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「2020年4月24日」について

この日はまだ明るいうちに外出をする必要があった。

2020年4月24日。それは、日本のサブカルチャーにとてつもなく大きな影響を与えた(と思うのだけれど今二十歳くらいの文化を愛する若者にとってブロスってどんな存在なのだろうか。知ってはいる、って人はそれなりにいるのかな)テレビブロスの、紙の定期刊行最終号となる総集編の発売日であった…気がする。もしかしたら23日発売だったかも。その3日前、21日には映画秘宝の復刊号が発売されている。運命はいくつもある(車谷浩司)。

ブロスを買うだけなら、近所の書店でも、ネット通販でもいい。なんならコンビニにもありそうだ。しかし、スズキナオさんの『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』の書評を書いていただいた左近洋一郎さんが原作を担当する、ルノアール兄弟のクリアファイルがTSUTAYA限定でついてくることを前日か前々日に知った。

私はルノアール兄弟が本当に大好きで、個人的にはブロスの“正しさ”のようなものは、ルノアール兄弟の起用によって証明されていると思うくらいなので、これはゲットしなければいけません。とにかく人にうつしたくないので、当たり前だけどコロナにかかりたくはない。しかし、自分がかかるだけで済むと確定できるなら感染も上等、と言っても大袈裟ではない…と書くとさすがに嘘になるが、やや大袈裟かも、というくらいには欲しいのです。

問題は「どこのTSUTAYAに行くのか」という話。私はTカードも持っていない。思いつく限り、直線距離で5~10km圏内に、レンタルだけでなく販売もやっているはずのTSUTAYAが2つある。

1つはオフィス街のオシャレな店。服部さんの『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』の1巻か2巻の発売時に特典ペーパーがあるというので行ったらまだ陳列されていなかった。正直言って苦手意識がある。そこからは簡単に仕事場に行けたのに、渋谷に移動してスクランブル交差点のあのTSUTAYAで購入する羽目に。渋谷から仕事場は乗り換えが手間で、苦い思い出となっている。

余談。陳列されていなくても、店員さんに聞いてみれば、と思われる方もいるかもしれませんが、そんな行動ができる人間だったら、アタイこんな人生を送ってないわ。行動力自体は正直あるので(発揮する機会は圧倒的に少ない)、日本でそのTSUTAYAにしかない、とかだったら全然聞けるんだけど。

もう1つは、圧倒的に昼間人口より夜間人口の多いだろう住宅街の店。こっちのエリアはDAISUKIで、スズキさんや左近さんと飲み歩いたこともあるほど。距離はこちらのほうが1.5倍~2倍くらいあるものの(移動は自転車)、運動不足解消のためにもこちらに決定。

コロナ禍

最近は17時とか18時くらいに起きることもある、という腐りすぎた生活を送っている私だが、この日は余裕を持って14時くらいに起床。納豆食べたりネット見たりして「そろそろ行くか」となったときに、念の為に地図を見ておこうと件のTSUTAYAを調べると、なんと営業終了が18時!コロナめ…。営業時間短縮はしているだろうけど、20時閉店くらいだと勝手に思っていました。

気がつけば16時50分くらいになっていて、オフィス街のほうなら楽勝で間に合うが、意地で本来の目的地に向かう。

道中の様子、飲食店の営業具合なんかを眺めながらのんびり行くつもりだったのに本気で急ぐ。橋は立ち漕ぎ。アフター5直撃で人も多い。己の愚かさを呪うよりほかない。直線距離残り2kmくらいで「全然間に合いそうだな」と思った後に、川と橋の配置のトラップにかかり大幅に遠回りしたりして、17時50分過ぎにどうにか到着した。気分はもう戦争。

で、ブロス。棚にラスト2冊ささっていた。すみません、2冊とも買っちゃいました。

そして、買えはしたものの店のチョイスを間違えていたことに気づく。

そもそもこちらの店にした理由として、夜ならともかく、夕方までならオフィス街の店のほうが混んでいそうなイメージがあったことも挙げられる。しかし実際には、夜間人口の多いエリアのTSUTAYAのほうが今は混んでいるのではないか。巣ごもり映画・コミックレンタル需要も多そう。

閉店間際というのもあるにせよ、とにかくレジの混雑ぶりが凄い。3~40人は確実に待っている。そして、店側で特に列の間を空けることもしていない(列間空けたらどこまでいくかわからない長さだから、とかかもしれないけど)。店の入口に立って客に案内をしていた店員さんの感じから見ると、18時閉店になったばかりなのか利用者側にも混乱があった模様。

ところがそんな中で、私の前後にはややソシャディな距離が。その理由は明白である。真ん中にいるおっさんが滝汗をかいているからだ。このご時世にマスクして汗だくの人間がいたら警戒しないほうがおかしい。

私は新陳代謝が異常に良いので、ちょっと運動して一度汗腺がパッカーンしたらとめどなく汗が流れ続ける。そもそものんびり行こうと思っていたのも、その状態を避けるため、というのもありました。しかし閉店ギリギリだったのでそんなことも言ってられず。走っている間はその分涼しい風を受けるので意外にいけるのだけれど、一度止まったら終了である。

全部コロナが悪い。近くにいた人やレジの店員さんも本当に気分が悪かったであろう。面目ない。1週間経っているけれど、皆さまお元気にされているでしょうか。私はそれなりに元気です。

帰途

とりあえず目的を達成して帰路に。途中、近所の書店では買えない、TSUTAYAでも見つからなかった雑誌などを求めて文教堂に寄る。なんとなく、いわゆる「巣ごもり需要」がある店とない店がパキッと分かれている気がしているのですが、その店は結構混んでいる感じでした。

私はちょうどレジに行列もないタイミングで買い物を済ませ、平和に利用を終えた感じ。書店が賑わっていること自体は喜ばしいことである。しかし、それが素直に喜べないこの状況。

この文教堂も、かなり上の立場に見える方が2人レジに立っていて、私が行くまではノートPCで何か作業をしていた。現場が疲弊して、管理職の人がヘルプに出ているとかなのかな…と思ったり。領収証もレジから出力できると思うんだけど手書きだったし。

花本武さんが勤務されている吉祥寺のブックスルーエは、4月にシカク出版から刊行された『浮き世 つちもちしんじ作品集』の展示をしていた。

結局仕事が片付かなかったのもあり行けなかったのだけれど、でもコロナの影響がなければなんだかんだと行っていたと思う。寂しい。

帰り道、下町的なゾーンが多く、ストロングスタイルで営業している飲食店も多い。前の日記にも書いたけど、混雑しているスーパーにしばらく滞在するのと、扉や窓を開け放っている居酒屋で飲むのは別にリスク的にはあまり変わらないのでは…とか思いつつある私なのだが、普通に混んでる店が多かった(笑)。

(笑)じゃねーよ、という話かもしれないが、私の心根はそこでワイワイ飲んでるおっさんやおばさんたちにおそらく近く、正直シンパシーを感じるしエンパシーも働く気がする。こんなニュースもあったばかりだし。

よく「命と経済」と言われるし、間違っているとも思わないけど、結局「命と命」の話でしかない。個人的には、失われる命の数に明らかに大きな差が出る場合を除けば、より「“恨み”が市民の心奥に根づかない」政策を採ることがアフターコロナの世界にとって重要なことだと考えている。

しかし今の政府はどちらかと言えば「命」側で、その上恨みをばら撒き、さらに「経済」に対する手当の甘さで命も結局多く失う…という方向に向かっているように見えて恐ろしい。別に対立項ではなく、「命を重視して恨みを撒かない」政策は不可能ではないと思うんだけど(逆に経済優先で恨みを撒くことも容易だろう)。

ただ、単純に命の数だけを比べても、実は経済優先のほうがマシな結果になるんじゃないか…と思ったりもするんですよね。

テイクアウト

前回の日記で書いたように、これはテイクアウト利用日記であってTSUTAYAバイオテロ敢行記ではない。私は外では基本的にインターネットを利用できないので、TSUTAYA帰りで気になった店のテイクアウトを利用しようと考えていた。

気になる店はそれなりにあったものの、TSUTAYAと文教堂で買った本で自転車のカゴが埋まる量になっていたので、結局近所の商店街で以前から「ここは確実にテイクアウトをやっているだろう」とわかっていた店を利用することに。

そこは寿司や巻物のテイクアウトをしているようで、かなり若いお兄さん3人でやっている模様。デリバリーもしていて「日用品1つに限り買い物代行をした上で配達」というサービスもしていた。先日のマスクにせよ、どこも生き残りのための工夫や努力をしているのが、「単にテイクアウトをやるだけでイートイン営業時代と同じ売上・利益を出せるはずもない」という事実を端的に示すようで気が滅入る。

自転車を往復で15km以上は漕いだ後なのだが、あまり主食が入らない感じがして、正直寿司や巻物はピンとこなかった。そこでお造りをいただけないかとご相談したところ、寿司用の器に入れて、ご時世なので内容のオーダーは受けられないのでよければOKとのこと。3千円分お願いし、サイドメニューにあった柿の種を使った唐揚げを注文。ホッピーの瓶があるか聞いてみたけどなかった…。

デリバリーできますよ、と言われたが「取りに来ます」と伝えて店を出ようとしたら、店員さんがチラシを持ってきて「LINE@をやっているので登録していただければ連絡します」と。LINEをやっていないので、と断り店を出たけど後で気づく。注文だけしてバックレる可能性があるから連絡先を押さえたかったのではないか。変なお願いしてくるし気になるよな。電話番号は伝えたけど、それが嘘とも限らんし。とはいえ、私としては買う気満々なので、酒を買ってから店に戻り、無事に受け取って帰宅。

食べる

なんとなく、テイクアウトをしたらそのまま外で食べ、酒も飲み、そのとき写真を撮って記録しよう、と考えていたのだが、せっかくのお造りに醤油を適当にかけて食べるのは微妙な感じがして、小皿を求めて帰宅することに。押して帰れる距離ではあるが、酒を飲んだら自転車乗れずに面倒だな、というのもあり。

さて、3千円分の刺身。どうなのか。正直安い居酒屋で頼んだらかなりな金額である。今回の店は初めての利用で、寿司屋としてどのくらいの価格帯なのかはわからない。あとそもそも、寿司屋に行くことが全然ないので、寿司屋のお造り感もわからないのだけれど。

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うむ。暗闇の中の美味しくなさそうな写真に意味もなくこだわっていたので、最初写真を撮っておらず数切れ減った状態です。そこで「やっぱり撮るか」と思い撮影。

難しいところなんだけど、お店の中でこれだと、「やや高い」と思うかもしれない。でも、前回も書いたように、逆に利益をちゃんと出すテイクアウトとしては絶対に正しい。店でこれよりも豪華なのが来るとしたら、それは酒とかで稼げるからでしかないはず。

とか生意気なこと考えながら「うめーうめー」と缶のレモンサワーを飲みつつ食べていたのですが、最後のほうにウニ食べたら!めっちゃ美味くて!「高くねー!」となりました!大変失礼致しました。

(後日追記:よくよく考えてみたらウニとか抜きにしても十二分に良心的な量・質であった気がする。近所に狂った値段と量の刺盛りを出す居酒屋があって、その基準に引きずられていた気がします)

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続いて柿の種の唐揚げ。唐揚げじゃなかった気もしてきた。500円。衣に柿の種を使う揚げ物の存在は知っていたのですが、多分食べるのは初めて。これ、テイクアウト用のメニューだと思うんだけど、冷めても美味しい系でかなりよかった。それはそれとして、揚げたてで食べたらどんな感じなのかも気になるのですが。飲み屋…行きたい…。

正直この日は、TSUTAYAの混雑に驚いたものの、その混雑を生んでいる他のお客さんからすると、汗だくの自分が明らかに一番ヤバい異物であっただろう。出ていってほしいと思われてるよな殺してくれ!って感じの情けなさで、他のことをあまり記憶していない。美味かったけど、唐揚げだった確信がない。まあ見た目的に唐揚げだとは思うけども。

そして、この日以降は一度もテイクアウトを利用できていません。日記書きたくないから、ってわけではない(理由の一端にはあるのかもしれんが)。冒頭に書いたように生活リズムが大分裏拍打ってる感じなのが問題。飲食店のテイクアウトは大体20時なので、仕事に追われていると行くのが難しいのです。テイクアウトなしだと、大体晩飯はいつも日付変わるくらいの時間でして。

ということで、果たして次があるのかどうか。

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