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「グレート・オールド・ブルー」企画書

キャッチコピー
光届かぬ深淵のその先へ

あらすじ
スキューバダイビングのインストラクター水原みずはらかもめは、ある日、水難事故に見舞われる。
九死に一生を得て助かったものの、目を覚ましたその場所は謎の水没都市。混乱する彼女だったが息つく間もなく醜悪な半魚人に襲われる。
絶対絶命、そんな彼女を救ったのは光り輝く角を持つイッカクだった。さらにイッカクはなんと言葉を喋り、自らを海の貴公子トリトンと名乗りだす。
「削れたSAN値は私が補おう!」
「あんたが一番削ってきてる気がする」

第1話ストーリー
導入
息を切らしながら廃墟のビルを駆けあがるウエットスーツの女性、水原みずはらかもめ。
屋上につながる扉に手をかけた時、何かに肩を掴まれる。
バンッ! っと勢いよく開く扉、屋上に放り出され倒れこむかもめ。怯えた表情で振り向く視線の先には、醜悪な姿の怪人。
黒い湿り気のある両生類のような肌に、水かきと鋭い爪の目立つ屈強な両腕を力無くだらんと垂らしている。何より目を引くのは、首元にエラを有した魚とカエルをこねくり回して出来上がった様な異形の頭部。その無機質な瞳にかもめを捉えながらゆったりと近づいてくる。半魚人が歩を進める度に後ずさりするかもめ、手すりを背にした背後には広大な海と水没した多くの建造物が広がっている。
本編
目を覚ますかもめ。周囲は見慣れない水没都市。
混乱しながらも辺りの探索を開始する。不意に人影を見つけ話しかけようとするも言葉を失う。その姿は人ではなく見たことも無い醜悪な半魚人であったからだ。半魚人はかもめを認識するとゆったりとした足取りでかもめを追いかけてくる。半壊した建物内と水中で逃走劇を繰り広げなんとか半魚人を撒くも、逃げ延びた先でもまた半魚人と遭遇してしまう。
導入部の場面に戻り、絶体絶命のかもめ。その時、勇ましい声が聞こえてくる。
「飛び込め!」
一瞬ためらうも意を決して飛び込む。
無事着水するも、頭上には彼女を追って飛び込んできた半魚人が迫っている。
その時、光る角を持つイッカクが水中より飛び跳ね、勢いそのままに半魚人を串刺しにする。
「綺麗……」
一瞬イッカクの姿に見惚れるかもめ。すぐに切り替え陸地に上がるも何者かに声を掛けられる。
「危ないところだったな。怪我は無いかいレディ?」
屋上で聞いた声と同じ、声の主に感謝しようとするもそこには先ほどの光る角持つイッカクが水中からひょこっと顔を出していた。
「えっ⁈」
「おっと角が気になるかい? 今なら特別に触ってみても構わんよ」
「イっ、イッカクが喋ったぁ⁈」
「私はただのイッカクではない。私の名はトリトン! 海の秩序と平和を守る貴公子である」
謎の水没都市に、狂暴な半魚人、果ては喋るイッカク。ありえないの連続にキャパシティの限界を迎えたかもめは、疲労のピークと相まってその場で意識を失ってしまう。
「おーい、大丈夫か? 起きてくれー。漸く意思疎通できる相手に出会えたのだ。おーい」

第2話ストーリー
意識を取り戻したかもめだったが、目の前の喋るイッカクに警戒心を強める。
トリトンと名乗るイッカクは、貴重な意思疎通が出来る相手であり陸上を活動できるかもめとどうしても共に行動したい様子。
「無理! 怖い! キモイ!」
「なっ! 海のユニコーンと呼ばれるイッカクをキモイと申すか!」
「知らないわよ。普段イッカクとか見ないし」
「なら、よく見たまえ。どうだ! カッコイイであろう」
そんな問答の最中かもめは水没個所の少ない建物を見つける。
「じゃあね、貴公子さん」
「おーい、待ってくれー 話を聞いてくれー」
珍妙な存在を振り払ったものの建物内は酷く劣化しており遂には倒壊してしまう。
水中で身動きの取れない状態に陥るかもめだったが、トリトンによって救われる。
思えば意識の無い自分から離れず見守ってくれたのも、半魚人に襲われていた自分を助けたのもトリトンであった。
かもめはトリトンに謝罪と改めて感謝を伝え、トリトンの目的を聞くことに。
トリトンの目的はこの海域から脱出する事であり、そのカギを握るであろう人物、自分をこの場所に閉じ込めた黒い服の女を探しているという。
黒い服の女。その言葉にかもめはこの海域に来ることになった原因の水難事故の事を思い出す。
嵐の夜、海辺の近くを歩く黒い服の女、何度危険だと呼び掛けても反応せず波にのまれてしまった。助けようとしたところ、その女に腕を掴まれ逆に水中に引きずり込まれてしまったのだ。
共通の目的を見つけたかもめとトリトンは行動を共にすることになる。

第3話ストーリー
黒い服の女の手がかりを探すかもめとトリトンは同じくこの場所に遭難した入江誠いりえまことという男と出会う。
初めて遭遇した人間に心を許すかもめだったが、言い知れぬ不安を感じたトリトンは彼女に入江を信用するなと警告する。
それがきっかけで言い合いになるかもめとトリトン。口論はヒートアップした挙句、得体のしれない喋る生き物より人間の方が信用できると言い放ってしまうかもめ。完全に仲たがいしてしまい入江と共にトリトンと別行動することになってしまう。
しかし入江の正体は強盗殺人犯で、かつてヤクザの娘をその手にかけ、報復として東京湾に沈められたところ、この場所に行き着いた経緯を持つ危険な男であった。
入江の目的はかもめを油断させウエットスーツを強奪することであり、まんまと嵌められ危機に陥るかもめ。救援に駆けつけてくれたトリトンも、入江と協力関係にあるクラーケンと名乗るダイオウイカに襲われる。
絶体絶命の状況下でかもめはダイビングの技術を活用しトリトンと見事な連携を見せ入江とクラーケンを撃退する。こうしてかもめとトリトンは生き抜くためにお互いが必要不可欠なパートナーであることを再認識する。
「目指すなら、水魚の交わりのような関係だな」
「海洋生物が言うと説得力あるわね」

第4話ストーリー
遂に黒い服の女を見つけ出したかもめとトリトン。
女は自らをクティーラと名乗り大量の半魚人をけしかける。圧倒的物量の差に苦戦を強いられるものの、息の合ったコンビネーションと建造物の倒壊を利用した機転でなんとかクティーラを追い詰める。
しかし突如として現れた巨大なミズダコ、ダゴンによって敗走を余儀なくされる。
クティーラに真実を問い詰めるためにはダゴンの打倒は必須。その為には自分達以外の戦力が必要なことを痛感する。入江のような危険な存在がいることは尾を引くが、リスクを承知で味方となりうる遭難者の探索に舵を切る。

第5話以降ストーリー
半魚人の襲撃を掻い潜り水没都市を探索するかもめとトリトン。その道中で出会う様々な遭難者達。
クールな美少女、ほとりうみねこ。
その相棒である深紅のノコギリエイ、デウカリオン。
昔気質の漁師、荒波巌あらなみいわおとホオジロザメのグラウコス。
イルカの調教師、渦宮宗助うずみやそうすけとバンドウイルカのサラスヴァティ。
陽気なサーファー、泡城瑛士あわしろえいじとアシカのバニップ。
航海士の父を持つ少年、岸隼斗きしはやととハリセンボンのセイレーン。
海洋学者、灯台寺とうだいじアヤカとエラブウミヘビのルサルカ。
トラブルを乗り越えながら仲間を集め遂にダゴンの討伐に成功する。
だが、それは底知れぬ深淵の上澄みでしかなかった。
クティーラの口から語られたのは、この場所が異海と呼ばれる地球とは全く異なる異空間であること。
さらに異海は全部で七の海層に分かれており、ここ水没都市バミューダはその内の第一海層でしかなく、異海より生還するには最深部である第七海層ルルイエに到達する必要がある事が明かされる。
「精々藻掻け、この光届かぬ深淵で」
そう言い残しクティーラは新たな配下モササウルスのハイドラと共に第二海層へと姿を消すのであった。
驚愕の事実に困惑する一行であったが、元の世界への生還を目指し第二海層への突入を決意する。
「光届かぬ深淵、ならば! 我が光り輝くこの一本角をもって照らして見せよう」
「イッカクのそれって、牙なんでしょ」
「言うな」
「フフ、でも頼りにしてる」
未だ多くの謎を残す異海。それでも生還というたった一つの導は変わらない。再び蒼く澄んだあの海を目にするために、かもめとトリトンは深淵一色の海を征く。


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