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「アナログのよさ」を再発見できる小説、おすすめ7選!

デジタル時代だからこそ大切にしたいこと

最近は、電子書籍なども主流になり、何もかもデジタル化しています。以前は手帳で行っていたスケジュール管理をスマホで行うようになった、電子書籍で本を読むようになった、という方も多いのではないでしょうか?

今回は、そんな時代だからこそ大切にしたい、「アナログのよさ」を再発見できる小説をご紹介していきたいと思います、ぴょん!

*三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」

一冊目は、ドラマ化、映画化もされた三上延さんの代表作です。ビブリア古書堂の店主の栞子さんは、美人だけれど極度の人見知り、そしてその豊富な古書の知識と、並外れた洞察力で、古書にまつわる事件を解決していきます。そんな栞子さんに密かな好意を寄せているのは、体は大きいけれど気は優しい大輔という青年です。

日常の謎とビブリオミステリーが融合する、鎌倉が舞台の物語になっています。太宰治、夏目漱石、宮沢賢治、江戸川乱歩など、有名な作家たちの作品がテーマとなっており、名作を読むとっかかりとしてもおすすめです。

栞子さんの描写が可愛らしく、大輔との関係性も見所となっています。こうさぎは、このシリーズを読むと、古書店巡りをしたくなってしまいます。

古本の独特の匂いがふんわり漂ってくるような物語です。

*紅玉いづき「サエズリ図書館のワルツさん」

こちらは少し古い作品になってしまうのですが、非常に素敵な本なので紹介させて下さい。

本作は、事実上の第三次世界大戦後、紙の本が貴重な物となり、本が全て電子書籍となった世界が舞台です。そんな時代に唯一存在する、紙の本を貸し出す図書館「サエズリ図書館」での出来事が描かれています。

主人公は、利用客から「ワルツさん」と呼ばれている若い女性の司書です。

優しくあたたかな世界観の物語となっており、本を愛する全ての人におすすめしたい作品です。

文章を「本」という媒体を介して読むことの魅力、貴重さを再発見できます。また、こうさぎはSF系の小説はあまり得意ではなかったのですが、本作は世界観に入り込みやすく、とても読みやすかったです。

*ほしおさなえ「活版印刷三日月堂」

活版印刷とは、鉛で出来た活字を1文字ずつ拾って並べ、その出っ張った部分にインクをつけて紙に転写をする印刷の方法です。今はほとんど見かけない印刷技法ですが、印刷する時に出来る凹凸に独特の温もりと味わいがあります。

本作の舞台は、昔ながらの活版印刷を続けている「三日月堂」という印刷所です。店主の弓子は、依頼に応じて活字を拾い、一枚一枚丁寧に手作業で言葉を印刷していきます。印刷された言葉と、活字それ自体のあたたかみに、それぞれに事情を抱えた人々の心もほぐされていきます。

私は書影に惹かれて手に取ったのですが、優しくあたたかい素敵な物語でした。三日月堂のような印刷所が本当にあったらいいのに、と思ってしまいます。

*十三湊「かくしごと承ります。〜筆耕士・相原文緒と六つの秘密〜」

筆耕士とは、卒業証明書や表彰状、招待状の宛名、熨斗の名入れなど、様々な文字を毛筆で書く職業です。

主人公の文緒は、憧れの先生である都築尚之から仕事を請け負い、それらをこなしていく中で、文字に隠された秘密や謎に出会っていきます。書影の通り、和の雰囲気と知的な雰囲気がゆるやかに混ざり合う物語です。

筆耕士という聞き慣れない職業をテーマにしていますが、柔らかい文体と世界観も相まって、非常に読みやすい作品でした。文緒の可愛らしく清楚な雰囲気も素敵で、彼女の淡い恋模様も見どころ。

舞台は静岡県の三島なのですが、一度行ってみたいです。文字に隠された歴史、その中の秘密、そして「文字を書くこと」の奥深さを感じられる一冊になっています。

*谷春慶「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。」

「文字」つながりで、もう一冊。こちらは、「筆跡鑑定」をテーマにしたミステリーです。

舞台は古都、鎌倉。端正な顔立ちからは想像もつかない毒舌家の、大学生一の有名人・東雲清一郎が、書にまつわる様々な謎を解いていきます。彼は有名な書道家ですが、自分では一切文字を書かず、ミステリアスな一面も。

そんな彼の噂を聞きつけた美咲という女子大生が、亡き祖父の手紙の鑑定を依頼するところから、物語が始まります。

個人的に、清一郎と美咲の関係性が好きでした。「筆跡」や「書」から垣間見える人々の思いを汲み取る物語です。

*小川糸「ツバキ文具店」

こちらは、ドラマ化もされた小川糸さんの人気作です。

主人公は、祖母が営んでいた「ツバキ文具店」を継いだ鳩子。周りの人たちからは、ぽっぽちゃんと呼ばれています。「ツバキ文具店」では、代書屋としての仕事も請け負っており、それぞれの事情を抱えたお客さんが、今日も鳩子を訪ねてきます。

「代書屋」とは、依頼人に代わって手紙や書類を書く仕事です。

お客さんからの依頼に合わせて文房具や紙を選び、手紙を代筆する鳩子の姿が、いきいきと描かれています。鎌倉のゆったりした空気感が感じられる、優しい物語です。読み終えた後は、誰かに手紙を書きたくなります。

*三浦しをん「舟を編む」

最後は、映画化もされた三浦しをんさんの本屋大賞受賞作です。

辞書編集部に引き抜かれた元営業部の馬締光也をはじめ、辞書づくりに情熱をかける人々の様子が、鮮やかに綴られています。

収録する言葉、言葉を解説する文章を吟味し、一進一退を繰り返しながら辞書を編んでいく様子には、心を打たれます。この本を読んでから改めて辞書を開いてみると、「この一冊にどれだけの人の苦労と努力がつまっているのか」と気が遠くなりました。

今はスマートフォンや電子辞書で、気軽に言葉を調べることができますが、時間に余裕があるときなどは、辞書を引いて言葉の海に浸ってみるのもいいかもしれません。


アナログのよさを再発見できる小説を、七冊紹介しました。気になる作品は見つかりましたか? この記事で、少しでも「紙の本」のよさが伝われば幸いです、ぴょん!


(2021年7月3日にはてなブログで公開した記事を、一部加筆修正しました。)

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