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[詩]「ご飯支度」

癌で痩せた父と認知症の母が
食卓で昼ご飯を食べている
その傍らで私はもう夕飯を作っている
自分の時間を持てなくなるので
面倒なことは早く済ませるのだ

調理の順番を少し間違えたけど
味は確かだ

作り終えた途端に外はどしゃ降りの雨
それは閉ざされる冬が間近なことの知らせ
或いは薄暗闇の時間が永遠に続くことの何度目かの告知

午後の雨の間にも
累積するエントロピーはさらに降り積もり
そのコアは狂気のような分岐を繰り返していく
でも それに気付かぬ振りをしていれば
今日一日の増加分を免れる場合がある

今夜のおかずは酢豚だ
年寄りの口に合うかが分からないので
きのこの煮凝りとしめ鯖を添えておこう

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