メールの「順番」

「ラジオのメールって面白そうなやつを上から順に選んでるんだろう」と思われている方も多いと思うし、実際そういう面はあります。ぼく自身も構成作家としてスタートして数年の間は、あまり意識的ではありませんでした。

しかしここ20年くらいは、メールはただ面白い投稿・膨らみそうな話題を漫然と選ぶのではなく、いくつかのメールを「どの順番で読むか」ということで話の流れが変わって聞こえたり、より伝わりやすくなったり、さらに面白さが増したりする場合がある。そう思ってメールを選んでいます。

具体的な例を挙げて説明しましょう。
(実際に番組を聴いていただけたらよりわかりやすいと思うのですが…)

〇例えば、ラジレンジャーの場合。
このラジオは東映特撮関係の、フレッシュな役者さんや大御所の俳優さん、有名な歌い手の方や、キャリアを積んだスタッフの方など、豪華なゲストが定期的に来られる側面があります。
そしてそんなゲストさんがいらっしゃった際、ぼくは「時系列という順番」をつけてメールを選んでいます。具体的な例を挙げて説明します。
「最終回を迎えた番組の主人公がゲストに来た」と仮定して、メールをこんなふうに並べてパーソナリティさんとゲストの方に提出します。

①役に決まる前の心境
②役に決まった時の思い出
③撮影がスタートして感じたこと
④番組が始まってからの周囲のリアクション
⑤現場で起こったこと、共演者とのエピソード、印象的な話数
⑥最終回の感想
⑦劇場版への期待、スピンオフについてなど、番組終了後の話題

という具合に、その方のこの1年間の思い出を時系列に沿ってお話ししていただくことで、リスナーが一種の「ストーリー」を追体験できる、よりわかりやすく伝わる、そんな効果を期待しています。
実際は、ラジレンジャーで紹介するメールを最終的に選ぶのはパーソナリティさんとゲストの方なので、打ち合わせではさらにこの中から厳選することになります。例えば、上記から選ぶと②⇒④⇒⑥⇒⑦の4通でいきましょう、とかですね。

〇絶望放送の場合、
この番組は、まあ、やたらめったら絶望的なメールが届く番組だったのですが、さらに効果を挙げるためにこんな工夫をしていました。
各コーナーにつき、その週で紹介するメールは、

☆ジャブ…それほどまで絶望的じゃない
☆ジャブ…まあ、まだまだ絶望的じゃない
☆☆☆ストレート…うわ、これはちょっと絶望的だわ
☆☆フック…え、そんなふうに絶望的なことってある?
☆☆☆☆☆フィニッシュブロー…絶望的過ぎてリアクションできない…

コーナー終了、という形です。
いきなり強いカードをこれでもかと叩きつけるのでなく、徐々に効果が強いカードを重ねていくことで、一つのコーナーをより盛り上げる、そんな効果
を期待してしました。
これを実際に適用できる番組は、「面白いメールが紹介しきれないくらい毎回届く」ことが前提条件なので、絶望放送だからできたし、絶望放送だからこそ思いついた、という側面もあります。
絶望放送の打ち合わせでは、神谷さんと「今回はこれとこれがジャブで」「じゃあここでフックを入れて」「まあ、これがオチなのは確定かな」「いや、あえてこれをラストにさらっと紹介することで余韻が」みたいな話を延々としていました。

なつかしい。


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