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「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

当道音楽会は明治38年に設立された、箏・三絃・胡弓を伝承している団体です。
伝統文化の維持・継承をはかる団体であることに公益性を認められ、公益社団法人の認定を受けられています。
この度、第140回定期演奏会が、超豪華ゲストを招いて開催されるとのことで、足を運びました。
 
第1部は、ゲストの競演
「笹の露」
富山清琴さんの三絃と、菊原光治さんの箏、善養寺惠介さんの尺八です。
清琴さんと光治さんの掛け合いが、まさにお二人でお酒を酌み交わしているかのようです。
楽しい酒席を覗かせていただいているこちらまで、楽しい気分になりました。
 
「尾上の松」
先日、小池典子さんのリサイタルで聴いたばかりです。
その時演奏されたのは、三絃に宮城道雄が作曲した華麗な箏パートがついたものでした。
今回は、それ以前に伝わっていた三絃2挺版(三絃は1挺2挺と数えます)。
この貴重な曲を、なんと、藤本昭子さんと藤井泰和ご姉弟での演奏です。
熟練の技、息の合った演奏は「素晴らしい」以外に表現のしようがありません。
語彙が全く不足しており申し訳ありません。
 
「八千代獅子」
40名超の当道会皆さまの三絃と箏をバックに、山村友五郎さんと、ご子息の若さん侃さん、お三方が立方を務められました。
おめでたく、豪華な舞台に舞が入ると、一層雅やかになり、気分が盛り上がります。
 
「時」
うって変わって、二十五絃箏と尺八のみ
この曲を以前どこで聴いたのか思い出せませんが、とても好きな1曲です。
美しい旋律と音色を聴きながら、移ろいゆく時に思いを馳せます。
我が身は今ここにあるはずなのですが、遠い時に迷い込んでしまいました。
曲が終わり、思わずため息がこぼれましたが、お隣にいらした方々も同様のご様子でした。
 
第2部は、子どもたちの演奏
当道音楽会の邦楽普及事業として公募し、この日の舞台のために練習を重ねてきた子どもたちによる「さくらさくら」です。
4歳から高校3年生まで、それぞれの技量にあわせ編曲パート分けされての合奏でした。
ひとり一人が、まっすぐに楽器に向き合って奏でられる「さくらさくら」は、彼らの心の中にずっと、生き続けていくのだろうと、胸が熱くなりました。
 
第3部は、当道会皆さまの大合奏
「花の宴」「越後獅子」「一杯」「春の海幻想」
いずれも40名を超える皆さまの合奏です。
迫力もさることながら、この大人数にもかかわらずきれいにそろい、音のうねりが押し寄せてくる様は圧巻でした。
 
最終曲の「春の海幻想」は宮城道雄作曲の春の海を、牧野由多可が編曲した曲です。
野坂惠璃さんの箏独奏、阪口夕山さんの尺八に、大合奏が入ります。
阪口さんの尺八はもちろんですが、野坂さんの箏が、とても、ものすごく、素晴らしかったです。
原曲の雰囲気を残しつつも、牧野節のちりばめられた曲を、繊細で軟らかな表現で聴かせてくださいました。
さらには、合奏団を身体で指揮されて、舞台から溢れる「幻想」が会場を包み込むかのようでした。
合奏団の皆さまの演奏も素晴らしく、曲の世界を思う存分楽しませていただきました。
 
こんなに素晴らしい演奏をされる方が、こんなにたくさん!いや舞台に出ていない方もたくさんいらっしゃるはずなので、もっともっとたくさんいらっしゃる。
そして、こんなに素晴らしい演奏を聴かせていただける。
なんて幸せなことなのでしょう。
はるばる足を運んだ甲斐がありました。
聴き逃していたら、悔やんでも悔やみきれないところでした。
 
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
 
*「さん」とお呼びするのは、大変失礼であると重々承知しておりますが、「客席からの眺め」では、「先生」方も、「さん」付けで表記させていただいております。何卒ご了承くださいませ。
 
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
https://gainful-butter-9171.glideapp.io/
 
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会場 国立文楽劇場
日時 2023年5月28日(日) 12:30
プログラム
笹の露 菊岡検校作曲 八重崎検校箏手付
 三絃 富山清琴 箏 菊原光治 尺八 善養寺惠介
 
尾上の松 作者不詳
 三絃本手 藤本昭子 三絃替手 藤井泰和
 
地唄舞 八千代獅子 藤永検校三絃移曲
 立方 山村友五郎 山村若 山村侃
 当道音楽会(プログラムには、皆さまのお名前が載っているのですが、大変申し訳ありませんが、割愛させていただきます)
 
尺八と二十五絃箏のための 時ーときー 小宮瑞代作曲
 二十五絃箏 野坂惠璃 尺八 藤原道山
 
さくらさくら
 邦楽普及事業 こどもたちによる
(プログラムには、お名前が載っているのですが、大変申し訳ありませんが、割愛させていただきます)
 
箏組歌表組 花の宴 石塚りう一作曲
 当道音楽会
 
越後獅子 峰崎勾当作曲 市浦検校箏手付
 当道音楽会
 
一杯 菊重精峰作曲 田坂州代作詞
 当道音楽会
 
春の海幻想 宮城道雄作曲 牧野由多可編曲
 箏独奏 野坂惠璃 尺八 阪口夕山
 当道音楽会

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