映画「全身小説家」感想

 エクストリーム・ベヒーモスに連戦連敗を繰り返し、積んでおいたDVDを息抜きのつもりで再生したのが運の尽き。あまりにもエクストリームな毒にすっかりやられてしまった。

 乙女のように瞳を潤ませる老女にえづき、生々しい手術のシーンでたまらずトイレにかけこむ。弔問に来た埴谷雄高をバックに「悪霊となって全ての差別者に仇を為せ」みたいな、寂聴ちゃんの怨嗟にも似た弔文(でも、セックスはしてると思う)が流れる頃には、完全なグロッキー状態でぐったりとソファに身を預けていた。

 映像作品でこんなふうになるのは何年ぶりだろうか。被写体のクレイジーぶりもさることながら、監督が五年もの間、何の意図をもって、どのように撮影し、関係者からのあらゆるクチバシを退け、どれだけの時間をかけて、いかに編集したかを想像するだけで、心底ゾッとさせられる。

 それにしても、忌々しいのはエクストリーム・ベヒーモスである。俺様がスーパープレイをするときには味方がふがいなく、味方が頼もしいときには俺様がミスを連発するという悪循環の中、配信の最終日には久しぶりに酩酊状態を脱してプレイせねばならぬと決意するほど、追い詰められている。

 そう言えば最後にシラフでゲームをしたのも、モンスターハンターのフロンティアの、なんか雷を出す鳥だったな、などと愚痴も言い終わりましたので……、じゃあ。

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