小説を書いて

小説を書いて幸せになれますか? ②「自己啓発執筆術でたった2つの冴えたやりかた」

お世話になっております。素人以上小説家未満の管野光人です。

前回は小説の執筆と自己啓発は同じだと宣言しました。さて今回は、自己啓発執筆術の具体的な方法を紹介しましょう。


とかく自己啓発本では「トイレを掃除する」とか「顔にツヤをだす」とか、ひどいのだと「講演会に出席すれば幸せになれる」など、いかにもスピリチュアル詐欺っぽい方法が載っていますね。

いわゆる成功者の実践方法なのですが、なんともいえず胡散臭い。そんなコトをしても理屈がわかっていないなら効果がありません。

本当の自己啓発から応用するなら、たった2つの実践方法だけで十分です。

それが「アファメーション」「ビジュアライゼーション」なのです。

およそ支持を得ている自己啓発本は、この2つをかならず取りあげているはず。自己啓発の本質は、このたった2つで事足りるのです。


では、まずアファメーションから掘りさげていきましょう。

自己啓発でアファメーションとは「断言」「肯定」を意味する言葉ですが、端的にいって「自己暗示」のコトですね。

やりかたは「事実や信念の表明で、期待する結果へと導く」のです。もっと具体的には「肯定的な宣言」をするコトです。

たとえば、口下手な人が「わたしは人前で話すのが得意です」と宣言しする。それがたとえ「事実」ではなくても強く表明すれば、その人の意識は「真実」だと受け止めてしまうのです。

アファメーションで大切な点は、自分の意識に「真実」だと錯覚させるほど「当然」だと自己暗示するコトですね。

よくビジネスなどでは、具体的な目標を掲げ、いつまでに達成するかを書いて、毎日それを声に出して読むと教えます。これもアファメーションの具体例だと言えますね。


次にビジュアライゼーションを取りあげましょう。

自己啓発でビジュアライゼーションとは本来見ることのできない事柄を頭の中で可視化する意味ですが、端的にいって「願いを叶えた状態をイメージ」するコトですね。

たとえば、過去の痛い失敗とか、とても嬉しかった記憶とか、それらが現在のあなたを形づくっているのです。

それならば、「願いを叶えた未来」が、今からのあなたを育むのは道理でしょう。

自己啓発では、アファメーションとビジュアライゼーションの2つに「かならず感情を伴って行う」のを推奨しています。これは実現したい願いを、真実だと意識に錯覚させるためなのです。


それではアファメーションとビジュアライゼーションの2つを、自己啓発執筆術で応用してみましょう。

アファメーションを小説執筆にたとえるならば、それはプロットに該当します。

プロットとは、物語の出来事を要約したもの──小説の設計図みたいなモノです。映画でいえば「脚本(シナリオ)」ですね。

小説を初めて書く方には不慣れな言葉だと思いますが、もう小説を執筆している方には「またか」と苦笑されるかもしれません。

面白いモノで、小説を執筆するときにプロットを組む方と、そんなの必要ないと組まない方がいます。

小説指南書の秀作「ミステリーの書き方」( 幻冬舎)でも、ミステリー作家にアンケートをとった結果、プロットを組む作家は半々という結果がでていますね。

でも考えてください。たとえば、あなたは脚本の無い映画を観たいと思いますか? それと同じで、小説もプロットを組んだ方がよいと自分は考えます。

ではプロットを組むとはどうやるのか?

物語の展開として「起承転結」が有名ですが、ここは映画の脚本から技術を拝借しましょう。脚本家シド・フィールドのシナリオ術では、プロットポイントミッドポイントを紹介しています。

プロットポイントとは、『行動の方向を変え、発展させる事件・出来事』が起こる。

ミッドポイントとは、『物語の前半と後半をつなぐ重要な事件・出来事』が起こる。

シド・フィールドのシナリオ術では、3幕構成になっています。

まず第1幕の後半でプロットポイント1を置き、状況変化が起こる。

第2幕の真ん中でミッドポイントを置き、物語の中心で転換点を設ける。

第2幕の後半でプロットポイント2を置き、解決に向かう出来事がある。

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まあ、簡単に紹介しましたが、自己啓発執筆術ではプロットを具体的な目標を掲げ、いつまでに達成するかの目安とする設計図とします。これを紙に書いて、それを目標に小説を執筆するのです。

「人は易きに流れる」もの。執筆の設計図がなければ、疲れたときに書くのを躊躇ってしまうよね。その意味でも、プロットを掲げていれば、日々あらたに小説を書く意欲が湧くでしょう。


次にビジュアライゼーションですが、自己啓発執筆術ではアイデア構想や資料収集や取材が該当します。

小説家を志す方ならば、金持ちや成功がイメージできなくても、自分の小説のキャラやセリフは即座にイメージできますよね。

そのイメージを補強する意味でも、執筆に取りかかる前のアイデア構想や資料収集は大事なメソッドになります。特に物語に関係する取材は、その土地の皮膚呼吸を感じるので小説に役立つはず。小説のリアリティは、ちいさなピースの積み重ねですから。

そのようなイメージの積み重ねが、あなたのキャラに命を吹き込むのです。


急ぎ足で自己啓発執筆術のアファメーションとビジュアライゼーションを紹介しました。

今回は技術的なやりかたでしたが、次回は精神的な自己啓発執筆術を紹介しましょう。ズバリ、創作の源流に迫りたいと思います。

またこのコラムを読んでくれると嬉しいです。



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