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吉本興業問題、問題が多すぎてごっちゃになっている件について

ここここの続きなんですけど。

ちょっと、問題がこんがらがりすぎて論点がおかしくなってきたので、一度整理しないとダメだよねこれって話。

ざっくりとした流れ

フライデーに詐欺集団グループ忘年会に芸人出演と掲載
 ↓
芸人は最初ギャラを貰ってないと嘘をつく
 ↓
実はギャラもらってました
 ↓
しばらく隠してた吉本興業
 ↓
なんかのタイミングで芸人謹慎処分、だけど会見なし
 ↓
フライデーに別の犯罪者との写真掲載
 ↓
契約解除
 ↓
芸人側会見
 ↓
吉本興業側に批判
 ↓
吉本興業会見
 ↓
吉本興業批判収まらず

……って感じだけど、漏れがあったらごめん。

①そもそも「闇営業」はあったのか

「いやいやいや何をおっしゃいますか、闇営業そのものはあったでしょう!フライデーに写真載ってますし!」という気持ちはわかる。

一応、「直営業=会社(この場合吉本興業)を通さずに仕事をすること」「闇営業=会社を通さず【反社会的勢力】のお仕事をすること」と分けた上で考えると……。

これは、本当に闇営業と言えるのかという疑問が残る。

理由は2つ。一つは、本人たちが反社会的勢力だと知らずに行っていること、そして割と忘れがちなもう一点は「この写真を取られた(仕事をした)時点で、まだ該当勢力は逮捕されておらず、反社会的勢力だと警察も認識していない」。

……今となっては、この集団は逮捕されてますし、全容も解明されているわけで、反社会的勢力のパーティだったとわかります。しかし、この時点ではまだ世間的には不明であり、後出しで反社会的勢力でしたと言われても疑うことは難しいのではないかと。

あれですよ。中学時代の友人が大人になってから凶悪犯として逮捕されて、「お前は凶悪犯の中学時代の友人だから、お前も凶悪犯の一味だ!」って理論は通用するのかどうかの話。

なので、この時点では少なくとも「直営業」であったと解釈するのは正当なんじゃないかなあ。直営業の是非はさておき。

②吉本興業主催のイベントにこの反社がスポンサーになっていた件について

これを根拠に吉本興業が悪い、芸人たちは悪くないと意見してる人もいるんだけど…。これも、①と同じで、「今になったら反社であったが、スポンサー時は反社の兆候はなかった」と見るべき案件だと思う。これも後出し犯罪について、過去にさかのぼって…ってのは無理がありすぎるので。

ただ、こういうのって後出しで来るからこそチェックが必要なのよなあ。で、判明した時点で謝罪しておけば、割と傷口は浅かったと思います。そもそも、該当イベント時の社長は現在の岡本社長ではないからねえ。

③芸人側の嘘と撤回したあとの吉本興業側の対応

最初に芸人側が嘘を付き、それを覆したあとすぐに訂正、謝罪会見をしなかったのは、これは吉本興業側…というか、経営側としてはやむなしと思います。というのも、こんな短期間で主張をひっくり返されると、どれが正しいんだ、なんか別のところから圧力があったのか、芸人が誰かに脅されてるんじゃないかとか考えるのが普通の会社だからです。なので、「社内で調査が終わるまで静観」っていうのは(言葉選びに問題はあるとはいえ)割と妥当な判断と思います。

うん、こういうの、早く記者会見すればいいってもんじゃないのよね。

ただし、吉本興業側の言葉のセレクトが悪いのと、発表タイミングを伺っていたのでは(吉本興業側は6月21日に株主総会をしています)と疑われても仕方がない程度に黙っていたってのは、落ち度だと思う。

落とし所としては、芸人さんからの自己申告時に「本人がもらっていたと証言しました。しかし、本人の発言が二転三転しており、会社としては裏付けなどの調査を引き続き行います。調査が終了次第あらためて報告をいたしますので、事実関係については今しばらくお待ちいただくことをご了承ください」とマスコミに速報/中間報告として出すことかなと。

これも、今更言っても仕方がない話ではあるんだけど。

④直営業しないといけないギャラの低さと契約書云々の話

これについては、今回の闇営業の話と切り離して考えないといけない。一部芸人さんがごちゃまぜにして吹き上がってるけど、この問題はもう少しややこしい事情があるので、割と簡単にどうこうできるもんでもない。

近い内に別の記事で書きたいなと思っているんだけど。ざっくりこの点の問題を言うと「昔ながらの徒弟制度である【師匠が弟子の最低限の衣食住の面倒をみる代わりに弟子が師匠の下で働く(故に賃金は安い)】をぶっ壊しておいて、賃金制度と契約書関係は徒弟制度のまま(それも徒じゃなく弟の側で)残った」ところ。

吉本興業という会社は、今でもこういった「徒弟制度」な芸人さんも抱えているので、全員一律契約書制度!に変えることが難しいのです。この辺、宮迫氏がいってた「劇場の芸人さんとか、契約書がないほうがいい人もいる」っていうのはそういうこと。

ただし、NSC以降の芸人さんの大半は「師匠を持たない(徒弟制度外)」芸人さんなので、こちらは契約書を結ばないとまずい。誰も衣食住を保証してくれないから。最低限の、なので、実際は師匠からある程度支給されているお弟子さんであってもバイトとかが必要かもしれないけれど、それでもね。

個人的には「松本興業作ってほしい」って話は、昔の吉本と徒弟制度における師匠(=松本氏)との契約を復活させるって話なのかもなあとぼんやり。

⑤そもそもこの件、一番悪いの誰だ

「吉本は在阪在京キー局が株主だから~」発言が注目集めているけれど、実はこの件そのものは「吉本興業ホールディングスのサイトの会社概要」にしっかり明記されていることで、別に秘密事項でも何でもない。脅し的に使ってるように取られたのは、コミュニケーションと知識不足の問題と言い切ることもできる。

岡本社長の口の悪さは昔からなので、治しようはない。社長の首をすげ替えることは可能なんだけど、それをしたところで吉本興業は何も変わらない。むしろ、ほかに誰が社長やるんだよこの状態にしかならんわけで。

という吉本興業の体質以上に、割と取り上げられてなくて忘れられている問題。

この件、ぶっちゃけ反社グループが悪いわけじゃね?

ぶっちゃけ、フライデー経由で芸人ゆすろうとして失敗したんで、フライデーに掲載されたんちゃうの?

……このへん、割と問題にされてないの、どうなんだろうと思うのです。いや、記事が出た当初はポツポツ疑問が出ていたんですけど、途中からすっかりでなくなったので気になってて。

これを書くと、割と言われるんですよ。「行ったことは事実だろ」「写真が証拠だ」と。そうなんだけど、①で書いたとおり、この時点では反社と誰も知りようがなかったんですよね。

「知らなかったとはいえ、金銭授受があったことは事実だ」って方もおります。これについても、反社でもなんでもないところでお仕事をやってギャラが発生しないほうが問題ですし(直営業の是非はさておき)、お金には色がついていないんですよ。

この「知らなかったとはいえ反社からお金を受け取ったらアウト」理論を振りかざすと、この反社な人たちがコンビニでタバコやらお弁当やら買っただけで、コンビニの店長が罰せられる世の中になってしまいます。それでは更に問題をややこしくするだけなので、「暴力団排除条例」などにおいては「仕事相手が反社出ないかチェックすること」とは別に「反社と知らずに利益供与を受けた場合はその限りでない(=罪にはならない)」としているわけで。

宮迫氏や入江氏が逮捕・起訴・何らかの刑罰を受けていないのは、そういうことなんです。この時点では知りようがない。

むしろ、反社グループと知った上で情報提供を受け記事にしたフライデー編集部の方が暴力団排除条例に引っかかりそうな気がしてるんですけど、このへん、ほとんど指摘がないのが割と怖い。ついでにいうと宮迫氏フライデー第2弾の写真(ギャラ飲み写真と言われているやつ)も、宮迫氏が「たまたま撮られただけ、ギャラなどもらってない」以前に、なんでフライデーの記事になっているのかと。提供者は当然反社な人経由なわけで、罰せられるのは提供者とフライデーじゃねえの?まずはそこからだろという気がしないでもない。

……フライデーは報道機関だから別枠?それだと、裏付けちゃんととらないといけないし、誤報だらけのゴシップ雑誌を報道機関と呼ぶのはどうなんだというなにか。

闇営業問題と吉本興業体質問題は分けようぜ!

というわけで、とりあえずこの件を論じるときは、事実の流れを追う関係で全部併記しないといけない時を除き「闇営業問題」と「吉本興業の体質問題」は分けて考えてくださいと強く言いたい。

これは、反社会的勢力との関わりをどう断ち切るかを考えるためにも、吉本興業所属芸人さんの待遇面をどうするかにおいても、分けて考えないとどちらもなあなあまあまあで終わるから。

ちなみにこの流れに書いてないけど、テレビ局や大手芸能事務所が一部芸能人の出演に圧力をかけているかもしれない問題も、また別の問題なので、分けて考えましょう。これも株主云々とは別の話なので。

ちなみに、芸人さんたちが個人で考えて会社を辞めるとかやめないとかって話は、個人の話として考えるべきです。正確に言うと、吉本興業の体質問題とは一緒に考えてもいいけど、闇営業あたりを絡めると話がややこしくなる。更に株主だ圧力だの話を混ぜるな危険。

TVはごっちゃに報道しがちなんでねー。それに惑わされがちなんでねー。仕方ないんだよねー、視聴者はどうしてもそう見ちゃう。その勢いであれこれ発言しちゃう。これはTVだけじゃなくネットでもそう。仕方ないんだよねー。

仕方ないんだけど、野次馬が騒いでいるだけで解決する問題じゃないので、どうせ騒ぐなら正しく切り分けた上で騒ぎたいよね―という話。

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