井蛙はる

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    昔話です。

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    世界のことわざとそれからイメージしたイラストです。 少し世界を旅行した気分になれるかも。

最近の記事

羽裏の招き猫

 着物の上に着る羽織の裏側に羽裏と呼ばれる生地がある。  普段は見えないが羽織を脱ぐときにちらっと見える。  ただ普段は見えないので金持ちが好んで羽裏に美しい布や絵を描かせることになる。それが脱ぐ時にちらりと見えるとかっこいい。  のぞみと呼ばれる女はそんな羽裏の絵を描く仕事をしていた。  嘘か本当か蘆屋道満という陰陽師の家系という。  嘘か本当か何百年も生きているという。  嘘か本当か狸が親だという。  女の得意な絵は人魚。美しい人魚は男にも女にも人気だ。人魚の絵は健康に良

    • カッパの弟

       タイチは夢を見た。  河童と遊ぶ夢。その河童はタイチを、 「お兄ちゃん」  そう呼んでいた。  そんな夢をタイチは母親の大きなおなかを見ながら思い出していた。  大きなおなかは、おなかが大きくなるほどに幸せも大きくなっていくようだった。 「タイチのかあちゃんは河童の子を産む」  誰かがそんなことを言った。  タイチの母親のお腹にいるのは河童の子だというのだ。  母親が河童といるのを見たという。 「お腹にいるのは河童の子か?」  父親が母親に聞いた。

      • 息子人形

         親子が海辺で遊んでいる。それは昔の話。  その光景を一人の男が見ていた。男にはきよと一郎という妻子があったが、腕のいい飾り職人だった男は立身出世のためと置いてきた。  結果はそこそこ成功した。  そこそこの金を稼ぎ。金を送り。そして、しずという名の女と暮らすようになった。  男が金を送るのが惜しくなった時。しずに子ができた。男は妻子に金を送るのを止めた 。  そして、しずは腹がさけて死んだ。男は恐ろしくなった。自分の浅はかさを後悔した。  男は海辺で遊んでいる親子を眺めてい

        • 河童の子

           河童を婿にしたものは河童の子を産みます。  河童の子は殺さなければなりません。  河童の子が生まれたら、切り刻み、1升樽に入れて、土中に埋めます。  河童の子は醜悪なので、一目でわかります。  ある日の事です。 ある家の者一同が夕方畑から帰る時です。  女が川の水際でうずくまり、にこにこと笑っているのを見ました。  次の日には、昼に同じ様な姿を見ました。  日が重なり、その女の所に村の〇〇が通っているという噂が立ちました。  初めはその女の婿が浜の方に駄賃

        羽裏の招き猫

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          9本
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        記事

          毘沙門天の文

           越前国に伊良緑野世恒という者がいました。  伊良は毘沙門天に一途に祈っていました。  祈っている間は何も食べなかったので、伊良はとても腹が減っていました。 「一途に飯も忘れ祈っていたので、腹が減ってしまいました。どうかお助け下さい」  そう伊良が言うと、門に美しい女が来ました。 「家主様にお話があります」  と女は言いました。  伊良はその女を中へ呼びますと、女は食べ物の入った土器を伊良に渡したのです。  伊良が土器の食べ物を少し食べると、不思議なことに腹が

          毘沙門天の文

          清明を試みる僧

           安倍晴明の家に美しい二人の童を連れた老いた法師がやってきました。 「何か用ですかな」  晴明が法師に聞きますと、 「播磨の国から来ました。陰陽道を習いたいという志があり、この道において優れている晴明殿に少々でも習いたいと思い、参ったのでございます」  法師は微笑みながら言いました。  上品な法師です。 供の二人の童も美しく、お香の香りを心地よく漂わせています。  晴明はこの法師は賢く力を試しにやってきたのだと思いました。  法師の連れている童は式神だろうと思

          清明を試みる僧

          イリセートサットの怪物(小泉八雲から)

           そこは神々が最後の仕上げを忘れた地域です。  そこでは黒い海と鉛色の霧以外は、全ての物が白かったのです。  そこは陸と海の境目があいまいでした。  氷の頂は太さを気ままに変え、気ままに動き、絶滅した生き物の記録のように不気味に形を変えたのでした。  満月になると、死んだ魚を食べる犬たちが海に向かって遠吠えをします。  大熊たちがその犬たちに鋭くとがった白い岩を投げるのです。  そのような情景の中に、赤い炎の間から山がそびえたっており、この世の始まりから燃え続けて

          イリセートサットの怪物(小泉八雲から)

          金の精(雨月物語・貧福論から)

           岡左内という禄が高く、誉れが高い武士がいました。  ただ、左内は金への執着が強く、金を部屋中に広げて楽しむなどの、評判の良いとは言えない趣味を持っていました。  左内の部下に金を貯め、黄金一枚隠し持っていた男がいました。  左内は部下を呼びました。 「名刀でも千人の相手は出来ないが、金の徳なら天下の人を従わせることが出来る。金の徳を大事にするその心が武士に必要なのだ」  左内はそう言って部下を褒め、十両の褒美と帯刀することを許したのでした。  その話を聞いて、人

          金の精(雨月物語・貧福論から)

          食人蚊

           ぶうぅぅん ぶうぅぅん  不快な羽音がします。  昔々の中国の話です。  中国には人を食べる大きくて恐ろしい蚊がいました。  その蚊は口先が一尺五寸あり、体中に毛が生えていて、大きな羽二枚と小さな羽二枚を使って空も陸も自由に移動できたのでした。  夏になると、その蚊は一晩で一家全員を食べてしまったのです。  ぶうぅぅん ぶうぅぅん  その羽音は恐怖の音でした。  この蚊をどうにか退治したかったのですが、矢を射っても平気だったのでどうすることもできませんで

          煙草になった娘

           昔の中国の山東省のお話です。  ナンションという青年とイエイエという娘がいました。  二人は一目で思い思われる仲になりました。  ですが、ナンションとイエイエは家柄のつりあいが取れなかったので、結婚することはできませんでした。  イエイエはナンションと一緒になれないことを悲しみ悩みました。  そしてイエイエは病気となり死んでしまったのです。 「イエイエ、なぜ死んでしまったのです」  ナンションはふところの玉をうばわれ、手に持った花を意地の悪い風にさそわれたよう

          煙草になった娘

          ちょうふく山の山姥

           とても気持ちのいい月夜です。  どこから来たのか大きな雨雲がもうみき村の上ににやってきて、大きな嵐となりました。  ややこみした  ちょうふく山の山姥  ややこみした  餅ついてあげねば  うま  ひと  食ってしもうぞ  ちょうふく山の山姥  ややこみした  嵐は恐ろしい声でそう言うと去っていったのです。  さっきの嵐がうそのようにまた気持ちのいい月夜になりました。 「ややこみしたということは、山姥が子を産んだのだな」  村人がそう言うと、

          ちょうふく山の山姥

          ゴンゲ様の話

           ゴンゲサマは神楽舞の組毎に一つずつある、木彫りの像です。  獅子頭に似ていますが、少し違います。  いまだにご利益があります。  新張の八幡杜の神楽組のゴンゲサマと、土渕村五日市の神楽組のゴンゲサマは争ったことがあります。  その争いは空を割り、大地を揺らしということはありませんでしたが、お互いの意地をぶつけた激しいものでした。  がんがんごんごんと頭をぶつけあったのです。  そして、新張のゴンゲサマは負けて、片耳を失ったのでした。 「片耳のゴンゲサマ」  

          ゴンゲ様の話

          全身○○人間になりたい

          JAZZが好きだ。理由はベテランプレイヤーがめちゃくちゃカッコいいからだ。 ずっとJAZZをやってきて私の体はJAZZで出来ていると見せつけるようなプレイはアイドルでは味わえない。年を取りたいと思わせてくれる魅力がベテランプレイヤーにある。 でも今回はJAZZの話ではなくプロレスラーのお話。 JAZZはベテランがメインで大物はずっと大物として長く続けてくれる。 だがスポーツはそうはいかない。プロレスもスポーツエンターテイメントといってもスポーツだ。年齢による衰えは隠せない。

          全身○○人間になりたい

          脳トレもかねて昨日日記を書こう

          1日200文字以上の日記は文章を書く練習の基本としてよく紹介されていて読んだことがある人も多いと思います。 日記のためにマス目のあるノートを使って、日付をタイトルのようにするとエッセイみたいです。 マス目があると200文字を把握しやすいのでマス目があるのがおすすめです。 多分今までの内容では魅力よりも負担のほうが感じると思います。日記の悪い面が強く残ってますよね。 私は日記は基本的に昨日のことを書きます。理由は昨日のことを思い出すという脳トレと昨日のことなら何時でも書けるか

          脳トレもかねて昨日日記を書こう

          籤引き仏

           桃の木の上に仏様がおりました。  誰も仏様を見たことはありませんでしたが、皆が仏様だというので仏様ということになりました。  その桃の木は村と村をつなぐ道でしたので多くの者がその仏様を見たのでした。  仏様は気まぐれに花や光をふらせ、人々を喜ばせたのです。  仏様に拝む者も出始めたころです。 「あたりあたり」  仏様がそう言うと手を伸ばし拝んでいる者を一人捕まえ食べました。  そして仏様は気まぐれに花や光をふらせたり手を伸ばし通行人を捕まえ食べたりしたのでした

          籤引き仏

          ヨーロッパの諺 目は心の~

          目は心の鏡 好きな人を見ると瞳孔が開く 正確には 瞳孔が開きしっとりと濡れキラキラしているですね 恋愛モードってやつですね 瞳孔が開いてるだけで濡れていないと 死人ですね 恋愛話が多い人は 瞳が濡れてるそうです 瞳孔が開きやすい人は 好きだと勘違いされやすく 告白されやすいと聞いたことがあります 瞳孔が大きいのは美人の条件の一つらしく 目が大きいひとが美形と言われやすいのは 恋愛モードに入ってるから もしくは 恋愛モードだと思われやすいからでしょう 美形って恋愛

          ヨーロッパの諺 目は心の~