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仕事を呼び込むインターネット自己紹介


はじめに

私は大阪・泉州の郊外に住むフリーライターです。
このように自己紹介すると、
「ライターって出版社や編集者とのコネがないと、なれないんでしょ?」
と聞かれることがあります。

私は、インターネット上で未知のクライアントと出会い、インターネットと電話で打合せをしながら仕事を進め、納品・支払いもすべてインターネットというケースが、今まで請け負った仕事の8割以上を占めます。

私には身内の介護や私自身の闘病などの事情で、自宅を長時間、留守にすることができなかった時期がありました。そんな私でも、インターネットがあれば自宅で仕事ができる現代は、本当にありがたい時代です。

クライアントとの出会いの場はインターネットにも広がりましたが、出会いを仕事につなげるためのコツは2つ。

まずクライアントの目に留まる機会を増やすこと、そして「この人に仕事を
頼んでみたい」と考えてもらえるよう自己紹介をすることです。

コネも時間もなかった私が、ライターとして不足なく生活できるようになったのは、インターネットでの自己紹介法に手間と工夫を加えてきたからです。

これからライターになりたいという人、SOHOとしての起業を考える人のお役に立てることを願い、私のインターネット自己紹介術をまとめました。

仕事は天から降ってくるものではなく「人」が届けてくれるもの

仕事は「人」を介して届けられます。そのため、「多くの人と接する」「人脈を築く」ことが仕事のチャンスを広げてくれます。この点は、インターネット時代であろうと、なかろうと、変わりません。

ライターの場合、人脈を築くことの意味として次の3つが考えられます。他の職種の方にも共通する点であろうかと思います。

1.編集者、Webディレクターなど「依頼人となる可能性がある人」に自分の存在を知ってもらい、直接的に仕事のチャンスにつなげる
2.色々な人の考え・生き方をお聞きして、文章を書く・作品を生み出すための「話題の引き出し」を増やし、取材対象となってくれる人とのつながりを保つ
3.有名人、珍しい存在の人とのつながりがあること自体がセールスポイントとなる

名刺、業務実績書、ホームページは出会いのチャンスがあったとき、「あなたがどういう人間であるか?」を知ってもらうために作ります。あなたの人柄が伝わらないものを作っても、あなたが誰かの印象に残ることはなく、出会いという種は人脈へと成長する前に枯れてしまいます。

この記事では、「あなたが、どういう人間であるか?」を伝えるための手段について、お伝えしたいと考えています。

◆出会いは他の人生を疑似体験するチャンス

私たちは1人では、1人分の人生しか生きることができませんが、未知の人と出会い、その人の生き方・考え方をお伺いすると、他の人生を疑似体験できます。

たとえ、共感できない生き方・考え方をする人に出会ったとしても「こういう考え方をする人もいる」という勉強になりますし、「なぜ、この生き方・考え方に共感できないのか?」を考えることもできます。

多くの人と出会い、その人の人生について知りたいものですね。


このようなことを書いている私自身も、介護後の燃え尽き症候群などが理由で人と出会うことが怖くなったり、出会いの場に出かけていく気力がなかったりした時期があります。

しかし、「出会うこと」も仕事のうち、自分を磨いてくれるチャンスだと思い、短時間であっても人と会う・話すことを意識するようにしました。すると、自分1人では思い浮かばなかったような心の傷の治し方を教えてもらえたり、これから生きていくための知恵を分けてもらったり、することができ
ました。


1人では解決できない悩みや、苦しさのあるときほど、あえて他の人の人生についてお話を聞くことが、必要なのかもしれません。

◆人脈がセールスポイントとなる場合も

たとえば
「○○首相に取材したい」
「ハリウッドスターにインタビューしたい」
という編集者がいても、ほとんどの場合は、編集者が○○首相の秘書や、ハリウッドスターのマネージャーに連絡を取るだけで大変な思いをします。

しかし、ライターが○○首相やハリウッドスターと知り合いだったなら、話は変わります。
「彼とは旧知の仲ですから、私が頼めば取材に応じてくれますよ!!」
と言えるライターに、編集者としては仕事を依頼したくなるのです。
このように、人脈そのものを仕事の武器とできることもあります。

よい出会い方ができる人になる

◆自分の価値を高める

人脈を作る上で大切なことは、「まずは自分の価値を高めること」です。

どんなにすばらしい出会いがあっても、ライター本人が「嫌な人だった」「もう付き合いたくない」と思われるような人間だったら、出会いは芽を出さずに枯れてしまいます。 逆に、出会ったその日に「素敵な人」「魅力的な人」という印象を与えることができたら、出会いが人脈に育つ可能性は高い
です。


まずは自分の価値を高め、多くの人から「あなたと、これからもお付き合いしたい」と思われるような人間になりましょう。(このように書いている私自身が、まだまだ足りない点だらけなのですが。。。)

◆「出会い」の場面で気をつけること

「自分にメリットをもたらしてくれる人とだけ出会おう、付き合おう」という心構えでは、良い出会いは得られません。もし、あなた近づいてきた人が、あなたを値踏みし「得になる付き合いができているかどうか?」だけを考えていると分かったら、あなたはその人との付き合いを止めたくなるでしょう。


損得勘定よりも、曇りのない目で相手のことを知ろうとする姿勢が大切です。


「この人と付き合うとメリットがありそうだ」と分かった途端、自分のアピールばかり推し進めるのも良くないです。あなたも、興味のない製品を売りつけようとするセールスマンにうんざりした経験があるでしょう。自分がされて嫌なことは、人にしてはいけないのです。


ライターの場合、仕事に直接つながりやすいのは編集者やWebディレクターとの出会いです。

しかし、他の人との出会いに意味がない、という訳ではありません。
たとえば、次のような例があります。
●投資家がメールマガジンを発行したいが、文章力に自信がないためライターの力を借りたい
●会社経営者が、社内報を書いてくれる人を探している

「得になりそうな人、仕事を持ってきてくれそうな人との出会い」に限定しすぎず、どんな人との出会いでもマナーを守り、「その人のお話を聞いて、勉強させていただくのだ」という気持ちを持ち続けることが大切でしょう。

対面での自己紹介とインターネット自己紹介、どう違う?

私たちが対面で自己紹介をすることと、インターネット自己紹介には大きな違いがあります。対面での自己紹介では「自己紹介を受け取る人がどんな人か」が、あなたにも分かっています。

そして、相手もわざわざあなたと話し、名刺交換をするのですから、「あなたがどんな人か?」に興味を抱いていいます。

あなたは、相手の表情や反応を見ながら「どんな話をすれば興味を持ってもらえるか?」「押すだけではなく、退くべきときか?」を判断することができます。

しかし、インターネット上であなたのホームページやブログを見る人がどのような人か、あなたは直接知ることができません。

あなたに興味があるからホームページを閲覧している人もいますが、検索エンジンを通して偶然にたどり着いた人もいるかもしれません。


◆「どんな自分」だと伝えたいかを明確にする

私的なホームページやブログと、仕事のための自己紹介用ホームページ、ブログで意識を変えなければいけない点があります。

仕事につなげたい場合は「どんな自分(技能、業績、今後やりたい仕事)」をアピールしたいのか考えて、伝えるべき情報を取捨選択しなければいけないのです。

私的なホームページでは「ありのままの私」を伝えるのも構わないのですが、そのままでは仕事にはつながりにくいです。

たとえば、スーパーで野菜を買いたいと思うとき、ただ棚に並べられているよりも「今日だけ○○円」「シチューに入れると美味しい」など、「買えばどのような得があるのか? 何の役にたつのか?」がはっきり伝わる商品を選びたくなるものです。


あなたも、仕事につなげるためのホームページやブログでは「どのような自分だと伝えたいか?」を意識し、それが伝わる表現をしなければならないのです。


私自身の例をお話します。
開業当初はピンクやオレンジなどを多用した女性らしく楽しい印象のホームページを公開していました。しかし、金融・経済、あるいは資格取得・生涯学習などの記事を多く手がけるようになった頃から、女性らしさよりも、冷静さ、真面目さ、強さなどを表現したいと思い始め、今は青色とグレーを基調としたホームページに変えています。

https://kounokagerou.jimdosite.com/


閲覧者の気持ち・知りたいことを意識する

かつて私が経験したことです。あるネットショップの店長さんが運営するブログを開いたところ、全裸の赤ちゃんの写真と「○○は女の子です」という言葉が目に飛び込んできました。ネットショップで扱っている商品の情報や、トレンド情報などを期待してブログを閲覧した私としては、赤ちゃんとはいえ裸の写真をいきなり見せられたことで、非常に驚き、気まずいような心持ちにもなりました。

でも、仮に閲覧したのが育児ブログであれば、そこまで驚くことはなかったでしょう。

閲覧者がどのような情報を期待しているかを推察し、そのニーズを満たす情報提供をすることが大切だと感じた一件でした。

◆病院・医院のホームページは勉強になる

皆さんが、腹痛や頭痛を覚えているとします。あまりにも長引くし、仕事にも支障が出てきたので、そろそろ病院に行こうかなと考えています。

さて、あなた次のうち、どの立場に近いでしょうか?
1.近所にどんな病院があるかまったくわからない
2.「あの辺りに病院があったな」とは思うけれど、それが何科なのか、診療時間はいつかを知らない
3.「もし、体調が悪くなったらここへ行こう」と決めている病院がある
4.かかりつけの病院があり、信頼している主治医が既にいる

あなたが1.に該当するなら、「病院の住所、名前、診療時間」などの情報を知りたいでしょう。しかし「○○医師は休診です」といった情報は、あまり必要でないかもしれません。

逆に、あなたが4.に該当するなら「主治医は今日、外来を担当しているかどうか? 何らかの理由で休診していないだろうか?」ということが、知りたいでしょう。


あなたが知りたい情報が、整理されて伝わってくる病院ホームページは「見やすい」と感じるでしょう。逆に、どこを探せば欲しい情報が書かれているかが分からないと「見づらいホームページだ」と感じます。

◆どんな人にどの情報を伝えるべきか?
では逆に、皆さんが病院ホームページの制作者だったとします。どんな人が病院ホームページを閲覧しているでしょうか?

 閲覧者一人一人のプロフィールまでは分からなくても、概ね次のように分類すると、それぞれの人にどのような情報を伝えるべきかが、分かりやすいでしょう。


● その病院を知っている人、知らない人
● その病院を知っている人をさらに分類すると
・知っていて興味がない人
・他の複数の病院と比べている人
・既に、その病院に行くことを決めている人
・既にその病院に通っていて、詳しく知っている人

◆その病院を知らない人に伝えるべきことは?

これまで、病院の存在すら知らなかった人には、まず「病院が存在する」という情報を知ってもらう必要があります。伝えるべき内容は、病院の名称、所在地、何科の診療を行っているかなど大まかな情報です。

病院の存在を知ったばかりの人にとって、「○○医師は休診です」「薬剤
師を募集しています」のような情報は、まだ必要ありません。病院ホームページの他に、駅の看板、街の電信柱にある看板なども、「病院の存在を知ってもらう」という役割を果たしています。


◆病院を知っているが興味がない人には?
駅や電信柱に掲示されている看板も、健康状態が良く病院の情報が必要ない人には、無視されてしまいます。

そして、インターネット上では大阪の病院のホームページを、北海道や沖縄に住む人が閲覧することもあります。しかし、遠方から通院することは困難のため、それ以上の興味を持たれないことがほとんどです。

では、興味がない人に情報を伝える意味はないのでしょうか?

決してそうではありません。

たとえば、北海道の住人が大阪に転勤になり、転勤先の大阪で病院を探す時が来るかもしれません。そのため、現時点で興味のない人の目に留まることにも意味はあります。

ただし、すぐに宣伝効果が上がるということはないという割り切りが必要でしょう。


◆どの病院に行こうか迷っている人には?
実際に何かの症状に悩んでいて、どの病院に行こうかと迷い始めた人に伝えるべき情報は、「他の病院と比べてどのような特徴があるのか?」「その人の症状の解決に役立てるのかどうか」という点です。


その病院の得意分野は何か、どんな医師がどのような診療を行っているのか、専門医はいるのか、どんな設備を設けているのかという詳しい情報を届けることで、悩みを抱えている人の興味を惹くことができます。また、病院の名称や所在地だけではなく最寄駅やそこからの道順など、より詳しい情報を提供する必要が出てきます。


◆その病院に行こうと決めた人には?
病院ホームページを見てその病院に行こうと決めた人、あるいは他院からの紹介で通うべき病院、かかるべき医師を決めている人や、特殊な疾患で専門病院を探しているという人には、
「その人が受けたい治療は、いつどのようにして受けることができるのか?」
という情報が必要です。

逆に、その人の治療に関係のない情報は、無視されてしまいます。たとえば「内科の治療を受けたい」という人が、整形外科の情報を閲覧することは少ないものです。

内科の治療を受けたい人のためには内科の情報が、整形外科の治療を希望する人には整形外科の情報がまとめて掲載されていると親切です。

病院全体の情報を俯瞰できることよりも、その人に必要な情報が一か所にまとめられていることが必要なのです。


◆既にその病院に通っている人には?
既にその病院に通い慣れているという人には、主治医の代診、休診の情報や、変更事項(診療場所の移転、クレジットカード決済ができるようになるなど)の情報が有益です。

逆に、初診の際の手続き方法などは、この立場の人の興味を惹くことはありません。

ぜひ、多くの病院、医院のホームページを閲覧して「見やすいか? 見づらいか?」をチェックしてください。「見やすい」と感じる病院ホームページは、「どのような立場の人に届けるべき情報か」を整理して配置しています。

逆に「見づらい」と感じるホームページは、「どのような人のための情報か」が整理されておらず、どこを見れば欲しい情報にたどり着けるのか分かりにくいです。

なお、ここまで病院・医院のホームページを例として取り上げてきたことには理由があります。病院・医院が提供する医療サービスは、全国どこでも似通っています。

また、日本には健康保険制度があるため料金面での競争もあまり激しくありません。

にもかかわらず、病院・医院のホームページや、院長先生のブログなどを閲覧することで、「その病院、その医院」に対して、独特の印象が生まれるという点をご理解いただきたかったのです。


ライターをはじめフリーランスは「他の人とは違うサービス、より優れたサービス」を提供するとともに、料金面でもメリットを打ち出さなければなりません。「違い」「優れた点」「料金面のメリット」などを効果的に伝えるために、「どんな立場の閲覧者に伝えるべき情報か?」を常に考え、整理して配置し、伝えていく必要があるのです。


あなたの自己紹介を届ける相手に合わせた情報整理を

では、あなたが自己紹介をしたい場合、誰にどのような情報を届ければ効果的でしょうか?
●あなたを既に知っている人・知らない人
●あなたを既に知っている人をさらに分類すると
・あなたを知っているが、ビジネスという面では興味がない人
・あなたを知っていて、他の同業者と比べている人
・あなたを知っていて、仕事を依頼したいと決めている人

◆ あなたを知らない人には?
氏名・筆名・屋号、経営理念、保有資格、業務実績など、大まかな情報が分かりやすく伝わるように表示しましょう。あなたという人物を俯瞰できるように、情報を配置するといいでしょう。


◆あなたを既に知っているが、ビジネスという面では興味がない人には?
「会合やセミナーなどで偶然会って名刺交換をしたが、すぐにはあなたに依頼したい案件はない」といった人には、強く押すような自己紹介をしても、仕事にはつながりません。

ただし、「ビジネス面で興味がない=あなたに全く興味がない」という意味ではありません。
ビジネスを抜きにしたお付き合いを続けていくうちに、仕事につながる可能性はあります。

◆あなたを既に知っていて、他の同業者と比べている人には?
「現在、抱えている案件があり、あなたに依頼するかどうかを迷っている」という人に必要な情報は、「あなたが、その人の依頼に応える能力があるかどうか」です。詳細な業務実績や保有資格(取得年月まで)など、業務に必要な内容を見やすくまとめておくと、この立場の人に親切です。


◆あなたを知っていて、仕事を依頼したいと決めている人には?
あなたに仕事を依頼する方法(メールフォーム、メールアドレス、その他の連絡手段)、営業時間、依頼成立から納品までの流れなどを伝えましょう。

◆仕事の幅を広げるには?
「業務実績」とは別に、
●ライターならブログで色々なテイストの文章を書いておく
●カメラマンやイラストレーターの方の場合は、業務として請け負った作品以外のものも、何らかの形で掲載しておく
ということが、インターネットでは簡単にできます。

ただし、冒頭に書いたように「業務実績」と「自主的に制作した作品集」は分けておくほうが、閲覧者の誤解を防ぐことができるでしょう。


ストーリー作りで印象に残る自己紹介をする

自己紹介にストーリー性を持たせると、人の印象に残りやすくなります。

◆なぜストーリー作りが必要か?
記憶術の書籍などで紹介されることが多い実験ですが、次の単語を15秒でおぼえてください。
1.バス 2.畑 3.雲 4.噴水 5.タバコ 6.時計 7.山 8.漫画 9.電話10.オルゴール

バラバラの単語をこのまま憶えるのは大変です。しかし次のようなストーリー仕立てにすると憶えやすくなります。

バスに乗ると畑が見えた。雲一つない空の下で噴水が涼しそうだ。タバコを吸おうとしたがバス内は禁煙なので、時計をにらみつつ我慢した。山を越えてバスを降りたら漫画本が落ちていた。電話をかけようとしたら、ちょうど着信音のオルゴールが聞こえてきた


もし、あなたの自己紹介が単語の羅列で構成されていたら、閲覧者はどう感じるでしょうか?

○○大学卒。◆◆社に勤務。独立後は□□と△△を手掛ける。趣味は**

これでは印象に残りません。雑誌掲載などでプロフィールの文字数に制限がある場合は別ですが、あなたのホームページではスペースを自由に使えるので、自己紹介はストーリー仕立てで書くと良いでしょう。

私は資格取得への取り組みを自己紹介に取り入れています。しかし、
「一級小型船舶操縦士、医療情報技師、危険物取扱者……」
と名称を羅列するだけでは、閲覧者の印象に残ることができません。

そこで、なぜそんなに資格取得に力を入れるのかを加えます。

学生時代、理系の友人たちに誘われ第4級アマチュア無線技士、危険物取扱者(乙4)などを取得し、資格試験の面白さを味わう。闘病や介護などの事情で自宅にて過ごす時間が長くなってからは、自宅にいても勉強は自由にできることに気付き、3級FP技能士、医療情報技師など興味ある資格を取得するとともに、放送大学にて選科履修生として学び始める


このようにストーリーを持たせることで、自己紹介が人間味を帯びてきます。


皆さんはどんな人生を歩んできたでしょうか?
・大学の専攻は何であったのか?
・以前の勤務先で手掛けた具体的な業務は何か? それは大学の専攻と関係があったのか?
・独立起業した経緯は?
・業務内容とそれを手掛けることになった経緯は? それは会社勤務時代の業務と関係があった
のか?
・今後はどのような業務に取り組んでいきたいのか?
・趣味は何年続けており、段位は取得しているか?
このように一歩ずつ踏み込んで考えれば、閲覧者の興味を惹くストーリーを作ることができるでしょう。

◆「何でもやります」より「これができます」

自己紹介で印象に残るのは「何でもやります」より、「これができます」という言葉です。「何でも」と言われると、何を頼めばいいのかわかりづらいからです。

私たちが買い物をしたいとき、何を売っているかわからず特徴のない店には入りにくいものです。

逆に「これが美味しい!」「これが自慢です!」とはっきり書かれていると、何を選べばいいか分かりやすいため、そのお店を選びたくなります。


自己紹介の際には「これができます」とはっきり告げましょう。
「これが」できますと主張することで、他のチャンスを逃してしまうのではないかと心配する人がいます。

しかし「これができます=他のことはできません」という意味ではありません。まず「人の印象に残る」ということが先決です。印象に残り、実績を積むことができれば、「これが」とアピールしていた内容以外の仕事のチャンスもつかむことができるかもしれません。


◆ 数値を使って説得力を持たせる

たとえば、ファイナンシャルプランナーや占い師の方は、単に「数多くの相談を受けている」「これまでに開催したセミナーは数多い」と書くより、「毎月の相談件数○○件以上」「セミナー開催○件以上」と具体的な数値で表現するほうが、信頼感を持たれるでしょう。

それ以外の業種の方も「毎月○○時間は資格取得のための学習をする」「毎月○○回以上の勉強会を主催している」など、具体的な数値で表現すると説得力があります。

ただし「数値は多ければ多いほどいい」という意味ではありません。
「お一人お一人にじっくり向き合い、悩みを解決できるようお手伝いします」
と訴えながら、
「毎月の相談件数100件以上」
と書くと、矛盾が生じます。

「1日の相談件数を2件以内に抑え、お1人ずつ、じっくり向き合っています」
のように、説得力を高められる数値を使うことが大切です。

◆業務実績の更新はマメに!
本業が忙しくなると、つい手を抜いてしまうのがホームページのメンテナンスやブログの更新です。

これらを休んでいると「開店休業状態なのか?」という誤解を与えます。
また、現実には独立当初よりもレベルの高い仕事に取り組んでいるにもかかわらず、ホームページ上では古い実績しか閲覧できない状態にしておくと、新規の閲覧者には実績が伝わりません。

「更新も仕事のうち」だと考え、初めからスケジュールに組み込んでおきましょう。ポートフォリオが必要な業務の人は、月に1〜2度は、実績の確認とポートフォリオの更新に充てると、後から大量の作業が押し寄せて困ることもなくなります。


ホームページ、ブログ、SNS……使い分けのポイントは?

インターネット自己紹介に使うことができるツールは、ホームページ、ブログ、SNS、メールマガジン……と様々です。「どんな人に、どんな情報を伝えるべきか?」が整理できれば、「どのツールを使って伝えるべきか」が見えてきます。


◆ホームページの役割
街にはいくつもの看板が並んでいて、店舗が閉まっている間にも看板は様々な情報を伝えています。24時間いつでも閲覧できるホームページには、看板のような役割があります。

さらに、ホームページで連絡先・連絡方法が分かれば、閲覧者はメール等ですぐに連絡をすることができます。24時間営業の受付担当者をインターネット上に置いているというイメージです。


インターネットが使える人ならだれでも見られるホームページは「あなたを知らなかった人に、あなたの存在を知ってもらう」ために利用できます。あなたがどんな人かを大まかに把握できる情報を記載しましょう。
・氏名・筆名・屋号
・経営理念
・保有資格
・業務実績
・連絡先・連絡方法
・個性をアピールするための情報

◆ブログの役割
ブログはホームページに比べて更新が簡単です。一方で、閲覧者にとって「どこにどんな情報があるか?」が、ホームページに比べて分かりにくいのがブログの難点です。


ブログは、氏名や屋号、業務実績などの「データ」は既に知っている人が、「あなたという存在を、より深く知りたいと思った」場合を想定した情報を届けることに適したツールです。名刺や業務実績書に掲載しきれない細かい情報、趣味、性格、活動内容などをリアルタイムに伝えるために使用しましょう。


◆SNSの使い方
SNSは、「つながり」「友達関係」が重要視される世界です。既にあなたを知っている人が、より深い交流をするためにSNSでのつながりを持つことが多く、全くあなたを知らない人が、偶然あなたを見つけてつながりを申請してくるということは少ないでしょう。

万が一、そのような人がいたら警戒心を持った方がいいかもしれません。

SNSは、つながりのある人だけに情報を発信することができます。そのため、ホームページやブログでは公開していない情報、他の人が親しみを持ってくれる、つながりを持って良かったと思ってくれるような情報を発信することが大切です。


また、SNSはプライベートで利用している人が多いため、ビジネス色の強い情報ばかり発信している人は歓迎されません。友人同士のつながりを楽しんでいる人に、ビジネスの話ばかりすると、「せっかくのプライベートタイムに、強引な押し売りにあった」ような気分となり、人はあなたに対して嫌悪感を抱くため、注意してください。


◆メールマガジンの役割
メールマガジンに読者登録するには、自分のメールアドレスを記入して送信しなければなりません。それだけ読者登録のハードルが高い点が、ブログやSNSでのつながりとは違うところです。

逆に言えば、あなたのメールマガジンに読者登録をする人は、あなたに対してかなりの興味があります。

メールマガジンを使えば、もともとあなたに興味を持っている人に、あなたがスタートする新サービスや、セミナー・講演会の開催情報、新商品の入荷情報などの情報を効率的に配信することができます。

ただし、メールマガジンの内容が好みでない、配信頻度が多すぎる・少なすぎるといった理由で、いったんメルマガへの失望、嫌悪感を抱かれた場合は、かわいさ余って憎さ「100倍」は大げさかもしれませんが、それでも失望、嫌悪感を抱かれることになります。


メールマガジンは無理のない頻度で配信すること、読者にとって有益な情報を届け、失望させないようにすることを心がけましょう。

インターネットが偶然の出会いをチャンスに変えてくれる

◆出会いはインターネット、別れもインターネット
年齢がばれる話題を1つ出しますが、かつて「ベル友」という言葉が流行したことがありました。その後、携帯電話とメールが普及したためにベル友は、「メル友」に変わっていきました。しかし「しょせんネットだけ・ポケベルだけの付き合い」として、現実に会って話をする相手のほうが重要視されていました。


しかし、私がライターを始めてからは、仕事相手との出会いの8割はインターネット上でした。執筆作業中はメール、電話、チャットなどで連絡を取り合い、納品後の校正、校了、そして支払い(ネットバンク)までインターネットで完結するケースがほとんどです。

そのため、インターネット「だけ」のつながりを軽視できない時代と言えます。

もう1つ言えることは「これまでなら簡単に疎遠になったケースでも、SNSなどを通じてつながりを保つことができるケースが増えているということです。

たとえば「高校卒業と同時に疎遠になった同級生」とも、インターネット上で再会することができたり、遠方に引っ越した人の近況を把握することができたりします。


インターネットは、偶然の出会いや再会を仕事につなげてくれることもあります。そのため、インターネット上で「こんな仕事をしています」と自己紹介を行うことが重要なのです。

◆名刺の情報をインターネット自己紹介で補完
初対面の人と名刺交換をしながら、自己紹介をする機会があるとします。インターネットのない時代は、「短時間の自己紹介でいかに相手の印象に残るか」が勝負でしたが、現代はインターネット自己紹介が名刺や口頭での自己紹介を補完してくれます。


あなたに興味を持った人は、インターネットを使い、あなたの情報を検索してくれるのですから、初めて会った人に、過剰に「アツい」自己紹介をする必要がなくなります。

あなた自身をアピールすることではなく、相手の話を聞くことに集中できます。アツい自己紹介ばかり聞かされてうんざりしている人には、あっさりとした自己紹介がかえって爽やかな印象を与えるかもしれません。

◆あえて「郵送」を選ぶ方法も
インターネット時代だからこそ、初めての対面を果たした直後のお礼状、時候の挨拶などは、郵送をするほうが印象に残るかもしれません。封書ではなく葉書のほうが、相手に開封の手間を掛けさせませんし、重苦しい印象を与えることもなくなるでしょう。


◆名刺作りで気をつけること
スキャナやスマートフォンアプリなどの名刺リーダーを利用して、名刺のデータを管理している人も増えてきました。

フリーランスは名刺の表・裏の両面を使って業務内容や個性をアピールしたくなるのですが、名刺リーダーを使用する人のことを考えると、表・裏のそれぞれの面に掲載する情報は、その質によってわけるべきです。

私は次のように分けています。
・表……「連絡先・肩書き」……住所、氏名、電話番号、メール、ホームページ、役職、資格等
・裏……「個性・業務内容」……趣味、業務実績、信条・モットーなど


◆「会う」と「合う」は連動する
先に「8割の人とは出会いから別れまでインターネットで終わる」と書きましたが、実際に「会う」ことにも大きなメリットがあります。

たとえ請け負った業務が完了してからでも、クライアントが暮らしている地域に出張、旅行などをする機会があれば、直接お話します。
一度でもお会いした人とは、その後にやり取りするメールが「その人の声と表情」を伴って、再生されるようになり、よりイキイキとしたやり取りができるようになるのです。

また、「メールで想像していた人」「実際に会った人」が、全く違う印象になる場合もあります。

私は「仕事で書く内容、保有資格などから男性だと思っていた」とよく言われます。私がそのような勘違いをされている分だけ、私も勘違いをしている可能性があります。

そのため、できるだけ「会う」ということを心がけているのです。

個人情報の守り方

◆個人情報とは何か?
フリーランス志望の方の中でも、特に女性から
「個人情報はどう守ればいいですか?」
と質問されることがあります。

ただ、「個人情報とは何か?」「個人情報が漏れて、どうなることを心配されているのか?」を理解されないまま、なんとなく不安を抱えている方も多いことを感じます。

漠然とした不安には、漠然とした対処法や精神論しか考えられないため、不安を解消するのは難しいです。不安の内容を具体的に考えましょう。

「個人情報保護法」には、個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により、特定の個人を識別することができるものを指す」「その情報自体によって特定の個人を識別できるもののほか、他の情報と容易に照合することができ、それによって特定の個人が識別できるものも含む」と定義されています。

◆不安の内容を具体的に思い描く
皆さんは、個人情報が漏れるとどのようなことが心配だと思いますか?

1.スパムメールなどを大量に送られる
2.チラシ・DMなどが大量に届くようになる
3.怪しいビジネスの誘いが増える
4.ストーカーや嫌がらせに遭う

……このように、「個人情報が漏れるとどのようなことが不安か?」を具体的に想像すればするほど、対策も見えてきます。

1.ホームページにはフリーメールアドレスを掲載し、クライアントとの契約が成立してから業務用のアドレスを伝える
2.私書箱の利用を検討する。どうしても不安ならば名刺には住所を途中までしか掲載しない
3.ビジネスの誘いには乗らないと決めておく
4.最寄りの交番、警察の生活安全課、警察の電話相談(#9110)、都道府県警のサイバー犯罪相談窓口など相談先を知っておく
……など、対策も具体的に考えれば、安心感が増すでしょう。

仕事を請け負う以上「個人情報を全く明かさない」ということは不可能です。もしも、あなたが仕事を依頼したい相手の連絡先が分からない・教えてくれないという状況では、安心して仕事が依頼できないでしょう。

そのため、「個人情報はある程度漏れるもの」と割り切った上で、対策を強化することのほうが大切だと私は考えます。


◆個人情報をどこまで明かすか決めておく
口頭で会話をする場合とは違い、インターネットで情報を発信するときは、 「タイピングする」という動作が必要です。動作に夢中になるあまり「このことを公表したら、後にトラブルにつながるかもしれない」という警戒心が薄れ、身の上話などを詳しく書きすぎてしまう可能性があります。


予防策の1つとして「個人情報をどこまで明かすか」を明確に決め、パソコンの横に「明かしてもいい情報、明かさない情報」を紙に書いて貼っておくくらい慎重になるという方法があります。


・業務内容しか書かない
・業務内容と自分の趣味しか書かない
・パートナーがいることまでは明かす
・家族の人数(夫婦と子ども何人、など)までは明かす
などの明確な線引きをしておくことで、その後の情報発信の際に迷いがなくなります。

◆ブログやSNSで気をつけたい内容
どこまで個人情報を明かすか決めたら、次のような内容を具体的にどこまで書くか・書かないかを決めることができます。

・住所、氏名、年齢……
・よく行く店、自宅の最寄り駅などの情報を、不特定多数の人に向けて発信しても良いか
・写真を掲載するとき、背景に特徴がないか

また、断片的な情報であっても、蓄積されることで個人の特定が可能となる場合もあります。
「○月○日に、□□で食事をした]「頼んだメニューは▽▽であった」「子どもを2人連れていた」
など、ご自身のブログやSNSなどで書き込んだ内容を、ある程度の量になった時点で振り返り、個人の特定が可能か不可能かをチェックしましょう。

おわりに

私は、学生時代から笑い話や雑学、日常生活をつづったブログを運営していました。それは「文章を書くのが好き」「自分が面白い・興味深いと感じた情報を、誰かに伝えることが好き」だったからです。


いっぽうで、大学院までは理系の研究をしていたことや、編集用語も全く知らないことから、まさか自分が文章を書く仕事に就くことができるとは、想像もしていませんでした。


「フリーライターになれば、自分のペースや体調に合わせて働くことができるし、介護との両立も楽でしょう?」
という助言を下さった人、さらには
「もし、フリーライターを名乗り、うまくいかなかったとして、あなたが失うものは何なのか? 初期投資に大金がかかるわけでもないのに、何を迷っているのか?」
と、厳しめの言葉で現実に気付かせてくれた人がいたために、勇気を出すことができました。


そしていつか私も、起業・開業を希望しながら迷っている方に
「まず始めてみませんか?」
と言えるようになりたいと考えていました。

もしも、今
「何か仕事を始めたいけれど、子育てや介護で営業活動にかけられる時間がない」
「せっかく作ったホームページやブログを、仕事の依頼につなげていきたい」
と考えている方に、この書籍でご紹介した内容が、何かのヒントとなりましたら幸いです。


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