繁盛を目指すことがゴールではない、課題を発見し、解決してこそ商売!

ここ半年ほど、多忙を極みました。一日の労働時間は基本13時間。多い時は20時間。ここまで働く自分に感心するが、何故こんなに長く働かないと儲けられないのかというのは問題点とも言える。ちなみに、作業スピードは業界最速、日本トップクラスであるものの。

パートさんも辞めてもらい、自分一人で、ガチにお客さんに向き合い続けた半年間でした。この商売の本質的なボトルネックを探したかったからこそ一人でやりきってみたわけです。

そこで理解したことがあります。

まずは、自分一人の力では限界があるということ。それは、つまり、日々の状態で言えば、常に2、3人を同時に接客する場面が絶えないのですが、4人の相手になると無理を感じました。せいぜい3人同時しか接客できない。

つまり、店内に5人も6人も入ってきてしまうと、流れが止まってしまう。そうすれば、待ち時間が長くなりお客さんにも無駄が生まれてしまう。

かと言って、パートさん入れて対応すればいいと考えるのが「普通の思考」ではあるが、正直それではコスト(人件費)が賄えないの現実だったりする。

20分接客して、写真を数枚とか。電池一組とか。はっきり言って赤字しか生まれないビジネスモデルであることが問題だったりする。これは、写真屋のビジネスモデルが確立した30年前当時であればボロ儲けだった。ただし、今の時代においては成立しないという事実である。しかし、無理にお客さんに大量にプリントさせようとすれば、それは意味が無い。

今の写真屋してのビジネスモデルは完全に「貧乏モデル」となっている。だから、カメラのキタムラは身売りしたのだ。

そう、つまり、ビジネスモデルの再構築が課題だということである。

新商品というのは考えにくいが、何を効果的に売ることで、自分の店の強みを発揮しきれて、儲けることができるのか。その最大化を構築することが、繁盛すること以上の課題なのだと気づかざるを得ない。

私の持つスキル、知識、情報、得意技、それらを最大限効果的にお客さんに提供しながらも、お客さんもニーズを最大限発揮して、喜んでもらえる「新しい価値、新しい商品の提供手法」を見直す時期に入ったと結論している。

今のモデルで集客すると、忙しいだけで、効果がない。ゆえに、新たな価値の伝え方を作りこみ、そこから実験的に集客していくことにした。

とにかく、疲れて、繁盛なんて興味がないところでもあるが。

もっと、自分の「能力総動員」せざるを得ない、本気の商売を創りこんでこそ、新しい写真屋のビジョンが生まれるように感じた。

写真屋の問題点は、「クオリティ(質)に対する及第点がとても低い」ことと、「常に抱える作業クオンティティ(量)が少なすぎる」こと。

要は、働いている次元ではないのだ。はっきり言って。そこが、今の問題である。かつてのような大量需要によって鍛錬することが不可能である。

あと、もう一つの問題点がある。それは、「お客さんにとって面倒なオーダーシステム」である。

昔は、使用したフィルムをポンと店に出せば、パっと写真が仕上がって受け取れた。しかし、今は、注文機の画面を見ながら、サイズを決めて、枚数を決めてと手数が増えた。

昔ような、「ポン・パ」のモデルは普及しやすい。まるで魔法、魔術的だからだ。

店にフィルムを預ければ、どうやってカタチになるかは気にもせず、知ることもなく、知らなきゃいけないこともなく、間違いなく写真として仕上がる。しかも、出来るまでドキドキもくっついてくる。

そういう意味では、近年のデジタルデータにおける写真化においては、細かい作業を強いられ、しかもデバイス同士の接続も難しくややこしい。

「分からないと出来ない」という脱魔術化されたシステムは、個店においては有り難いが、お客さんからしたら面倒である。かといって、データを全部写真化することは無駄であり、やりたくない。

沈み切った販売価格が重しになり、ビジネスモデルとしては崩壊した。

私の感覚で言えば、デバイスにかかる費用、そしてデータを写真化するお手伝いなどの手間を含めると、いわゆる普通サイズであるLサイズで一枚50円以上は絶対であると言いたい。いや、一枚100円くらいが適正ともいえる。

などと言うと、大きな批判・非難を受けることも承知しているが、それが現実である。実は、個店は相当のコスト(機械代金、管理費、etc)を支払っているのだ。

お客さんは常に言う。「かんた~んに頼むちゃ」と。

カンタンであるとい安いと思っているのは、それはスーパーでの物売りであり、置いてあるものを売るだけの商売となる。

しかし、私たちは、実際は、お客さんのスマホの構造を理解して、データを抽出し、写真プリントしている。この手間は「かんた~ん」なワケがない!同業でも、出来ない人、ゴマンと居るのだ。それをあたかも簡単そうに素早くやりのけられるのは、私がスキルを向上させ続けてきた成果であり、そこには遥かな価値があるのだ。

ここに、写真屋(主にプリント業)の壁を感じる。

しかし、悲観しなくても大丈夫である。この閉塞感、価値観の打破は間もなくなされる。カギは「5G」である。5Gが一般になれば、店舗が不要になるかもしれないからだ。しかし残念ながら、新たなスキームを構築しようとはメーカー・フジフィルムは思っていない。そこは課題か。自費で構築するにはスケールが無さすぎる。(やっぱボランタリーチェーン的な連携か!)アイディアが沸き上がるのに、カタチに出来ない自分が残念である。

そんなこんなで、疲れるだけで稼げない写真屋の衰退は、誰にも止められるはずがないのだ。

しかし、最近、この流れを打ち砕くスキームを自分の中に見た。それは、高技術化した商品の提供である。それは単なる接客本位の商品販売ではなく、戦略重視の集客論でもない。

それは、実は、個店ごとにスキルに格差があり過ぎる「写真の補正・修整技術」を確たる商品へと押し上げることである。

即時性でも、コスパでもなく、大切な思い出を、トコトンお客さんと一緒に大切にしていくことで、通常の顧客単価の10倍を稼ぐという路線だ。

ただし、これにはスキルや知識・感性が必須なので、どこの店でもやれるものではないが、私の店は十二分に可能である。そこに私は、これからの写真屋の方向性を見出そうと考えている。

繁盛しないと稼げない、そんな次元の商売には興味がなくなった。

確かに、繁盛は大好きだが、繁盛にモチベーションはない。なぜなら、お客さんを常に見ている自分の視点が強固だからだ。

新しい写真屋、店主もお客さんも、一緒に熱くなれるビジネスモデル。これを今後5年をかけて構築しようと今は思っている。

写真のことは好きでも何でもないけど、従事する者としてのスキルは高次元である。だからこそ、客観的に、高い視野から、自分のビジネスを見渡せるのだと自負している。そして、斜陽と言われるこの仕事に、新しい息吹を与えるチャレンジもしてみたい。今まで出来ている人がいないからこそ。

ということで、繁盛したいから頑張るというのは辞めて、今までとは異なる新機軸的なビジネスモデルの構築と定着へのチャレンジのために、更に労力と思考力と集中力を突っ込んでいく。

つまらないビジネスモデルからの脱却。それしか、この業種が生き残る術はないと最近確信した。

それにしても、本当に複雑で、多様な視点が必要な仕事である。面倒くさいの極みであるが、そこがまた愛おしい。

そろそろ、繁盛なんて分かりやすいゴールを脱ぎ捨てて、本当に意味がある、大義に満ちた独自性の個店を創っていく時代がもう来ていることは間違いない。だからこそ、現状に安心したり、満足するのではなく、もっと前のめりで商売に臨んでいきたい。全体的にも、個人的にも。

ということで、これからも多様な視野・視点を学び続け、自分の商売に置き換えて創造していく。

とにかく、もっともっと熱くならんとね!

まずは自分から。

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