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ありがとう、しか出てこない夜に。

1年くらい勤めていた職場を退職してきました。
退職理由は猫の看病がしたいから。
忙しい時期でした。
正直「そんな理由で」と言われるかもしれない、って思ってました。

でも、誰もそんなこと言いませんでした。

「猫さんのそばにいてあげて」
「一緒にゆっくり過ごしてあげて」
「1日でも1秒でも長く一緒にいられますように」

そう即答してくれる同僚や上司たちの多くは、小さな家族たちと過ごしたことのある人、過ごしている人でした。

その言葉にどれだけ励まされたことか。
その優しさにどれだけ救われたことか。

みんなの思いやりに感謝すると同時に、
私の会ったことのないその小さな家族たちに感謝したいと思いました。
だって、君たちのおかげで、今の私の気持ちをより分かってくれるんだと思うから。

残念ながら退職には間に合いませんでした。
職場で思い出すだけで仕事にならないくらい悲しい気持ちになってしまい、みんなには言えませんでしたが、何人かにだけそっと打ち明けました。

「お疲れ様」
「猫さんも紡さんもがんばったね」
「ゆっくり過ごして」

そう言って一緒に泣いてくれました。
ありがとう、しか出てきませんでした。
私以外に、猫の幸せを口にしてくれる人がこの世にいたことが、私の心に強い力を与えてくれました。

いつか私も誰かの力になれる日がきたらいいなと思いながら、
今はただ、ありがとう、しか出てこない夜を過ごしてます。


最後まで読んでくださってありがとうございます。