病気や怪我によって脳に傷やダメージを負ったことで、頭の働きの後遺症▶︎高次脳機能障害といわれるもの。これらで言葉の働きや、あとは頭の働きに後遺症を負うことで、日常生活や、社会復帰するいうときに、苦労するっていうようなことがありますが、それらに非常に関わってくる部分です。
なかなか、これが見えづらい部分でもあるんですよね。

考える道具としてのことば

3つ目は「考えるという道具」としてのことばです。これは意外かもしれませんけれども、言葉がないと、考えを深めたり物を認識するということは非常に難しくなると言われています。

例えば  "今日の夕飯何にしよっかな♡" って考えますよね。
"冷蔵庫の中に、豆腐はあった気がするけれども豆腐の賞味期限っていつだっけ?そろそろだと思うから、どうしよっかな?じゃあ、麻婆豆腐にするか!んじゃぁ挽肉と麻婆豆腐の素、買って帰るかな"   とかって考えている。

でもずっとこれ言葉で考えてますよね。あれ?そこにあったかな、いつだったかな。そうすると何が足りないんだろう?みたいに、ことばで考えを深めたりしている。ということになります。

逆に言えば、ことばが無くてどうやって思い付くんだ⁈ということになりますね。
今日は買い物して帰った方がいいのかな?とか、何を買ったらいいのかなっていうときに、やはり言葉を使った方が早く答えが導き出せますし、なんならですね、これは伝達機能でしょうけれども「挽肉、麻婆豆腐の素」ってメモに書く!それも言葉ですよね。だからことばの働きがないと「考えを深める」「考えをまとめる」っていうことが難しくなります。

行動をコントロールする道具としてのことば

そして4つ目は、行動のコントロール「行動調整機能」が言葉にはあります。
例えば
"ゆっくり歩こうね"とか"寒いからジャンパー着ようか"とかそういうふうに、知らず知らずのうちに自分や他人の行動を調整していたり。

あとは、自分の心の声というやつ。
例えば学芸会で。
"ひゃー本番が始まるー!緊張するなぁ。よーし、落ち着け落ち着け深呼吸。ふぅ〜。セリフ忘れないといいな。よし頑張ろう!"
とかっていうふうに、自分に自分で言葉をかけて、そして行動を調整する。落ち着け〜自分!とか頑張れ〜自分!とかって自分を励ましたり、なときには慰めたり、鼓舞したりっていうことがありますよね。
例えばピアノの発表会では
"ここは、ゆっくり慎重に♫ここは、ちょっと跳ねるような感じで!"
などのように、自分で意識して行動をコントロールしますよね。頭の中で、ことばで考えながら行動を調整しているということがあります。

なので、例えばADHD、多動や衝動性があったり不注意があったり、私も若干その傾向があるというふうに自覚をしていますが、そのときに言葉で調整する。
"壊れないように、そーっとそーっと運んで、ここに置こう"というように、そこに言葉を意識的に介入させていく。それで行動を調整するっていうことが効果的な場合もあります。

だから言葉ってとっても深いんです。なのでことばに障害がある、後遺症がある、発達のゆっくりさがあるっていうときには、行動の調整にも影響があるかもしれない。あとは、ぱっと思い立って行動してしまって、考えがまとまらなかったり、深まらないうちにやっちゃうっていうことがあるかもしれない。

ことばって目に見えない

この、3つめ「思考の道具」4つめ「行動調整」の働きは特に目には見えない部分なんですよね。
外に出ていくときのことばしか、なかなか他人には見えないものなので。
自分の内側で、ことばでどんな働きをしているかってのはわかりづらいと思うんですけど。その部分にもちろん目を向けていくと

"こういうことがもしかしたら引き金になってこういう行動が起こっているかもな"とか、
"こういうことを補充してあげると。動く前に言葉で説明してあげたり、目に見える形にしておけば、行動がコントロールできるかもしれない。落ち着いて考えることができるかもしれない"

っていうふうに逆に考えることもできるわけです。それができるのが【ことばのしごと=言語聴覚士】ということになります。

ことばは、人間を人間たらしめているということですので、とても深いし、人間にとっては大切な働きです。それを支える仕事をしているということに私は誇りを持っていますし、もっと頑張って、自分の知識や腕を高めていきたいなというふうに思います。そういうものに自分は出会えたということは非常に喜ばしいことだなと思いますし、お困りの方がいらっしゃれば、その言葉の仕事、言語聴覚士の皆さんが力になれるサポートができる。
そういったことを皆さんに少しでも知ってもらいたいなというふうに生意気ながら思っております。ということで今回のお話はここまでにいたします。

ぜひフォローやいいね。コメントもお待ちしています。また次回お会いしましょう。
ありがとうございました。

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