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Bリーグ2023-24シーズン第29節広島ドラゴンフライズ対群馬クレインサンダーズの個人的な試合展望

いよいよ残り試合数も1/4を切りました
ここからBリーグ全体でタイトル、残留・昇格争いなど1試合1試合がチームや選手たちの未来に大きく関わってきます

両チーム現在西地区・東地区それぞれで4位につけており、CS進出に向けて重要な一戦が続きます

広島は前節アウェイで大阪と対戦し敗戦。連勝は4でストップとなったが、2季連続でのCS進出に向けてホームで勝利を飾りたい一戦となる
大阪戦ではスタートでTOを重ねてしまい難しい展開に。それでも終盤では4点差まで詰め寄る粘りも見せた

群馬は前節ホームで秋田と対戦し悔しい敗戦。史上最多の動員となったホーム戦だったが、攻守で難しい時間帯が続き、自分たちの良さを出し切る事ができなかった。中2日でのアウェイ戦だが、切り替えて週末に備えたい

広島にとっては東地区のチームと戦う最後の一戦。この後は中地区の川崎・富山と対戦があり、残り8試合は同地区での対戦です(島根と3試合・琉球、大阪と2試合・長崎と1試合)

群馬にとっても西地区のチームと戦う最後の一戦です。この後は中地区の信州、どこから怒涛の同地区対決(宇都宮→千葉と2試合→北海道→秋田と2試合→A東京と2試合→仙台と2試合)が続きます

もちろんCSで顔合わせする可能性も残す両チーム。レギュラーシーズンでの最後の2戦に注目です

解説:川面 剛さん
実況:能政 夕介

※加執・修正の可能性もあります

両チームの今季と前節について(3/28時点)28節終了時点

広島ドラゴンフライズ【平均78.7得点(リーグ12位)平均74.0失点(リーグ3位)】25勝21敗で西地区4位

劇的なホームでの連勝から中2日。アウェイで大阪戦に臨んだ広島は、大阪の強固なインサイドと鋭い守備に苦戦を強いられた
1Qで7つのTO(今季1試合平均が11.2回)と入りの部分では課題が残った

ただ、中村が4試合ぶりの2桁得点(16得点、内3Pは4本成功)を記録し、ブラックシアージュニアも攻守で奮闘を見せ、終盤には4点差まで詰め寄った
ただ、終盤のファウルトラブルもありFTで点差を付けられての敗戦となった前節だった

シュートの形はつくれていたがあと一歩のところで波に乗り切る事ができなかった。大阪戦では3Pの成功率が7/26で26.9%と直近の5試合では唯一の20台となった。そして内訳も7本の内4本が中村が記録し、船生・山崎・エバンスが1本ずつとなった

今季の広島は平均失点が74.0点でリーグ3位の少なさ。規律のある守備と、オフェンスでしっかりと決めきり良い状態で守りにも入る好循環がある
TOの数は平均11.2回でリーグで7番目に少なく、ファウルの数も1試合平均17.6回でリーグ7番目に少ない数値をここまで記録している

成功確率の高いインサイドでの得点と、外のシュートも決める事ができるメイヨやエバンスといった外国籍選手の強みを生かし自分たちのバスケットを展開している

今季は終盤に寺嶋やロバーツケインの負傷もあり、チーム全体のステップアップが求められている。特に寺嶋は39試合の試合でスターティング5を務め、平均得点10.6得点と攻守でチームをけん引していた

ただ、寺嶋負傷後は中村が成長を毎試合見せている。佐賀戦からの5試合で平均得点は9.6得点。何より前節こそ敗戦したが、4連勝という形でチームの勝利に貢献した
中村や三谷といった若い選手の成長スピードと共に、残り試合勝ちながら修正し2季連続のCS進出を狙いたい

群馬クレインサンダーズ【平均79.6得点(リーグ11位)平均80.2失点(リーグ14位)】26勝20敗で東地区4位

前節は秋田相手に悔しいホームでの敗戦となった
1Qは25-12とフリッピン、パーカー、ジョーンズと躍動し群馬らしいスピード感のある攻撃で流れを掴んだ
ただ、秋田が守備のギアを上げて臨んだ2Qに流れは一変
群馬はTOが多く生じたわけではないが、良い状況でのシュートを打てず成功率が落ち込み流れをつくる事ができなかった(2QはFG4/17で23.5%)

アウトサイドのシュートが1本でも決まれば流れは変わったかもしれない。ただ、インサイドを固めてリバウンドを粘り強く奪い切る秋田の守備に苦しんだ2Q以降の戦いだった

終ってみれば3Pは後半は4/13もトータルでは4/23で17.4%の成功率
A東京戦は3/14と確率は高くなかったが、打てているのにシュートが決まらない難しさもありリズムに乗り切れなかった部分もあったかもしれない

群馬の強みの1つはスピード感のある攻守の切り替えだ
平均スティール数は7.6回でリーグ4位。広島も平均7.3回でリーグ5位とお互い高い水準を誇るが、1試合平均のポゼッションでは群馬が73.4回で広島が70.3回とスティール後の組み立て方に違いはある

攻守のリズムで気持ちよくバスケができている時の群馬は良くボールも周り、フィニッシュまで美しく得点をクリエイトできる
実際にアシスト数もリーグ4位の19.8回を誇っている

ただ、直近5試合で敗戦している秋田戦(アシスト数15回)とA東京戦(アシスト数13回)と平均を大きく下回っている

広島の固い守備を、群馬がオフェンスで上回る事ができるかどうか。インサイド・アウトサイドのバランスを取りながら年明けから負けなしのアウェイ戦で勝利を飾りたい

両チームのメンバー編成

広島ドラゴンフライズ
HC:カイル・ミリング(3年目)

■選手(継続)
寺嶋良(現在負傷で離脱中)
朝山正悟
アイザイア・マーフィー
船生誠也
ケリー・ブラックシアー・ジュニア
上澤俊喜
中村拓人
ドウェイン・エバンス
ニック・メイヨ

■新加入(IN)
山崎稜(群馬から加入)
ロバーツ・ケイン(ストーニーブルック大学から加入)
河田チリジ(10/26に契約合意)※帰化申請が今季認められた
武内理貴(12/11に特別指定選手として加入)
三谷 桂司朗(12/19に特別指定選手として加入)2019-22,2022-23シーズンも広島でプレー経験あり

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
カイ・ソット(横浜へ移籍)
辻直人(群馬へ移籍)
佐土原遼(FE名古屋へ移籍)
井手拓実(東京Zへ移籍)

群馬クレインサンダーズ
HC:水野宏太(2年目)

■選手(継続)
星野曹樹
マイケル・パーカー
トレイ・ジョーンズ
五十嵐圭
八村阿蓮
野本建吾
菅原暉
並里成
ケーレブ・ターズースキー

■新加入(IN)
辻直人(広島から加入)
コー・フリッピン(琉球から加入)
木村圭吾(新潟から加入)
ベン・ベンティル(セルビアのクラブから加入)

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
山崎稜(広島へ移籍)
アキ・チェンバース(SR渋谷へ移籍)
ジャスティン・キーナン

両チームの縁という部分で言えば、やはり山崎選手と辻選手にスポットが当たる
山崎は今季群馬から広島に移籍。過去3シーズン群馬でプレーし昇格にも貢献している(2020-23在籍)
一方群馬の辻は今季広島から群馬に加入。2年間広島で戦い、昨季は負傷もあったがCS進出の原動力になった(2021-23在籍)

他にも広島のエバンスはフリッピンと琉球で共にプレー(2021-22)
河田と星野は新潟で共にプレー(2021-22)
船生と野本は青山学院大学で共にプレー(野本が先輩)
並里はエバンス、船生と琉球時代共にプレー
三谷は菅原と筑波大学時代共にプレー(菅原が先輩)
寺嶋と八村は東海大学共にプレー(寺嶋が先輩)

といった縁もある。辻のコンディションは気になる部分だが、どんな再開が見れるかも楽しみにしたいポイントの1つだ

過去の対戦成績(広島7勝・群馬5勝)リーグのみ

今季は初めての顔合わせとなる。辻にとっては久々の広島サンプラザへの凱旋の一戦。山崎にとっても、多くの見知った選手たちがいる中でどんなプレーを見せてくれるか楽しみにしたい

昨季の2022-23シーズンは広島のホームで戦いお互いに1勝ずつだった。今季はまだCS進出が確定していない中で1つでも多く勝利を積み重ねたい両チームの戦いだ

2022-23シーズン(広島1勝 群馬1勝)

広島 97-87 群馬 2023.02.11
広島 91-99 群馬 2023.02.12

2019-20シーズン(広島1勝 群馬1勝)B2リーグ

群馬 81-85 広島 2019.12.13
群馬 93-81 広島 2019.12.14

2018-19シーズン(広島2勝)B2リーグ

群馬 85-93 広島 2018.11.03
群馬 64-67 広島 2018.11.04

2017-18シーズン(広島2勝 群馬2勝)B2リーグ

広島 94-87 群馬 2018.02.16
広島 80-78 群馬 2018.02.17
群馬 92-84 広島 2018.05.05
群馬 72-105 広島 2018.05.06

2016-17シーズン(広島1勝 群馬1勝)B2リーグ

群馬 75-86 広島 2017.02.17
群馬 86-82 広島 2017.02.18

※2016-17シーズンはPOで戦い広島が78-65で勝利(2018年5月20日)

広島は対群馬戦で同一カード連敗はなし。ただ、連勝も1度のみ(2018-19シーズン)
B1リーグで戦うのは3度目で、ここまでお互いに1勝ずつ
群馬は過去広島に同一カード連勝はなし。昨季はトレイジョーンズはGAME1で35得点を記録。辻選手も2試合共に2桁得点を記録

広島は両日ブラックシアージュニア選手が存在感を出し2桁得点を記録
両チーム外国籍選手の活躍が素晴らしい昨季の戦いだった

古巣対戦もある中でどんな歴史が刻まれるか楽しみにしたい

個人的な見どころ

今季初対戦となる両チーム。守備からリズムをつくる広島と、アグレッシブな攻守の切り替えで得点を量産する群馬

どちらが自分たちのリズムをつくりながら2日間戦い切れるか注目したい
個人的な注目点は3つ

①インサイドの攻防。得点を取り切るか

②ゲームの切り替え。ファウルトラブルを回避

③シューターが輝くか?その環境を整えられるか

1つ目のインサイドの攻防は前節両チームにとって課題が生まれた部分かもしれない

広島は前節の大阪戦では1Qに26失点。ロングが12得点を決めて、インサイドで存在感を見せた。広島の攻撃面では1Qは2Pが2/8と大阪の粘り強い守備とローテーションに苦しんだ印象だ

一方群馬目線で見れば、前節の秋田戦2Qでのリバウンド差は「14」だった(群馬が5本、秋田が19本)特に秋田はザックを中心に2Qだけで7本のORを取り、得点に繋げて逆転に成功。ORからのセカンドチャンスでの得点は決して多いわけではないが、相手にリズムをつくらせない守備も重要になりそうだ

広島は今季ORからの1試合平均得点は7.6得点(リーグ7位)
丁寧な守備からしっかりと時間を使いながら、確実に得点を狙いに行く
インサイドへのアタックと良い状態でリバウンドからの得点が取れれば広島は主導権を握る事ができる
逆に、群馬は前節の敗戦から学び、ターズスキーを中心にリバウンド面を取り切り、そこからスピード感のある攻撃への切り替えを見せていきたい

2つ目のゲームの切り替え。ファウルトラブルを回避は両チームのスタイルやスタッツにも特徴が出ている
広島は速攻と遅攻を上手く使い分けつつ戦う。そして守備はハードだが無駄なファウルは多くない。実際にファウルの1試合平均数は17.6回でリーグ7番目の少なさだ。スティール数が多いチームではあるが、不要なファウルは少なく、そこからリズムをつくっていく

一方の群馬はファストブレイクからの得点が1試合平均13.9得点でリーグ3位を誇る。相手のTOからの得点も15.9得点でリーグ4位
ファウルの数は1試合平均18.6回でリーグ15位だが、FD(ファウルをもらう回数)は1試合平均19.7回でリーグ2位
早い攻撃で相手からファウルを引き出しFTを決めて得点を積み上げていく
群馬はFTの1試合平均が13.6/18.2で成功率は74.9%でリーグ6位
総得点のうち17.1%をFTでの得点で占めており、この割合はリーグで4番目と高い水準だ

お互いに守備意識のスタンスは異なる部分があるだけに、そこから生まれる攻守の切り替えとファウルによる流れの変化には気を付けたい

③シューターが輝くか?その環境を整えられるか

広島は前節3Pが7/26で26.9%、群馬が4/23で17.4%と低調に終わってしまった
ただ、広島で見ると中村がキャリアハイに並ぶ4本を記録。メイヨも名古屋D戦では6本の3Pを沈めて勝利に貢献した

群馬も辻が不在だった富山戦ではGAME2で15/30(菅原とベンティルが4本)GAME1も11/29と高い水準を見せた

両チーム前節は20本以上のアウトサイドシュートを打てる環境をつくっている。後は誰に、どのような状態で託すことができるかだ

広島で見ると今季3Pを100本以上打っている選手は6名
山崎:66/192 成功率34.4%
ニックメイヨ:63/169 成功率37.3%
上澤:59/155 成功率38.1%(100本以上打っている選手で最も成功率が高い)
エバンス:51/150 成功率34%
ブラックシアージュニア:43/135 成功率31.9%
中村:33/118 成功率28%

負傷している寺嶋は45/138で32.6%
マーフィーもここまでは31/99で31.3%と多くの選手が積極的にアウトサイドシュートを放っている

一方の群馬で今季3Pを100本以上打っている選手は同じく6名
辻:92/249 成功率36.9%
ベンティル:66/147 成功率44.9%(100本以上打っている選手で最も成功率が高い)
八村:40/142 成功率28.2%
フリッピン:37/117 成功率31.6%
並里:36/113 成功率31.9%
ジョーンズ:44/109 成功率40.4%

辻選手の圧倒的な本数と、ベンティル選手やジョーンズ選手は高い成功率を誇っている

もちろん直近の試合では菅原選手も4本の3Pを決めるなど存在感を見せている。誰に、どの状態をつくって託すか?そしてどんな状態でも決めきる事ができるかどうか、楽しみにしたい

そのためには前述したインサイドが効果的にオフェンスとして機能するかも重要になってくる。中への対応が増えれば、おのずと外でフリーをつくる事ができる。インサイド・アウトサイドどちらで流れをつくっていくか?そして守備面ではどちらにフォーカスして流れを切るか?ヘッドコーチの手腕と、その遂行力にも注目だ

CS争いも佳境となるシーズン終盤。ワイルドカード争いは特に熾烈になっていて、この週末にまた順位が入れ替わる可能性がある

ここからは毎試合トーナメントで戦うような気持ちで選手たちは臨んでいくはず。その強い気持ちが出るコートでの状態をしっかりとコメンタリーとして届けていきたい

週末の広島対群馬の一戦。是非広島サンプラザホール、またはバスケットLIVEにてお楽しみください!

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