セットドラマーのためのルーディメンツ攻略

驚きのルーディメンツ攻略メソッド

もう10年以上前になりますが、
ジャズドラマーとして活躍中の井上尚彦氏と知り合い、
氏のルーディメンツ論にいたく感銘を受けました。

氏の元へしばしばうかがい、お互いの練習方法や考え方を交換していたのですが、その中で特に僕に刺さったのは「モーフィング」というものでした。

始めは「フラム」を攻略するための氏の教え方でした。

普通フラムとは片方の手をローポジション、もう片方をハイポジションに構え、せーので落下させることでローポジションが総力音符として少し先に当たり、「パラッ」と鳴るものですね。

氏はここで問題提起しました。

「本音符が後打音になってしまいがち」と。

本来ならば、本音符はジャストの位置であるべきで、その前に装飾音符として小さな音が鳴る、というのが正しい形ですね。

しかしながらそこがおろそかになってしまって、装飾音符のほうがジャストに入ってしまって、本音符が後ろにズレる、という現象がしばしば見られる(そういう生徒さんが多い)ということをどのように指導するかということを考えておられました。

解決策として氏は手書きの譜面を僕に見せてくれました。

そこにはフラムの表記はなく、本音符の前に16分音符が一つ表記されていました。

○○○●|●

こんなふうに。
「|」は拍の切れ目。

最初はこのようにはっきりと両手のタイミングを分けて、
拍のアタマには本音符がくるように練習してから、
徐々に装飾音を本音符に近づけていくのだ、と。

僕はそれを見て、なるほどと思いました。
これならば本音符のタイミングは見失いにくい。

ほぼ同時、というふうに思うと上手くいかない場合は
このように明確に分けてしまえばいいわけです。


さらに発展

当然、そういうきっかけがあれば氏の研究は止まりません。
シングルフラムの連続(右フラムと左フラムを交互に連続する)は
ダブルストロークの手順と全く同じということに着目して、
どうしたらフラムを早く連続できるかということにも同じ練習方法を作っていきました。

それを氏は「モーフィング」と名づけたのです。
(のちにそれは海外のあるドラマーも同じ呼び方で同じメソッドを提唱していることを発見)

僕はこれにとても感銘を受け、
家に帰ってからルーディメンツのリストを眺めました。

フラムであっても、ドラッグであっても、
手順だけで見れば同じルーディメントが結構あるということに気づきました。

氏のやり方を使えば、基本的なルーディメンツは一気に習得、攻略できると思いました。

その主軸になっているのはダブルストロークです。

ダブルストロークからのモーフィングがコントロールできれば、
ルーディメンツはわざわざ「ロール」「パラディドル」「フラム」「ドラッグ」と分類して順々に練習するより遥かに早く、しかも脱力した状態で習得できる(なぜならダブルは脱力が効いているからこそできるもの)。

そのためにはダブルストロークをしっかり身につける必要があります。

ダブルストロークを身につけていれば、モーフィングによってPASの40のルーディメンツのほとんどはスルッと習得できる、と思っています。

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