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「第13回飛山桂作品・フルートリサイタル 時空を超えて」

フルーティストで作曲家でもある飛山桂さんのリサイタル
前半は、新曲を飛山桂さんのフルートと飛山百合子さんの箏・三絃で
後半は、これまで作曲された曲の作品集でした。
 
1曲目は、初孫が健やかに育って欲しいとの願いを込めた「彩花」
2曲目は、故郷の岡山県津山への想いを託した「津山組曲」
どことなく懐かしいメロディーがフルートと箏・三絃で優しく奏でられ、飛山さんの、温かい想いが伝わって来ました。
 
後半は全曲、二十五絃箏
幅広い音域を、深みのある音で奏でることができる箏です(一般的な「箏」は絃が13本)
 
「ヴォスロールの風」は、「長崎組曲」からの1曲
慶応4年(明治元年)、フランスノルマンディー地方のヴォスロール村から来日し、亡くなるまでの46年間、長崎の貧しい人々のために尽くしたマルコ・ド・ロ神父を唄った曲です。
ギターの原曲を今回、金子展寛さんが二十五絃箏にアレンジしたとのことです。
神父の優しさと強さ、ふと思い出される故郷ヴォスロールの風と鐘の音。
ほんの数分の演奏の間に、神父のお人柄と人生、そのすべてが目の前に立ち上るかのようでした。
 
「唐寺」は「長崎組曲」からの3曲で構成されています。
第一楽章「寺町―梵鐘・甍並ぶ」
第二楽章「中川島―めがね橋・石工渡来」
第三楽章「風頭―初登宝地」
日本最初の黄檗禅宗の唐寺である興福寺は、1654年に来日した隠元禅師が日本で最初に住職を務められた「初登宝地」であり、また近くには2代目住職が掛けた「めがね橋」があるとのことです。
梵鐘の鳴り響く壮大な寺町の様子、石工(技術者)達が渡来し橋が建設されて行く様子、黄檗宗の禅の教え・技術文化が花開いていく様子が、二十五絃箏の独奏で鮮やかに描き出されます。
 
「夏山四章」
フルーティストだった飛山さんに、「曲を作ってみたら?私弾くわ」と提案されたのが、二十五絃箏を作られた2代目野坂操寿さん(1938-2019)だそうです。
飛山桂さんの第1曲目「夏山四章」はこの言葉がきっかけで生まれ、操寿さんはリサイタルで初演されたとのこと。
今回、この操寿さんがきっかけで生まれた曲を、操寿さん縁のお二人が演奏されました。
飛山さんと操寿さん思い出の夏山の景色は、操寿さんの身近にいらしたお二人でならではの、暖かく柔らかい景色に染め上げられ、雲間から、操寿さんが微笑みながらのぞき込んでいるかのようでした。
 
最後は平和への祈りを込めて「鳥の歌」
 
リサイタルのタイトルは「時空を超えて」
まさに、江戸から明治、平成令和まで、岡山から長崎、信州まで。
時間も空間も自在に飛び回る、時空を超えたひとときでした。
 
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。

 *「さん」とお呼びするのは、大変失礼であると重々承知しておりますが、「客席からの眺め」では、「先生」方も、「さん」付けで表記させていただいております。何卒ご了承くださいませ。

*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
https://gainful-butter-9171.glideapp.io/
 
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会場 茨木市福祉文化会館(オークシアター)
日時 2023年5月27日(土) 14:00
プログラム
彩花(飛山桂 2019)
 フルート 飛山桂 箏 飛山百合子
津山組曲 (飛山桂 2023)
 「久米の里」「奥津」「洋楽事始め」「津山城跡」
 フルート 飛山桂 箏・三絃 飛山百合子
ヴォスロールの風(飛山桂 1995・金子展寛編曲 2023)
 二十五絃箏独奏 金子展寛
唐寺(飛山桂 1995)
 「寺町」「中島川」「風頭」
 二十五絃箏独奏 伊藤麻衣子
夏山四章(飛山桂 1992)
 二十五絃箏 野坂惠璃 十七絃箏 金子展寛
鳥の歌(カタロニア民謡・野坂惠子編曲)
 二十五絃箏 野坂惠璃
司会・朗読 眞り子
プログラム表紙絵 「津山城跡・時空を超えて」アライヤスオ

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