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2024/04/19 やっぱりおおかみ

 おはようございます🙏
 やっぱりおおかみ(ケ!)という話です。

若衆宿あるいは高級売春宿

 幼なじみをめぐって。そう、旧姓しか載せず返信先すら書かなかった「貞淑な妻」を演じる女性の話である。
 どんな大人にも子供時代はある。子供は残酷である。親の身分をつゆ知らず。身分という言葉は知らないけど、同級生をランク分けするために、親の行いではなく「身分」を用いている。
 長じては私はよそへ追いやられた。その間にハイソで行われただろう事。
 あいつも、こいつも、そいつもあの子を知っている。知らぬは亭主ばかりなり?亭主じゃない、一番長い幼なじみだ。
 何の根拠があってそんなことを断言するかって?このあいだ母がゲロっていた。結婚前、女性は何人もお婿さん候補と娶せるという。男は浮気しただけで責められるというのにズルいじゃないか。馬は乗ってみよ女はなんとやらである。そして種馬候補にも後述の通り選ばれなかった私。そりゃ父は同級生の親の間では一番の下級官吏だったさ。妹は女性だからどこへ行ったってそんなの関係ない。男の私が一番割を食ったって訳だ。いじめの解決だっていつまでも後回しになった。親の身分の差は私が故郷での就職や進学を断念せざるを得なかった理由でもあり、昇進差別や辞職に追い込まれるまでの理由ともなった。
 大人である先生がよくそれを分かっていた。心ある先生の一人は私に、藤村の『夜明け前』を薦めてくれた。私の置かれた状況が一番よく分かっていたようだった。丑松、忘れるな、と。
 とくに幼なじみのあの子は一番ズルいと私は今では思っている。
 昔の関所が近く、陵墓の守りに近い役人とその子孫が集まっていた、街道沿いの宿場町、だから若衆宿と書いたのである。風俗として残っていて何ら不思議はあるまい。都心からほどない官吏達のベッドタウンだからである。

辞めればただの人・塩対応

 あのロータリアンのいたイタリアンな酒場で。そこは土地の名士やその子孫、地元の医学科に子孫を通わせる名士も入っていたところ。
 減給に次ぐ減給という職場の理不尽な憂さを逃れる。土地にあったワイナリーをめぐってその酒場の主人と巡り会った。月数回のワイン会でめいめいが好き勝手に推しを肴におだをあげていた。
 私も場末の市役所職員、ただそれだけで一端の社会人扱いしてくれていたようだった。ようだったというのは、後述の通りである。
 "Every dog has his day"ってわけで嫁さん候補もそこの主人は話を一件持ち込んでくれた。酒は進み同席のおじいさんが茶々を入れるうち、彼女の拍子で出た「やばいじゃん。」の一言に醒めた。シャンパンは温まっていた。
 ある手のひら返しの内装屋のこと。私がドライブする間にも電話を入れてきて、そのほか買ったばかりのオートバイを法定速度オーバーで走らせた自慢話をしたりと、迷惑千万だった。あるときは行きつけの酒場にその場の仲間を誘ってくれたりもした。妻子をとっかえひっかえして、私が役所を辞めざるを得なくなった暁には、俺のところで血反吐が出るまで働かせてやると凄み始める始末。一歩間違うと夕方のニュースの三面記事に登場しかねない男だった。
 例の宿場町も追われ、たどり着いた先でこの始末、そして統合失調症当事者としてアラフィフ未婚である。物語の終盤にしてはできすぎている。それだけ私からいいとこ取りをして周りが栄えているのだなと確信せざるを得ない。私は抜け殻、私はおおかみ(lone wolf)。

おわりに・やっぱりおおかみ

 どこへ行ったってひとりぼっち。
 一人ぐらいパートナーに恵まれたっていいものじゃないのか?
 でもそれはもうなさそうだ。
 これで恥ずかしげもなくよく生きながらえているものだ。
 だから、やっぱりおおかみ……

ケ!

2024/04/19 ここまで


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